主宰する空手道場閉鎖…今後は指導者を指導

　「今、ベルギーのスパフランコルシャンサーキットにいます」。空手の弟子だったフリーのカメラマンから久しぶりにメールが届いた。雑誌記事が添付されていて、フランスの雑誌にル・マン２４時間レースを取材する彼が写真とともに掲載されていた。美大の写真学科在学中に極真に入門。卒業後は私の道場に通ったのが縁でスポーツ紙のカメラマンになった。

　「１０年後は外国で好きなＦ１を取材しているのが夢なんです」と語ったのが印象に残っている。道場では「夢は思い続けていればいつかは実現する」と話してきたが、世の中は不況風の真っ最中。家族を抱えての外国での奮闘に安心した。そんな夢にまい進している弟子とは対照的に、主宰する空手道場を７月末で閉鎖した。無料の道場を目指したが、少子化と不況で“寺子屋”道場も３３年で幕を閉じることになった。今後は指導者を指導する空手研究会として継続する。

　来年度から中学校で武道が男女の必修科目になる。当面は柔道、剣道、相撲だが、空手の採用も時間の問題だろう。その一方で、体が成長過程の中学生で、安全をどこまで徹底できるかが課題だ。（格闘技評論家）