京都市で25日にあった全国高校駅伝競走大会。九州・山口勢は、男子は九州学院(熊本県)が昨年と同じ3位で唯一入賞を果たし、女子は3年ぶりに出場した筑紫女学園(福岡県)の10位が最高だった。両チームともけがに泣かされた主将が復帰。懸命な走りでたすきリレーを支えた。【丸山宗一郎、金秀蓮】
悲願の初優勝を目指し走り込んできた九州学院。レース序盤から主導権を握った。1区の久保田和真選手(3年)が2位に22秒差の独走状態を作った。3区の吉田匡佑主将(3年)も1位でたすきを受け、力走するが、世羅(広島)のディランゴ選手(3年)らが猛追。順位を三つ下げ、首位に1分以上差をつけられた。
「いい流れをキープできなかった」と吉田主将。思えば夏からけがに苦しんだ。何とか大会直前、練習に合流。表彰台の一番上に立つ--。入学時に同級生たちと誓った。あの日を思い出し、レースに臨んだだけに悔しかった。
「もう泣くな。お前はようやったよ」。(禿雄進かむろゆうしん)監督(53)が肩をたたいた。チームで最大のライバル、久保田選手はレースを振り返り「あいつの存在は励みだった。今日は最高に頑張った」と言い、吉田主将にようやく笑みが戻った。「仲間のありがたさを改めて感じた」
来春、中央大への進学が決まっている。「次は箱根。都大路の分もここで晴らす」。新たな目標を見据え、仲間たちと肩を組んだ。
一方、筑紫女学園。昨年の県予選では、アンカーだった佐々木(伽歩かほ)主将(3年)が北九州市立と23秒差のトップでたすきを受けながら、残り1・5キロで逆転を許し、全国大会出場を逸した。「私のせいで都大路に行けなかった」。自分を責め続けた。
悔しさを忘れられないまま迎えた今年10月の県予選だった。1、2年生中心のチームで3年生メンバーは佐々木主将だけ。「3年がいないチームと思われたくない。都大路を知らないまま卒業したくない」。3年生6人が2区(4・0975キロ)のコースに点在して声援を送り、トップを一度も譲らないまま都大路の切符をつかんだ。
ところが先月初め、左足を疲労骨折。治療に専念せざるを得なくなり、出場を諦めかけた。何とか間に合い、岩元雅輝監督は「奇跡の復帰」と言って目を細めた。
この日、佐々木主将は3年生の期待を背に3区に出場。チーム最高の区間8位の走りで9位のままたすきをつないだ。
「『3年は自分1人。頑張らないと』という気持ちが強かったようだ。よく走ってくれた」と岩元監督。10位と満足のいく結果ではない。悔し涙で声にならない後輩たち。佐々木主将は一人一人見つめながら晴れやかな表情で語った。「今回、都大路に筑女の歴史を確実に刻めた。元気のいい1年生、スーパーエースのいる2年生の力で来年、岩元監督を胴上げしてほしい」
2011年12月26日