自転車:「日常的取り締まりを」歩行者ら注文

2011年10月25日 22時39分 更新:10月25日 22時45分

 警察庁が25日に公表した自転車交通総合対策は、歩道走行が一般化している自転車の車道走行を強く促す方向に大きくかじを切った。自転車行政の大きな転換について、自転車の安全利用に尽力する専門家らは一様に評価した。その一方で、対策を実現するために取り締まりの徹底を求める声もあった。

 ◆車道走行

 「98点。素晴らしい」。自転車政策を提言してきたNPO法人・自転車活用推進研究会の小林成基理事長は高く評価した。特に「自転車は車両」ということを、車のドライバーにも徹底して意識付けることについて「自転車の安全な車道走行に必要だ」と語った。

 自転車通勤をしているTシャツプロデューサーの村上典弘さん(34)も「自転車事故が多い中、やっと動いたかという気がする」と話した。ただし「通勤に使う国道は車の通行量が多い。自転車道とか安全な空間を整備してほしい」と望んだ。

 日弁連交通事故相談センターの岸郁子弁護士は「車道走行が徹底されれば歩行者との事故減少につながる」と期待する。その上で、自転車事故の賠償について「自転車が歩道で事故を起こせば、より自転車に厳しい判断となっていくのでは」と語った。

 ◆3メートル未満に限定

 評価の一方、小林理事長は「あえて注文をつけるなら」として、自転車が通行できる歩道の見直しを幅3メートル未満に限定したことについて不満を示した。「歩道走行の例外を認めてしまう。子供や緊急避難以外は車道走行とすべきだ」

 同様の指摘は歩行者からも上がった。

 全盲の織田洋さん(57)=東京都豊島区=は一人歩きを始めて30年以上になるが、目の代わりとなる白杖(はくじょう)を自転車に7、8本折られた。狭い道路で自転車に乗った人に「どけ」と言われることもある。視覚障害の知人の多くも自転車に白杖を折られ、そのまま逃げられた経験を持つ人もいる。「自転車が歩道を走って本当に良いのか。根本から考えるべきでは」と訴えた。

 ◆「警察が手本に」

 織田さんは総合対策の実現性について「警察が日常的に取り締まらないと変わらない」とも指摘。ただ、取り締まりを巡ってはさまざまな声が聞かれた。

 09年10月に東京都府中市の歩道で自転車にひき逃げされた自営業、立川健豊さん(56)は今も時折、腰の激痛に悩まされる。総合対策を「画期的」とする一方、「警察官が車道を走る手本を示し、取り締まりなどの確実な実行をしてほしい」と話した。特に、自分が事故に遭ったのと同じような生活道路について「学校や買い物帰りの多くの人が他人に無関心」と懸念し、「取り締まりが必要なのは駅前だけでない」と注文を付けた。【馬場直子、北村和巳】

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