サッカーの天皇杯全日本選手権第11日は24日、名古屋市瑞穂陸上競技場などで準々決勝の4試合を行い、名古屋グランパスは横浜Mとの0−0からのPK戦を3−4で落とし、準決勝進出はならなかった。J2のFC東京と京都、J1の横浜MとC大阪がベスト4に進んだ。29日の準決勝は横浜M−京都、FC東京−C大阪の顔合わせとなった。
低い弾道のシュートがゴール右に外れていった。大きなため息のなかで、PK戦5人目のダニルソンが頭を抱えた。肩を組んでなだめる楢崎。長く過酷なシーズンを象徴するようなラストシーンだった。
「厳しい結果が出たが、悔いはない。強いキャラクターを出して、本当によく戦ってくれた」
ストイコビッチ監督はPK戦の不運を呪うだけだった。
2試合連続で120分戦った後のPK戦。21日の柏戦はナイターだったので実質、中一日半。午後1時開始に「ランチタイムゲーム。早過ぎる」と皮肉った指揮官の不安は的中した。最後は持ちこたえるのが精いっぱい。後半の最初に足がつった増川は、4バックから3バックに移行し、さらに運動量が増え「さすがに最後は足が動かなくなった」。延長後半終了の笛と同時に、ヒザから崩れ落ちた。
得点王ケネディがいない。最終ラインの4人のうちレギュラー3人が欠場。それでも白熱の攻防に持ち込んだ。昨年のJ1初優勝に続き「今年も優勝争いして、勝者のメンタリティーが根付いてきた」と楢崎が感じるチームの強さは、最後の試合でも変わらなかった。
「やり切ったという思いと、何もつかめなかったという気持ちがある。年末のプランが何もなくなってしまった」と増川は“終戦”をさびしそうに受け入れた。
2月26日の富士ゼロックススーパー杯からスタートして約10カ月。「全体的にいいサッカーができた。もう1回タイトルを取るためにしっかり準備をする」。ストイコビッチ監督は、明るい未来を信じて力強く締めくくった。 (木本邦彦)
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