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きょうのコラム「時鐘」 2011年12月23日
わが仕事場はビルの6階にある。西向きの広いガラス窓に面したデスクから毎日、空を見ている。四季による日没の変化が手に取るように分かる
きのうは大雪予想の曇天(どんてん)で見えなかったが、冬至(とうじ)の太陽は窓の左端に落ちたはずだ。夏至(げし)の日が沈むのは右端の窓で、夏と冬の開きは相当に広い。赤い夕日が沈む空は冬の方が断然美しい。冬の太陽のありがたさを思うのは、師走の今ごろが一番だ 小松市の小松天満宮(てんまんぐう)は冬至の日の出が神門から上ってくる。伊勢神宮の五十鈴川(いすずがわ)にかかる橋の鳥居は冬至の日の出と重なる。神社仏閣は方角にこだわる。縄文時代の真脇(まわき)遺跡の木柱サークルも冬至の太陽と関係しているとの説がある 高岡の瑞龍寺(ずいりゅうじ)で、夏至の夕日が真っすぐ山門の上に沈んで行くのを見たことがある。エジプトの神殿やカンボジアのアンコールワットも太陽の位置と深い関係がある。昔の人が持っていて今のわれわれにないのは、方向感覚と太陽への感謝だろう 冬至が過ぎてクリスマスから正月へ。ビルの「窓ぎわ天文台」からの観察は、人生のカレンダーを一枚一枚めくるような気分である。 |