北新体制:金王朝の後見人、金敬姫氏と張成沢氏

 「金王朝」は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後、20代後半の金正恩(キム・ジョンウン)氏の後見人として、金総書記の妹で、正恩氏のおばに当たる金敬姫(キム・ギョンヒ)労働党軽工業部長、おばの夫に当たる張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長を「ツートップ」に据えたもようだ。特に金敬姫氏の急浮上が目立つ。

■金敬姫氏、6年ぶりに再登場

 2009年6月、金敬姫氏が金正日総書記の咸鏡南道協同農場視察に同行し、6年ぶりに公式の場に姿を見せた。当時、その意味に注目した専門家はほとんどいなかった。むしろ「健康状態が悪化した金敬姫氏が死ぬ前に外の風にでも当たろうとしているのではないか」と言われるほどだった。しかし、金敬姫氏は昨年9月の党代表者会で金正恩氏とともに「大将」の称号を与えられ、権力の中心へと浮上した。当時、夫の張成沢氏は党政治局候補委員にとどまったが、金敬姫氏は政治局員に名を連ねた。

 韓国政府消息筋は「金正日総書記が2009年1月、金正恩氏を後継者に内定してから半年もたたずに金敬姫氏を復帰させたのは、早期に『金正恩氏の後見人』として据えるためだったのではないか」と述べた。

 金敬姫氏が再登場した背景は、「金日成の直系だから」(国策シンクタンクの先任研究員)という分析が有力だ。幹部出身の脱北者は「金敬姫氏の復帰は、金日成(キム・イルソン)一族を意味する『白頭山の血統』が金正恩氏に全幅の信頼を寄せていることを示す意図がある」と指摘した。

 金正日総書記と金敬姫氏がそれぞれ7歳、3歳だった1949年、母親の金正淑(キム・ジョンスク)氏が出産中に死去して以降、互いを支え合い、張成沢氏とともに継母の金聖愛(キム・ソンエ)氏の台頭に対抗した同志的関係だった。日本の対北朝鮮消息筋は「金敬姫氏はパーティーで酒に酔うと、ふさけて兄(金正日総書記)のキスするほど、兄妹仲が良かった」と語った。金正日総書記の愛情を受けた金敬姫氏は2003年9月、最高人民会議の第11期代議員による記念撮影を最後に消息が伝えられなくなった。浮気癖があった夫、張成沢氏との不和、2006年半ばにフランス留学中の娘、チャン・グムソン氏が自殺したことなどが重なり、アルコール中毒、うつなどの症状に陥っていたという。チャン・グムソン氏は、交際相手の男性の身分を金敬姫氏に問題視され、結婚に反対されたため、自殺したとされる。

 北朝鮮消息筋は「当時、金敬姫氏は廃人同様に過ごしていたが、現在の金敬姫氏は金正恩氏を助け、院政を敷いているとかもしれない」と指摘した。

アン・ヨンヒョン記者
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