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[30558] 【習作】Get Back Arcadia(東方project×多重クロス・仮想現実戦記)
Name: にぬねの◆59d66c10 ID:5b97ea96
Date: 2011/11/17 13:48
まずは御挨拶の程を。

初めまして。
にぬねのと申します。
SS初心者で至らぬ点も多いとは思いますが、
注意や指摘等大歓迎です。
よろしくお願い致します。


・このSSに関しての注意点

・東方projectに登場するキャラクターが多数登場します
 原作準拠ではありません
 彼女達は武装して闘います
 イメージが湧かないという方はpixivで「東方武装化」と調べていただければと思います

・現代兵器が多数登場します
 登場した兵器については逐次紹介をしていきます

・流血等過激な表現があります

・本稿はフィクションです
 登場する団体、国名等は実在するものとは一切関係ありません


 



[30558] 【習作】Get Back Arcadia -Side Arcadia- ep.01
Name: にぬねの◆59d66c10 ID:0ef56193
Date: 2011/12/23 21:58



2015年
11月22日
午前2時38分

旧環状七号線跡
帝政ロシア軍哨戒基地



数ヵ月前まで道路として機能していた瓦礫の山。
帝政ロシア軍と日本国陸上自衛隊との間で行われた戦車戦に巻き込まれたこの場所に、
まさに今、新たな勢力が介入せんとしている。


基地に駐屯していた極北の兵士達は安堵していた。
国土防衛に長けているとされる自衛隊を数で圧倒し、
開戦からわずか半年で首都圏を手中に収めることに成功したからだ。

彼らは祖国の勝利を確信していた。
少なくとも、その時までは。


哨戒基地の防空レーダーが8個の光点を捉えたのは、深夜2時を回ったころだった。
基地は蜂の巣をつついたような騒ぎになり、直ちに防空体制が敷かれる。
近隣の飛行場からSu-24が2機緊急発進(スクランブル)する。
防空管制官により国籍不明機の分析が行われ、レーダー上の反応から速度が割り出された。
分類は「ヘリコプター」。汎用ヘリである可能性が高いとのことだった。

しかし、避難中の民間機という可能性も捨てきれない。
たとえ他国に侵攻中の身であっても、当外国の民間機を撃墜するのは非常識だ。
相手国に絶好の宣伝材料をみすみす与えてしまうことになる。

よって、基地所属の防空管制官により以下の文がロシア語、日本語、中国語、英語で伝えられた。


『国籍不明のヘリコプター隊へ告ぐ。
 貴機等は当該基地の領空を侵犯しようとしている。
 所属と目的を述べ、直ちに引き返せ。命令に従わない場合は撃墜もやむ無しとする』


「だってさ」
通信を聞いた黒髪の少女――背中から漆黒の羽が生えている――が笑う。

黒の戦闘服にチェストリグ、夜間強襲装備としてはスタンダードだが、
頭には見慣れない帽子――紅いテントのような物体から白い綿が釣り下がっている――。
手には団扇、それも古風な鳥の羽を使ったものを持っている。
足元にはステンレス製の黒いガンケース――

彼女が汎用ヘリ"UH-60ブラックホーク"の機内を見渡す。

「私たちの目的は覚えてるよね、椛?」

「勿論です。

 一、我々の目的は日本国の解放であり、占領ではない。
 一、我々の所属は秘匿されるべきである。但し、発覚した場合はこの限りではない。
 一、敵性と判断された勢力についてはこれを殲滅もしくは無力化する。
 一、民間人を戦闘に巻き込んではならない。
 一、日本国自衛隊、ならびに友軍との協力を積極的に行うこと。
   その際、我々の所属は『自衛隊特殊作戦群』であり、
   決して他国の指揮下に入らず、独自の作戦行動を行うものである。

 …こんなところですね」

椛と呼ばれた少女がすらすらと答える。
彼女の身長程もあろうかという大剣をしっかりと携えたまま。

「上出来!」

黒髪の少女は無線機を手に取り敵軍――帝政ロシア軍にこう通告した。


『私は自衛隊特殊作戦群航空歩兵中隊所属、射命丸 文だ。
 貴官等の侵略行為は断じて許せない。
 5分やる。直ちに武装を解除し投降せよ。
 従わない場合は全員死体袋に入ることになるぞ』


それは先程まで無邪気に笑っていた彼女から発せられたとは思えないほどの、
途轍もない啖呵だった。


無線機は沈黙を保っている。
女性の声で、なおかつ日本語で発せられた冷酷な宣戦布告は、
ロシア軍にとってはおおよそ理解しがたい内容であった。

基地司令は訳された原文を一瞥し首を傾げた。
一体『航空歩兵』という兵科は何なのだろうか。誤訳か、はたまた何かの冗談か。
彼は疑問に思いつつも、取り敢えず基地の警備レベルを一段階引き上げさせるように命じた。


