熊本強盗殺人:裁判員裁判で求刑通り死刑 地裁判決

2011年10月25日 15時46分 更新:10月25日 23時0分

 熊本市と熊本県宇土(うと)市の民家に押し入って計3人を殺傷、現金を奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた熊本市城南町、無職、田尻賢一被告(40)の裁判員裁判で、熊本地裁(鈴木浩美裁判長)は25日、求刑通り死刑を言い渡した。裁判員裁判での死刑判決は9件目。

 田尻被告は起訴内容を認めており、争点は量刑だった。弁護側は宇土市の事件について自首の成立を主張し死刑回避を求めたが、判決は「もうごまかせないと思い自供した。自発的に申告したとは到底いえない」と自首成立を否定。「酌量すべき事情を総合しても極刑をもって臨むほかない」と判断した。

 判決は最高裁が83年に示した死刑選択の基準「永山基準」に基づき、量刑を検討した。動機を「隠してきた秘密や塗り重ねたうその発覚を恐れ、強盗して一度に大金を手に入れようと考え、身勝手で短絡的」と指弾した。

 また殺害状況を「被害者らの親切心につけこむ姑息(こそく)なうそで巧妙に玄関を開けさせた。殺傷方法は残虐さが際立っている」と認定。「宇土市で強盗殺人を犯していながら、7年後に再び熊本市の事件を起こしており、同一機会に3人を殺傷した事件より更に悪質だ」と指摘した。

 酌むべき事情として熊本市の事件での自首を挙げた一方「逃げ切れないと思って決断したもので、罪の意識や良心の呵責(かしゃく)に基づかない」とも指摘した。弁護側が「偶発的」と主張していた殺害の計画性についても「被害者の抵抗を排除したり、確実に逃げるために殺害を決意しており、偶発的とは到底いえない」と退けた。

 判決によると、田尻被告は04年3月13日、宇土市走潟(はしりがた)町の医院長宅に侵入、妻の中津千鶴子さん(当時49歳)の頭や顔をスパナで殴るなどして殺害し、現金18万3000円などを奪った。また今年2月23日、熊本市渡鹿(とろく)の会社役員、右田孝治さん(72)方で、妻美子さん(当時65歳)を刺殺し現金約10万円など強奪。更に帰宅した右田さんの胸などを刺し大けがをさせた。【遠山和宏、丸山宗一郎】

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