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質問なるほドリ:武器輸出三原則、見直す動きがあるの?=回答・坂口裕彦

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 ◆武器輸出三原則、見直す動きがあるの?

 ◇他国と共同開発、目的に コスト減狙い、なし崩し緩和の恐れ

 なるほドリ 日本は武器輸出を原則禁止していたと思うけど「輸出しやすくしよう」という話し合いを米国としたそうだね。

 記者 防衛省の研究会が6日、戦闘機などを他国と共同開発・生産するため「武器輸出三原則」の見直しを提案しました。日米の外務・防衛担当閣僚による6月の安全保障協議委員会(2プラス2)も国際共同開発参加に向け、「日本政府は現在行っている(三原則見直しの)検討を促進する」と文書を交わしました。

 Q 三原則とは?

 A (1)共産圏(2)国連決議で禁止した国(3)紛争当事国--への輸出を認めないこと。76年に三木武夫首相(当時)が三原則の対象国以外の国への輸出も「慎む」と踏み込み、全面輸出禁止となりました。

 Q 例外は?

 A 83年に米国向けの武器技術供与を、04年にミサイル防衛の日米共同開発・生産を官房長官談話で例外としました。政府開発援助(ODA)によるインドネシアへの巡視船無償供与も認めています。

 Q 見直しの背景は。

 A 装備品のハイテク化、高価格化が加速する中、欧米諸国は財政負担を減らすため、開発、生産をほかの国と分担しています。しかし、日本の場合は、完成品、部品の国境を越えた移動を制限する三原則が障害になっています。また、財政難に苦しむ日本は防衛予算の抑制を進めており、注文数減少によるコストと販売価格の上昇、一層の注文減という悪循環に国内防衛産業が陥りかねません。そこで海外との共同開発でコストを下げようという動きが強まっているのです。

 Q 問題はないの?

 A 2プラス2は、日米が共同開発する海上配備型迎撃ミサイルの、米国から第三国への輸出を認めました。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題が行き詰まり、米国内の対日強硬論が強まる中、「ミサイルを輸出したい」との米国の要望に配慮する形で結論を急ぎました。日本が開発に携わったミサイルが、米国以外に輸出されることは三原則の事実上の緩和です。歯止めとして、「日本の安全保障に資する場合」「国際平和や安定につながる場合」との基準を置きましたがいずれもあいまいで、日本の平和外交の理念である三原則がなし崩しになる恐れがあります。見直しの際には、対米配慮だけでなく国民への分かりやすい説明と透明性ある議論が欠かせません。(政治部)

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 ◆武器輸出三原則を巡るこれまでの動き

1967年 4月 佐藤栄作首相が衆院決算委で三原則を表明

  76年 2月 三木武夫首相が衆院予算委で厳格化を表明

  83年 1月 中曽根康弘内閣が米国向け技術供与を例外化

2004年12月 小泉純一郎内閣が米国との弾道ミサイル防衛システムの共同開発・生産を例外化

  11年 6月 日米両政府が海上配備型迎撃ミサイルの米国から第三国への輸出容認を確認

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 なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp

毎日新聞 2011年7月15日 東京朝刊

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