『総員降下用意!』


射命丸 文と名乗った少女が発した号令によって、8機に分乗していた隊員達が装備の点検を開始する。

黒装束と形容すべき戦闘服、背中に背負う鋼鉄の楯、腰に吊るされた長刀。
現代戦にはおおよそ向かないであろう武装である。
彼女達はケブラー製の防弾ヘルメットを被っているが――
皆一様に人間ではない。人間は犬の耳が頭頂部から生えてはいない。

彼女達は訓練を受けた白狼天狗、中でも屈強な部類の哨戒天狗だ。
眼下に広がる脅威にさえも動じない。


「こちらドッグリーダー。降下1分前だ。
 降下完了と同時に全機変針、方位270、高度200を維持。
 作戦終了までポイント・アルファ上空にて待機せよ」


『ドッグ1了解』
『ドッグ2了解しました』
『ドッグ3、了解です』



「降下開始!」



隊員達は変針を開始したヘリコプターから次々と飛び降りていった。




その光景を何と表現すればいいのだろう。
集団自殺――ではない。断じて違う。

――例えば、空挺部隊であるならパラシュートを背負う。
ヘリボーン部隊(ヘリコプターによる降下強襲部隊)なら、ラペリング降下を行う。

だが、大空を自由に飛翔できる彼女達にとってはどれも不必要なものだった。



宵闇の空に蒼い軌跡を描きながら、地面ギリギリまで降下し高速で飛翔する。
防空レーダーといえど、超低空で接近する人型の物体を捉えることはできなかった。



『こちらメープル1。全隊基地外周に到達、待機します』
「了解。指示を待て」


   アンチマテリアルライフル
射命丸が対物狙撃銃――M82A1を担いで空中へ飛び出す。
彼女の担当は部隊の指揮統制、そして狙撃による後方からの支援。

ブラックホークが爆音を響かせながら変針していく。
強力な横風に煽られながら、上空で体制を立て直し狙撃銃を構える。

「ドッグリーダーよりメープル1。
 狙撃位置についた。指揮官の位置を割り出せ」
『メープル1了解』

弾倉を外して残弾を確認する。
10発の50口径弾、それも破壊力に優れた徹甲焼夷弾が入っている。
弾倉を戻し、ボルトを後退させて薬室に初弾を送り込む。
スコープの防塵用キャップを外し、覗いて異常がないか確認する。

『目標を確認。北西の管制塔最上部。
 中隊長を視認。目標までの距離はおよそ4km』
「了解」

白い髭をたっぷりと蓄えた、いかにも将校然とした人物。
禿げ上がった頭部に照準しトリガーに指をかける。

『中隊長、意見具申を許可願います』
「何だ、言ってみろ」
『4kmの狙撃は前例がありませんが』
「人間の場合は、な。
 私は借りにも天狗だ、問題ない。
 …各員、着弾と同時に突入、敵を無力化せよ。
 メープル1は着弾後、管制塔を制圧」
『了解』
「全隊突入用意、ぬかるなよ?」

3kgで調整されたトリガープルを人差し指で引いていく。
最後は優しく、ゆっくりと。


発砲。
歯を食いしばりながら強烈な反動を肩で受ける。
人参程の大きさを有する薬莢が夜の闇に吸い込まれていく。
追い風にしてやれば有効射程距離も伸びるはずだ。
弾道を考えつつ上昇気流も加える。

  スリーカウント
「弾着まで3秒!」


着弾。     フィフティキャリバー
斜め上から入った50口径弾は、将校の頭部を跡形も無く消滅させ、彼の背後にあった管制コンソールを木端微塵に破壊した。


  ブリーチング
『 突入! 』

迅速に、そして正確に。
狼達は抜刀体制のまま、静かに侵攻を開始した。



/// to be continue ///





※登場兵器解説


・UH-60 Blackhawk

 汎用ヘリコプター。愛称はブラックホーク。
 米軍を始め、自衛隊もUH-60Jとして採用している。
 主に前線への分隊レベルでの兵員輸送に使われるが、
 軽車両程度であれば機体下部に吊り下げて運ぶこともできる。
 ドアガンとしてM2ブローニング重機関銃等を左右に1挺ずつ装備可能。


・Barlett M82A1

 対物狙撃銃(アンチマテリアルライフル)。愛称はバーレット(バレットとも)。
 .50BMG弾(12.7mm*99)を使用する大口径スナイパーライフル。
 軽装甲車両以下の軟目標に搭乗している標的を攻撃する場合や、
 小口径弾薬では届かない場合の遠距離狙撃に用いられる。
 有効最大射程は約2kmまでとされる。


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