国民健康保険:広域化の負担巡り火花…地方間に対立

2011年10月24日 23時49分 更新:10月25日 0時20分

 税と社会保障の一体改革案に盛り込まれた国民健康保険(国保)制度の見直しに向け、国と地方の協議が24日、スタートした。しかし、市町村が運営する国保を広域化し、将来都道府県に財政運営を担わせる厚生労働省方針を巡っては、積極姿勢の市長・町村会側と、負担増を警戒する知事会側の対立が解けないまま。国保広域化では国側についた市町村も、一体改革案の低所得者対策には不満を表明、議論は早くも難航気味だ。【鈴木直、山田夢留】

 「国保の都道府県単位化は、(国による)国保財政の基盤強化が大前提だ」

 協議の冒頭、知事会社会文教委員長の福田富一栃木県知事はさっそく国側をけん制した。一体改革案は国保の都道府県単位化による財政基盤強化を目指しているが、福田氏は「財政強化の先行を」と強く求めた。

 元々自営業者を対象とした国保も、現在は加入者の約4割が無職で、所得のない世帯が22・8%に上る。高齢者も多く、1人当たりの医療費は大企業中心の健康保険組合や、中小企業中心の協会けんぽの2倍前後。市町村は一般会計などから年間5400億円を繰り入れて補填(ほてん)しているが、09年度の実質赤字は2633億円に達する。

 小規模市町村による国保運営は困難となりつつあることから、政府は6月にまとめた一体改革案で、国保の広域化とともに低所得者対策として公費2200億円を投入する方針を打ち出した。来年以降の通常国会に関連法案を提出する意向だ。

 それでも財源が不明確なうえ、高齢化によって将来の持ち出しが膨らむことを警戒する都道府県側は国の責任放棄ととらえ、京都府など一部を除き強く反発している。広域化は75歳以上の後期高齢者医療制度を廃止し、加入者の大半を国保に移行させることが前提で、知事会側は「低所得者対策に広域化や後期医療廃止をセットにした法案には断じて賛成できない」と伝えた。

 財政負担の軽減につながる市町村側は「議論を深めてほしい」(岡崎誠也高知市長)と求め、国保の広域化には賛意を示した。だが、2200億円投入という政府案に関しては不満顔。市町村が補填している額の半分にも満たず、斎藤正寧秋田県井川町長は「これでお茶を濁すようでは困る」と述べ、国側に一層の追加負担を迫った。

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