韓国がドイツから購入した中古ミサイル、フィンランドで押収

兵器の輸出が違法な第三国向けと誤解
ドイツから中古ミサイルを公式に導入中の韓国
フィンランド「兵器通過の許可がない」…駐独大使館「誰かがミスをした」

韓国がドイツから購入した中古のパトリオット・ミサイル69基などを積んだ貨物船「MSトール・リバティー」号が21日、フィンランドの首都ヘルシンキから約120キロ離れたコトカ港で抑留されている。この船は、フィンランドに入国する際、武器を積んでいるという事実をフィンランド税関に知らせなかったため、違法な武器輸出をしようとしたのではないかと誤解された。/写真=ロイター NEWSIS

 ドイツが韓国に輸出する中古のパトリオット・ミサイルが、通関手続きをきちんと踏まなかったため、中間寄港地のフィンランドで現地当局により違法な兵器輸出と見なされ、押収されるという騒動が起きた。韓国政府はドイツ政府と契約を結び、ドイツ軍が使用していた安い中古パトリオットを2006年から導入してきた。

 21日(現地時間)、フィンランド南部のコトカ港で船積み作業を行っていた中国・上海行きの貨物船「MSトール・リバティー」号から、パトリオット・ミサイル69基が発見された。イギリス領マン島船籍のこの船は、今月13日にドイツ北部のエムデン港をたち、二日後にフィンランドのコトカ港へ到着した。この船は、韓国を経由して最終目的地の上海に向かう途中だった。

 フィンランド交通安全局の職員が船の見回りを行ったところ、爆薬に使われる化学物質「ピクリン酸」が貨物の運搬台に積まれているのを発見し、警察に通報した。その後フィンランド当局は、捜索の過程で、コンテナに保管されていたパトリオット・ミサイルを見つけた。このコンテナは当初、ミサイルではなく「爆竹」を積んでいると登録されていた。また、兵器類がフィンランドの領海を通過する場合、フィンランド国防省の許可を受けなければならないが、この船はそうした手続きを踏んでいなかった。加えて、ミサイルの最終目的地も表示されていなかった。フィンランド当局は、このミサイルが違法な輸出と関連があるとみて、パトリオット・ミサイル69基を押収し捜査に入った。

 こうした事実がメディアを通じて知られると、ドイツ政府が釈明に乗り出した。ドイツ政府は22日、「パトリオット・ミサイルはドイツで船積みされた。合法的に韓国へ輸送される計画だった」と発表した。韓国は、ドイツが保有していた中古のパトリオット・ミサイルを輸入し、改良する事業を進めてきた。駐独韓国大使館の関係者は「今回、パトリオット・ミサイルは適法に取引されたが、輸送の過程で、誰かのミスにより通関手続きをきちんと踏まえなかったようだ」と語った。韓国の防衛事業庁の関係者も「来年の導入完了を目標にして、ドイツ軍が使用していた中古のパトリオット・ミサイルを持ち込んでいたが、中国に向かう爆竹用の火薬がミサイルの上に置いてあり、誤解を受けたようだ」と語った。パトリオット・ミサイルは、米国のレイセオン社が生産し、米国やその友好国に供給している。

 フィンランド政府は、今回のパトリオット・ミサイルの輸送過程が自国の法律に違反しているだけに、この件について捜査を継続したいという立場だ。またフィンランド側は、貨物船の船長などを対象に、通関手続きに違反した理由などについても調べている。

パリ=李性勲(イ・ソンフン)特派員
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