- [PR]
国際
改革は「口約束」 不信募りソ連崩壊後で最大の反政府運動
【モスクワ=佐藤貴生、遠藤良介】ロシア下院選での大規模不正疑惑に抗議するモスクワの反政権デモは24日、参加者が主催者発表で13万人と今月10日の前回デモを上回った。ソ連崩壊後で最大となる反政権運動のうねりが続いていることが浮き彫りになった形だ。メドベージェフ大統領は前回のデモ以降、政治制度の民主化方針を示したが、デモでは政権側の「口約束」に終わるのではとの懸念が渦巻いていた。
モスクワ中心部のサハロフ大通りを、デモに参加する老若男女が埋め尽くした。人々は抗議運動のシンボルとなっている白いリボンを衣服につけ、白い風船やカーネーションを手にした人も目立った。
「前回デモでわれわれが要求した政治犯の釈放も、票の再集計も実現していない」「新年をロシア政治の転換点にしよう」。演壇からの呼びかけに参加者らは力強く呼応し、「プーチン(首相、前大統領)なきロシアを」と気勢を上げた。
前回のデモを受け、メドベージェフ大統領は22日の年次教書演説で、プーチン前大統領時代に廃止された知事選挙や下院選小選挙区制度の復活といった改革方針を表明した。
ただ、24日のデモ参加者からは「メドベージェフはこの4年間、改革を約束しながら何もしてこなかった」(27歳、男性技師)といった声が多く聞かれ、政権の表面的な“ガス抜き”には現時点で効果が表れていない。
プーチン首相が15日のテレビ放送で、反政権デモが「外国の資金援助」を受けていると述べたことは逆に参加者の憤りを招いており、男性団体職員(44)は「われわれを侮辱している。これからもデモに参加する」と話していた。
この日のモスクワのデモは10日と同様、1人も拘束されることなく平穏に終了した。都市部では政権に対する不満を持つ人が急増しており、大規模な反政権デモを弾圧することはもはや不可能だ。来春の大統領選でのプーチン首相再選は確実視されているが、不満がくすぶる中で次期政権運営が順調にいくかは不透明になりつつある。
このニュースの写真
関連ニュース
- [PR]
- [PR]