アメリカ軍が完全撤退したばかりのイラクの首都バグダッドで22日、連続爆弾テロ事件が発生して60人以上が死亡しました。イラクでは、マリキ政権の内部でイスラム教のシーア派とスンニ派の対立も先鋭化しており、再び混乱が広がることへの懸念が高まっています。
バグダッドで22日朝、1時間余りの間に市内の10か所以上で自動車や道路に仕掛けられていた爆発物が相次いで爆発し、現地の警察などによりますと、一連の爆発で少なくとも63人が死亡し、200人近くがけがをしました。いまのところ犯行声明は出ていませんが、警察では爆発が市内の広い範囲でほぼ同じ時間帯に起きていることから、周到に準備された組織的な犯行とみています。イラクでは、9年間にわたって駐留していたアメリカ軍の最後の部隊が、4日前に撤退を終えたばかりで、イラクの軍や警察が自力で治安を担っていけるのか不安が広がっていました。さらに連立政権の内部でも、イスラム教のシーア派のマリキ首相と対立していたスンニ派のハシミ副大統領に対し、以前のテロに関わった疑いで逮捕状が出され、宗派間の対立が先鋭化していました。今回のテロを受け、市民の間では、今後、治安が再び悪化し、かつて国内を内戦状態に陥れた宗派間の対立も再燃するのではないかという懸念が急速に高まっています。