CHARACTER

今日は、年に一度のクリスマス。

クリスマスといったら……
や、やっぱり付き合ってる男女としては、
どうしても外せないイベントだよな、うん……!

というわけで、俺も世のカップルの例に倣って、
あいつと2人きりで会う約束をした。

って言っても、クリスマスデートって
具体的にどうしたらいいかわからなかったから……

羊や錫也に、それとな〜く聞き込みをしてみたり、
雑誌やテレビで『クリスマスデート特集!』なんて文字を見付けたら、
必ずチェックしたりして……

俺は完璧なデートを作り上げた。

……と思ったはずだった。

一日のデートを終えて……
あいつは今、俺の部屋のベッドに腰掛けている。

だけど……

クッションを抱えるあいつの表情が、どこか曇ってる。

(……何がいけなかったんだ?) 

一緒に見たアクション映画が幼稚すぎた?
やっぱり恋愛映画の方がよかったのか?
晩ご飯はもっと無理して高めのレストランへ行くべきだった?

考えれば考えるほど、あいつの気持ちがわからなくなる。

それどころか、どんどん深みにハマって、
ますますわからなくなって……

ダメだ、もう降参だ。

「なぁ……何をそんなに暗くなってるんだ?」

観念した俺は、直接本人に理由を尋ねる。

すると……あいつは、
俺の質問に驚いたように、ぱっと顔を上げた。

(……え?)

なんでそんな反応をされるのかわからなくて、
俺はますます戸惑う。

「だって、お前今日ずっと顔うつむいてるし、
 あんまりしゃべらねぇじゃん。
 何か不満があるから、そんな風にしてるんだろ?」

俺が言うと、あいつはあわててブンブンと首を横に振った。

そしてあいつは言う。

『不満があるわけじゃない。
 今日のクリスマスデートが楽しみで、
 ずっと眠れなかったの……』と。

「は?」

あいつの顔を覗きこむと……
目の下に、うっすらとクマが出来ていた。

……なるほど、こういうことか。

「バーカ、そんなの全然気にならなかったっつーの。
 お前、ちょっと神経質すぎるんじゃねぇの?」

俺が言うと、クッションでバコっと殴られた。
そして、あいつは恥ずかしそうに口を開く。

――俺の前では可愛くいたい。
だから、顔を見られたくなかった……って。

「……お前は、ほんっと……」

俺は熱くなる頬を抑えながら、あいつにぐっと詰め寄った。

「……ずっと、今日のクリスマスデート
 気に入らなかったって、すげー不安だったんだぞ」

ごめん、と言い掛けるその唇を、俺は自分のそれで塞ぐ。

「罰として……その顔、
 今からずっとこの距離で見てやる。覚悟しろよ」

あわてて逃げようとするあいつの手をしっかりと掴み、
俺は目を開けたまま、もう一度あいつに唇を寄せた。

キス顔

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