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「てんでんこ」の扱いで論戦 釜石市議会特別委
「自分だけ助かれば良いということでは決してない」―。東日本大震災で、市内14小中学校にいた児童生徒約3000人全員が逃げて助かったとして注目される「釜石の奇跡」。その奇跡を支えた、取るものも取らずてんでばらばらに逃げるという地域の教え「津波てんでんこ」の言葉の扱い方や解釈をめぐる議論が24日、岩手県釜石市議会特別委員会であった。 質問したのは山崎長栄市議(公明)。市が、復興基本計画中間案の基本理念の中で、地域で語り継がれてきた「津波てんでんこ」の大切さを再認識する重要性を記したのに対し、「本当に、てんでんこだけで良いのか」とただした。 山崎市議は、高齢者ら要援護者が増えていることを挙げ共助、公助の重要性を強調。「てんでんこ」の言葉の使い方を誤れば、目の前で助けを求めている人を助けなくても良い、と解釈されることを危惧し「言葉だけ強調するのはいかがなものか」と、丁寧な説明の記載を求めた。 「釜石の奇跡」についても「たまたま下校前で助かった側面もある。下校後だったら、犠牲者が出たかもしれない」と指摘。「てんでんこ」だけが注目されることに違和感を示した。 市民生活部の山崎義勝部長は「記載の仕方は難しい。ただ(明治、昭和の2度の津波被害を受けた)先人の教えの良い部分は記載すべきだ」と答弁。野田武則市長も「切迫した状況の中で、自分の命は自分で守ることが大事だという教えと捉えている」と理解を求めた。
2011年10月25日火曜日
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