西日本新聞

ストーカー被害女性の転居先漏らす 郵便会社、同意確認せず

2011年12月24日 10:07 カテゴリー:社会 九州 > 福岡

 繰り返し暴力を振るう元交際相手の70代男性から逃げるために転居した50代女性の新住所について、郵便事業会社早良支店(福岡市早良区)が男性の求めに応じて教えていたことが23日、分かった。転居先を知った男性が女性を再び訪ねるようになったため、女性は今月、早良署に暴行容疑で被害届を出した。女性は「ストーカー被害を伝えていたのに、無断で教えたのは許せない。毎日おびえている」と批判。同支店は女性側に謝罪、「個人情報保護法に基づいて定めた内規違反で、担当者や上司の処分を検討する」としている。

 同支店や関係者によると、福岡市内で暮らしていた女性は8月、男性から逃げるため同市内の知人女性宅に転居。女性は同支店に郵便物の転送先として知人女性宅を届けた。男性は新住所を知るため女性の親族に電話をかけたり、勤務先を訪れたりし始めた。

 女性は、同支店に「ストーカー被害に遭っている。(男性からの)受け取りたくない荷物も届くので転送をやめる」と電話し、10月下旬に支店で転送中止手続きをした。11月初めには男性を避けるため職場も変わった。

 一方、男性は11月末、同支店を訪問し「女性に速達を送りたい。住所を教えてほしい」と要求、窓口社員は知人女性の住所を教えた。直後から、男性は知人女性宅を訪れたり、手紙を送ったりするようになった。毎日のように知人女性に電話をかけ「あんたがかくまっているのは分かっている」などと話すという。

 知人女性が同支店に問い合わせ、情報漏えいが発覚。同支店は女性や知人女性に経緯を説明し、謝罪した。

 女性は転居後の8月、男性の暴力について早良署に相談。男性が転居先に現れたため、今月、暴行容疑で被害届を提出した。捜査関係者によると、同署は男性宅を同容疑で家宅捜索し、任意の調べに対し男性は容疑を認めたという。

 女性は「毎日おびえながら生活している。秘密にすべき情報を第三者に伝えたことは許せない」と訴える。

 同支店は「社員間の連絡がまずく、教えた社員は女性の同意があったと勘違いしたようだ」と説明。郵便事業会社広報室は「住所を本人の同意なしに第三者に伝えることはあり得ないことで、申し訳ない。再発防止に努める」としている。

=2011/12/24付 西日本新聞朝刊=

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