自公議員もザンゲ 儲かったのはヤミ金融と弁護士だけ
【政治・経済】
「貸金業法改正」は大失敗だった
民主、自民、公明、みんな、の国会議員が呼びかけ人になっている超党派の「貸金業法改正の影響と対策に関する勉強会」。9日の会合で、東京情報大の堂下浩准教授が発表した調査結果は、驚くべきデータばかりだった。
まず、法改正で消費者金融から借りられる額が年収の3分の1以下に抑えられたことにより、消費者金融利用者の借入残高は84万円(06年)から50万円(10年)に減少した。しかし、その代わり、親族や友人からの借り入れは50万円(06年)から90万円(10年)に拡大。ヤミ金融の利用者は推計で42万人(09年)が58万人(10年)まで増加している。
最近は取り立てをしない“ソフトヤミ金”が主流。そのため、ヤミ金融に手を出して後悔した割合は61.4%(08年)から46.0%(10年)に減り、ヤミ金に恩義を感じている人までいる。公明党の遠山清彦衆院議員は、実際にヤミ金融業者に会って、ガク然としたという。
「そのヤミ金融業者は足を洗いたいが、顧客が40人いて、『アンタがいなくなったら、借りるところがなくなる。やめないでくれ』『足を洗うなら、ヤミ金は違法行為なのでアンタを訴える』と逆に脅されるような状況です。3万円程度の小口の貸し出し中心で、年利は1500%。それでも貸し倒れはほとんどないそうです」
この問題に詳しく、勉強会の講師も務める、政策研究大学院大学客員教授の石川和男氏がこう言う。
「本来、多重債務問題は社会問題であり、カウンセリングや心のケアが必要なのです。それを金融政策でやろうとしたから失敗した。メディアも政治家も『消費者金融を叩け!』という異様な空気の中で、法改正をしてしまったのです。失敗は元に戻さなければいけない。今度は社会政策として再び法改正すべきです」
結局、貸金業法が改正されて喜んでいるのは、債務整理や過払い金請求を手がける弁護士と司法書士だけ。彼らの大手消費者金融7社からの受取手数料累計額は、この4年で4000億円超にまで膨らんでいる。こんな歪んだ法律は見直し必至だ。