--10月に、不妊治療を受けていることをブログで公表しましたね。
結婚して半年以上たっても授からなくて。不妊治療を経験した(衆院議員の)野田聖子さんに勧められ5月に産婦人科を受診しました。自分に治療が必要とは思わなかったのでショックでした。
--どんな診断でしたか。
卵子を包む卵胞が育たず排卵がうまくいかない「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群」です。医師にはストレスが原因ではないかと言われました。
--治療内容は。
(排卵に合わせて性交する)タイミング法です。毎月、排卵を促す注射を打ったり、受精卵が着床しやすくなる薬を飲みました。子宮と二つの卵巣を結ぶ卵管の片方が詰まっていたので、通す治療も受けました。
--タイミング法は夫婦関係が難しくなりがちです。
医師から示されたタイミングの日、台風の影響で彼が予定通りに帰宅できず、大げんかになったことがあります。私は「こんなに努力しているのに」「二人の子供のことなのに」と思い詰めていました。彼は彼で「なぜ仕事のことを理解してくれないのか」と思っていた。不正出血やおなかの痛みが出て、翌月の診察では卵巣が受診前の悪い状態に戻っていました。
--それから間もない11月に妊娠が判明しました。
「こんな夫婦仲では子供ができてもやっていけない」と思い、治療を休むつもりで実家に帰って気分転換しました。やはり赤ちゃんがほしいと思い、二人で改めて話し合い、頑張ろうと決めたんです。妊娠は無理だと思っていた時期でしたが、精神面の影響も大きい気がします。
--妊娠初期だとブログで公表しましたね。
このまま出産できるか不安はあります。安定期になってからにしたらと言う人もいましたが、不安な時期のことを伝えないのはおかしいと思いました。35歳での治療や気持ちを書くことに意味はあると思います。
20代のころは仕事しか頭になくて、結婚や出産は考えられなかった。卵子が衰えていくと知ったのも数年前です。苦しむ年齢になって初めて実態を知ることにならないよう、高校ぐらいで、きちんと妊娠出産について教えるべきだと思います。私も何らかの形で情報発信を続けたいです。【聞き手・五味香織】=随時掲載
==============
■人物略歴
旧姓・山本。テレビ局勤務を経てフリーアナウンサー、タレント。10年8月に結婚、今年6月にタレント活動から引退。19日に自叙伝「モナ 本当の私」を出版する。35歳。
毎日新聞 2011年12月18日 東京朝刊
PR