CHARACTER

今日はクリスマスイブ。

僕の家では毎年、妹達のためにクリスマスパーティーをする。
家族全員で集まって、食卓を囲みながらご馳走やケーキを食べるだけの
至ってシンプルなパーティーだ。

彼女が来た事で詩と奏はいつも以上に
興奮してしまい、そのパーティーは夜遅くまで続き……
彼女はうちに泊まる事になった。

だけど……

「ねぇ、本当に僕と一緒じゃないの?」

「にぃにはあっちー」
「お兄様は遠慮してください」

「そ、そんな……」

二人の妹に彼女を取られてしまった。
クリスマスと言えば恋人たちの夜だよ?とか、
何も今日じゃなくてもとか、
いろいろ言ったんだけど……聞く耳を持ってもらえない。

大人しく彼女を妹達に渡すふりをして
僕は夜中チャンスをうかがっていた。

夜も深まり、寝息が聞こえだす頃、
僕は自分の部屋をそーっと抜け出し、
妹達と彼女が眠る部屋へ……。

もちろん右手にはプレゼントを持って。

ゆっくりとふすまを開けると
彼女はまだ起きていたのか
少し驚いた様子で僕を迎えてくれた。

「ふふっ、誉サンタは無事にプレゼントを配達しに来ました」

静かにふすまを閉めながら、
冗談っぽくおどけて言うと彼女が小さく笑う。
妹達の枕元にある大きな……
大きすぎる靴下に少し呆れながらプレゼントを入れて、
そっと彼女の手を引き、僕の部屋に攫った。

僕の部屋の縁側に座る僕と彼女。
降り始めた雪を見たいと言ったのは彼女だった。

寒いから窓は開けずに、あたたかい飲み物を手に
並んで外を見ている。

白い吐息に赤い鼻先、
かじかむ指に冷たくなった頬。

寒いのに、どうしてだろう……
いつまでも君とこうして寄り添っていたい。

『雪がキレイですね』と君が言う。

「君はもっとキレイだよ」

僕の言葉で君が嬉しそうに微笑む。
何気ないその仕草や、笑顔、優しい言葉、
そのどれもが愛おしいと思うから……。

僕はそっと顔を近づける。
君はゆっくり瞳を閉じる。
僕達だけのキスの合図。

触れた唇は冷たいのに、
不思議な熱を持っていて
その熱がどうしようもなく欲しくなる。

「……ねぇ、欲張りになってもいい?」

問いかける僕の顔におずおずと君が顔を近づけ、
聞こえるか聞こえないかぎりぎりの声で
『はい』と言った。

僕はそのまま君を抱きしめ、キスをする。

ゆっくりと舌を絡めあい、
たどたどしいキスを繰り返す。
その合間に深く深く吐息した。

そしてそのまま僕たちは
お互いのぬくもりだけを感じていた。

キス顔

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