12月16日、野田総理は福島第一原発事故に対する収束宣言を出しましたが、未だ溶け落ちた核燃料がどうなっているのかは定かでなく、あくまで形式的なものだという見方が強まっています。仮に、各原子炉の冷温停止状態が保たれているとしても、これまで海に流し続けてきた汚染水や、事故によって仕事や生活を奪われた人たちをどうするかなど、日本は今後何十年も今回の原発事故と向き合っていかなければなりません。
そう考えると、未成年である若い世代全体が、この事故の被害者だともいえます。彼らはこの事故や、事故に対する政府の対応をどう思っているのでしょうか。
『放射能と原発のこれから――武田先生、どうしたらいいの?』(武田邦彦/著、KKベストセラーズ/刊)は、工学博士の武田邦彦氏が、中高生から大人まで理解できるよう、わかりやすく放射能や原子力について解説している一冊ですが、その中に原発事故に関して、100人の女子高生を対象に行ったアンケートの結果が掲載されています。
■女子高生の9割は政府やマスコミを信用していない
本書が実施したこのアンケートは大きく分けて
「メディアや政府が正しく情報を伝えているか」
「放射線による影響について不安はあるか」
「原子力発電はやるべきか」
という3つに分けた構成になっています。
特に目立つのは「福島第一原発事故の実態について、メディアの報道はきちんとなされていると思いますか?」という質問に対して、回答者の約9割に及ぶ89人が「きちんと報道されていない」と感じていることです。
また、「福島第一原発事故の実態についての政府の説明はきちんとされていると思いますか?」という質問に対しても全体の9割以上(96人)が「きちんと説明されていない」と答えています。
さらに、「放射線による影響について不安はあるか」という質問にも96%の回答者が「不安がある」と答えており、上記のような政府・マスコミへの不信が、不安感を増大させているともいえる結果となっています。
武田氏は、このような結果となったことの原因について、政府のいうことがコロコロ変わることや、前に言っていたことと違うことを平気で報道することをあげ、「重く受け止めていただきたい」と、政府・マスコミに対して警句を発しています。
今回アンケートの対象となった女子高生というのは、いうまでもなく「未来の母親」です。今回の事故で本当に迷惑を被ったのは、これから子どもを産む女性たちだと武田氏はいいます。
『放射能と原発のこれから――武田先生、どうしたらいいの?』は、今だけではない、長期的な放射能との付き合い方、避け方や、政府が長年行ってきたエネルギー政策の欺瞞についてつづられています。
今回のような事故を繰り返さないためにも、政府やマスコミが流す情報に惑わされない確たる知識を持ちたいものです。
(新刊JP編集部)
※講演会情報:本書の刊行を記念して、武田邦彦氏の講演会が2012年1月9日(月)14時30分より、新宿紀伊國屋ホールにて開催されます。
武田邦彦氏講演会詳細情報はこちらから
http://takedanet.com/2011/12/post_38a4.html