NTTドコモのスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)で20日に発生したメール不具合トラブルは、顧客情報管理サーバーにアクセスが集中し処理能力を超えたことが原因だった。スマホ市場は今後も利用者とデータ量双方の増加が見込まれるが、通信の混雑対策に課題が突きつけられた形だ。
トラブルは、スマホ向けネット接続サービス「spモード」でメールアドレスが他人のものと置き換わってしまうもの。誤表示されたアドレスに返信すると、個人情報が意図しない相手に届くおそれもある。最大10万人に影響が出た可能性がある。
ドコモによるとトラブルのきっかけは、20日昼、関西地区で光ファイバーを保守の際に切断してしまった事故だった。通信障害は約2時間で回復したが、その後、スマホ端末が一斉に顧客情報管理サーバーへ再接続を要求。サーバーの処理能力を上回り、利用者とアドレスの情報を結びつける機能が損なわれた。アドレスの誤表示は同日午後6時まで続いた。
トラブルの背景にあるのは、スマホの利用者増とデータ通信量の急増だ。ドコモは今年度、既に昨年度通年(252万台)を上回る500万台を販売したほか、KDDI(au)も11月には携帯電話販売台数の過半数をスマホが占めた。一方、1台当たりのデータ通信量も、ゲームや音楽配信などのアプリケーション(アプリ)多用により、従来の携帯の数十倍とされる。
各社は、データの通り道を確保する手段として、基地局増設などに取り組んできた。同時にデータを円滑処理する対策として、顧客情報や接続先、課金を管理するサーバーの数量・容量増強を進めていたが、「スマホ急増への対応が不足していた」(ドコモ)という。
一方、総務省は「通信障害だけではなく、個人情報流出の可能性もある特殊事例」として、電気通信事業法の「通信の秘密」を侵害するおそれもあるとみている。同社に対して事故原因や再発防止策を求める方針だ。【種市房子】
毎日新聞 2011年12月22日 20時14分(最終更新 12月22日 21時30分)