ソニーは、紙を「燃料」として発電するバイオ電池を、環境関連技術の展示会「エコプロダクツ2011」(2011年12月15~17日、東京ビッグサイト)に出展した。
同社は過去にもエコプロダクツ展などで、ブドウ糖などを基に発電するバイオ電池を出展しているが、紙を基に発電させるのは今回が初めてとなる。
紙を基に発電するバイオ電池は、実際には紙を酵素で分解してブドウ糖に変え、そのブドウ糖で発電する電池である。紙の分解に利用するのは、セルロースを分解するセルラーゼという酵素。デンマークのNovozymes社の製品を用いたという。この酵素を含んだ水溶液に紙を浸すと、分解が始まり、ブドウ糖を含んだ水溶液に変わる。これを、バイオ電池に加えると、発電が始まる。セルラーゼは触媒として働くので、回収して再利用できるという。
バイオ電池自体は従来展示したものと大きくは変わっていない。ただし、「以前よりも発電性能を向上させた上に、紙を分解して出てくる、ブドウ糖以外の不純物があっても動作するように構造を工夫した」(ソニーの説明員)という。
ソニーによれば、理論的には、A4の紙1枚から得られるブドウ糖で最大18Wh、すなわち単3形の乾電池6個分に相当する発電量が得られる計算になるという。しかし、現時点では理論値よりずっと少ない発電量しか得られていない。ソニーは今回、具体的な発電性能を明らかにしていないが、2010年時点ではブドウ糖を加えるバイオ電池で「10mW/cm2の出力が得られる」としていた。
ちなみに今回、ソニーは、従来のブドウ糖(あるいは、コーラやオレンジジュース)で発電するバイオ電池自体をシート状に薄くしてクリスマス・カードなどに組み込んだ試作品を展示、その発電デモも披露した。
(日経エレクトロニクス 野澤哲生)
[Tech-On! 2011年12月19日掲載]
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ソニー、ブドウ糖、バイオ電池
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