最終更新: 2011/12/24 02:35

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「ホットスポット」が点在する福島市では、今も住民は放射能の不安と隣り合わせです。

「ホットスポット」が点在する福島市では、今も住民は放射能の不安と隣り合わせです。
放射線量が極端に高い「ホットスポット」が点在する福島市。
住民の要望をよそに、自治体による除染作業や被ばく検査は進んでいません。
福島第1原発事故から9カ月を越えた今も、子どもとその家族は放射能の不安と隣り合わせです。
福島最前線からの報告です。

高い放射線量のホットスポットが点在する中で、今も生活を続ける福島市の子どもたち。
県庁からおよそ2kmの距離にある福島市渡利地区。
静かな住宅街に「異変」が起きていた。
住民の裏澤利夫さん(78)に、自宅前の側溝で放射線量を測定してもらった。
裏澤さんは「(今、いくつですか?)7.308マイクロシーベルト(μSv) ...、8.773マイクロシーベルトに上がりました」と話した。
そして、庭の一角でも計測した。
裏澤さんは「30マイクロシーベルトオーバーです。尋常じゃないですね」と話した。
そこに孫娘・友雪ちゃん(4)が来ると、裏澤さんは「あっ! 出てきちゃ駄目だって、出てこないで、出てこないで」と、すぐに家の中へと戻した。
原発事故以降、裏澤さんは、被ばくのリスクが高いことから、孫娘たちを表で遊ばせていない。
自由に外での運動や遊びができなくなって、すでに9カ月。
幼い心に強いストレスがかかっていた。
光雪ちゃん(10)は「外で遊べなくなったり、放射線の濃度が高くなったりすることが、ちょっと怖い」と話した。
渡利地区を「避難勧奨地点」にしてほしいと望んでいる裏澤さん。
10月8日、渡利地区住民説明会が行われた。
原子力災害現地対策本部の佐藤 暁室長は「まずは、除染をさせていただきたい」と述べた。
そして、地元、福島市の担当者、福島市政策推進部・冨田 光部長は「国の方の基準になりますけれども、その基準から言えば、住み続けることが可能である」などと話した。
とはいえ、福島市内の除染は、中間貯蔵施設の準備ができていないため、一部の公共施設以外、手つかずのままになっている。
裏澤さんは「健康を、行政の方でなんで守ってくれないんだろうっていうふうなことをつくづく思いますね。同じ人がここに住んでみたらどうですか?っていうことなんです。子どもとか孫をですね、住まわせて」と話した。
取材班は、福島大学で行政政策を教える荒木田 岳准教授と、渡利地区の通学路に向かった。
渡利小学校の通学路で、荒木田准教授が放射線量を測定した。
荒木田准教授は「こういうところですか? どうだろう? どれくらいあるのかなぁ。僕らもう感覚がまひしちゃって」と話した。
そして、驚くべき数値を示す場所があった。
荒木田准教授は「異常に高いことは間違いないです」と話した。
放射線線量計は、実に100マイクロシーベルトを超した。
荒木田准教授は「見ての通り、誰でも近寄れる場所じゃないですか。こういうところ、子どもがボール落としたりしますし」と話した。
荒木田准教授は2011年、この渡利地区に自宅を建てる予定だった。
荒木田准教授は「もう建ってるはずだったんですよ。年内に入れればっていう意向だったんですけどね。見ての通りです」と話した。
原発から出た大量の放射性物質が、雨に流されるなどして濃縮され、福島市内にホットスポットを生み出していた。
放射能問題が深刻さを増す一方で、官僚の発想で対策を進めようとする政府。
12月16日、野田首相は「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは、収束に至ったと判断をされるとの確認を行いました」などと発表した。
これを許す地元自治体の責任も重いと、荒木田准教授は指摘する。
荒木田准教授は「全くこの事故に関しては、もう中央依存というか、中央が決めたまま、市の方針も県の方針も、それに従って出てくるっていうような状態。これが非常に不幸だと、僕は思ってます。住民を守る目線で、住民と一緒に今後、どういう打開策があり得るかっていうことを、本当は考えていかなければいけないっていうふうに思うんですけどね。そういう転換を、早くやってほしい、そういうふうに思います」と話した。
渡利地区の裏澤さんは、被ばく対策で、孫娘たちに外出時は必ずマスクをつけさせている。
11月から少しでも被ばくを避けるために、夜は親戚の家に疎開するようになった。
裏澤さんは「本当にさみしいよりも悔しいですよね。こういうふうな生活を強いられるっていうことは」と話した。
福島市では、まだ子どもの内部被ばく検査すら始まっていない。
放射線量の高い場所で、子どもたちが生活している現実。
その未来を本気で守ろうとしているのか。
国と地元自治体の姿勢が今、問われている。

(12/24 02:04)


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