混合診療:敗訴の原告男性「深い絶望」

2011年10月25日 22時54分 更新:10月25日 22時59分

混合診療訴訟で敗訴し、唇をかみしめながら会見する原告の清郷伸人さん=東京都千代田区霞が関の司法記者クラブで2011年10月25日午後5時半、岩下幸一郎撮影
混合診療訴訟で敗訴し、唇をかみしめながら会見する原告の清郷伸人さん=東京都千代田区霞が関の司法記者クラブで2011年10月25日午後5時半、岩下幸一郎撮影

 「混合診療」敗訴確定を受け25日、原告の清郷伸人さん(64)=神奈川県藤沢市=は東京・霞が関の司法記者クラブで会見。「深い絶望を覚える。がん患者、難病患者が希望の医療を受ける道が閉ざされてしまい、申し訳ない」と話した。

 腎臓がんを患い、01年2月から保険適用のインターフェロン療法を受け、同9月からは保険適用外の療法を併用したため、全額自己負担となった。清郷さんは「今の制度はあまりにも常識に反している。国は患者に沿った軸足で政策を改めてほしい」と唇をかんだ。

 厚生労働省では安堵(あんど)の空気が広がった。同省幹部は「必要な医療は原則保険診療で確保する仕組みを維持しながら、患者のニーズに応えたい」と述べるにとどまった。

 混合診療を巡っては、小泉純一郎内閣の規制改革・民間開放推進会議が04年に解禁を提言。福田康夫内閣の07年にも規制改革会議が解禁を求めた。しかし厚労省と日本医師会は「患者に保険外の負担を求めるのが一般化すると、患者負担が不当に広がる」などと反対の構えを崩さなかった。

 民主党政権は保険外併用療養制度の拡充で対応している。昨年からは海外のデータで有効性が確認された抗がん剤などは臨床試験(治験)を省いて承認し、保険適用を前倒しする取り組みも始めた。

 卵巣がん体験者の会「スマイリー」の片木美穂代表は「混合診療の解禁が長期的にみて患者の利益になるかは疑問が残る。有効な薬をいち早く承認し、副作用があれば迅速に知らせる体制などを整備する方が先ではないか」と話した。【佐々木洋、石川淳一】

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