金正恩体制で迎える初めての冬、飢餓をきっかけに王朝の崩壊が始まる

[2011年12月22日]


北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(享年69歳)が死去してから3日、いまだ世界中がこの国の動向に高い関心を寄せている。

一部韓国メディアからは、視察先に向かう列車内で心筋梗塞を起こしたという公式発表に対し、「死亡日時ごまかし」疑惑の声まで上がっている。だが、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係者は「事前に死を匂わせるサインは一切なかった」と、次のように否定する。

「朝鮮中央テレビが19日正午に重大な発表をすると聞かされたのは当日の午前10時頃ですが、そのときも核問題についてなんらかの発表があるのかなと考えていたくらい。まさか総書記の死去を知らせるニュースだったとは。まさに青天の霹靂です」

“金王朝”という、世界でも数少ない特殊国家である北朝鮮。その最高指導者の突然死は、我々の想像を超える一大事のように思えるが、今のところ国内がパニック状態になっているとの情報はない。これは、北朝鮮が金正日死去を報じた直後、間髪入れずに葬儀委員会の名簿を発表した段取りのよさにも表れている。

「在日コリアンを含め本国の人々の間では、金正日総書記の死はそう遠くない時期にやってくるとの覚悟はありました。そのことを一番わかっていたのは、ほかならぬ金正日総書記自身だったのでしょう。だからこそ、建国63年を記念する今年9月9日の軍事パレードで息子を党序列3位に大抜擢し、海外メディアの前で後継者としてお披露目した。金正日の病死による金正恩への権力継承のシナリオは朝鮮労働党内ではとっくに織り込み済みなんです」(前出の朝鮮総連関係者)

心の準備があったとはいえ、今後の北朝鮮には厳しいシナリオが待っていると、北朝鮮事情に詳しいジャーナリストの石丸次郎氏は予測する。

「金正日急死後の素早い報道ぶりや葬儀委員会名簿のスムーズな公表を見るかぎり、確かに政治的混乱は起きないかもしれない。でも、金正恩(キム・ジョンウン)への権力継承は始まったばかり。準備期間があまりにも足りない。最高指導者の死去で、重要な政治判断も保留されることになる。それだけに、一時的に混乱は回避できても、経済、社会的な混乱は必至でしょう。特に今年は飢餓が例年よりも深刻で、大量の餓死者が出かねない。そうなれば、金正恩体制に向けて国民の不満が噴出するはず。ロイヤルファミリーによる権力世襲を強行するかぎり、北朝鮮の崩壊は避けられない」

あくまで「今のところは」平静に見える北朝鮮。だが、この冬の食糧難をきっかけに、長らく続いた“金王朝”の崩壊が始まるかもしれない。

金正日総書記の急死は、金王朝の「終わりの始まり」だ!週刊プレイボーイ1・2合併号『金正日急死で、2012年、北朝鮮崩壊へ!』

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