愛媛大(柳沢康信学長)は22日、学生へのセクシュアルハラスメントや研究費などの不適切使用で大学の名誉を著しく傷つけたとして、文系学部の40代男性准教授を停職10カ月の懲戒処分にしたと発表した。「被害学生と家族の要望」で准教授の氏名や学部は非公表とした。
同日、管理監督責任を問い准教授の所属学部長を訓告処分にした。
同大によると、准教授は昨年9月と今年5月、ゼミで指導している女子学生に、研究会出席などのため宿泊した県外のホテルで同じ部屋に泊まるよう強要。マッサージや膝枕をさせたり、同じベッドで寝させ胸などを触ったりした。
精神的ダメージを受け授業を休ませてほしいと女子学生が送ったメールに対し「大学院進学は諦めて」との趣旨のメールを2度送って脅すなどしたアカデミックハラスメント(地位を利用した嫌がらせ)も確認されたという。
女子学生が5月、学内の人権問題相談員に訴え、大学側が調査。准教授は強要の認識はないとし、体を触ったことも「記憶にない」と否定しているという。
また、准教授は出張に際し宿泊、交通費が先方から支給されるのに申告せず、大学の車で移動して宿泊費を同大からも受け取った。学生によるアルバイトで虚偽の勤務表を作り、学生に大学からの謝金を受け取らせた上で徴収などしたという。
研究費などの不正は09年6月から11年5月にかけ12件が判明。支給前に分かり未遂に終わった1件を除く11件で計13万4265円を受け取った。准教授は返金の意思を示しているとした。
22日、松山市道後樋又の大学本部であった会見で、柳沢学長は「被害者、関係者、本学に信頼を寄せていただいている地域の皆さまに心よりおわび申し上げます」と陳謝した。セクハラ再発防止策として、研究室が閉鎖的にならないよう研究室間の交流促進を図るなどと説明した。