ほとんど Wikipedia の記述の引き写し。
筆者は記載されている作品について8割方は実際に観たことがないので正確性については保証しない。
魔法少女の定義
1.少女(成人前の女性)であること。
2.超常現象を引き起こす能力を持っていること。
3.その能力、もしくは引き起こされた超常現象を、作品本編中において「魔法」と呼称していること。
(「ウィキペディア 日本語版 2011年3月27日 (日) 15:25」による)
*ハイ・ファンタジー作品(魔法の存在が公知であり現実的世界とは繋がらない世界観が舞台の作品、例えば『スレイヤーズ』や『ハリー・ポッター』)に登場する職業的魔法使いの少女を魔法少女に含めるかどうかについては、論者によって見解の相違がある。
*上記の定義を踏まえたうえで、敢えて年齢や性別を逸脱させた設定の作品が2000年代から見られる。
出自による分類
先天的:生まれつき魔法が使える
後天的:一般人が道具を与えられて魔法を獲得 / 一般人が魔法の使える世界へ移動することで魔法を獲得
舞台による分類
人間界型:魔法が一般的でない現実的な世界
魔法界型:魔法の存在が公知のものである世界
先天・人間界型:例 『魔法使いサリー』『魔法のプリンセスミンキーモモ』
先天・魔法界型:例 『魔女の宅急便』『魔法遣いに大切なこと』
後天・人間界型:例 『ひみつのアッコちゃん』『魔法の天使クリィミーマミ』
後天・魔法界型:例 『魔法騎士レイアース』『魔法少女隊アルス』
*先天・人間界型(魔法少女が人間界にやってくる)と後天・魔法界型(一般人が魔法界に行って魔法少女になる)は対照的な関係にある。
魔法の力による分類
万能型:機能に制限がない
機能限定:指定した職業の大人に変身、アイドルに変身、特定の種類の攻撃技など
魔法の使用目的による分類
人助け型:一般市民(友人を含む)の困りごとを魔法で解決する
戦闘型:平和を脅かす敵を魔法で倒す。国家や世界規模の存亡に関わる強大な敵を相手にする場合、「戦闘美少女(バトルヒロイン)系」とも呼ばれる
コメディー型:日常を撹乱するコミカルな手段として魔法が使われる
*少年・男性向け作品において、1970年代までは国家や世界規模の平和を守るのは男性主人公の仕事であり、少女は守られるだけの添え物としての存在だった。しかし1980年代にその構図が崩れだし、実際に敵との戦いを勤める役目を美少女主人公(「戦闘美少女」)に託すようになっていく。この変化が1990年代には少女向け作品へも波及し、「戦闘美少女(バトルヒロイン)系魔法少女」を生み出した。
主人公格のキャラクターの人数による分類
単独:人助け型に多い(ただし、人語を操り助言を与える小動物が活動をサポートすることが多い)
複数:戦闘型に多い
*視聴者の多様なキャラクター嗜好に応え商業展開を有利に進めるため、近年では主人公格のキャラクターは複数のものが多くなっている。
変身による分類
変身不要型:変身しなくても魔法を使える
着替え型:変身しなくても魔法を使えるが、何らかの理由付けにより敢えて魔法使用時専用の衣装を着る
自己目的型:変身すること自体が魔法の目的
変身必須型:変身しなければ魔法を使用することが出来ない
*変身必須型が成立したのは変身ヒーローものの影響と思われる。衣装だけ変わるものや、肉体ごと変わるものがある。
想定対象となる視聴者による分類
女児向け:玩具メーカーをスポンサーにし玩具を売る。TV放送時間は朝、もしくは夕方から20時までの時間帯が多いが、2000年代からは地上波での新作の放送は事実上、土曜か日曜の朝に限られる
高年齢向け:主に10代後半から20代の男性(アニメマニア)を想定し、深夜 TV 放送もしくは OVA(ビデオ・DVD 等のメディアで専売)で展開する
*ただし、アニメマニアが女児向けアニメを消費するようになり、また製作者もアニメマニア出身者が増加するのに従い、商業的利益の拡大のため女児向けアニメの製作者がアニメマニアを意識するようになってきている
デザイン上の特徴
舞台が日本で日本人であっても、髪の色が赤、青、緑、黄色、ピンクといった不自然に派手な色であることが多い。そして作中の人物たちはそれを不審に思わない。たとえ髪が自然な色であっても、変身後は不自然な色になることがある。
*考えられる理由:
・女児の関心を引くよう、カラフルな画面にするため
・普通の人間ではない異能者としての記号
・低年齢の女児でも容易に外見でキャラクターを判別できるようにするため
・戦闘美少女系の場合、戦隊ものの隊員の変身後の色分けの影響を受けているため → 変身後の衣装の色も髪色と合わせられている ← メインキャラクターの人数が多いとなおさら個々を識別しづらくなるため
・日本人の欧米への憧れの反映
・製作者が顔の描き分けの手間を省くため
歴史
*年は初出。
特に注記のない場合はTV放送のアニメーション作品。
太字は時代の代表作や、歴史上特筆すべき作品。
1960年代
魔法少女ジャンルの原型が誕生した。
- (海外)『Sabrina, the Teenage Witch』シリーズ(マンガ:1962年-)
- 『魔法使いサリー』(1966年) *先天型の原型、東映動画魔女っ子シリーズの始まり ← 海外実写『奥さまは魔女』(1964年)の影響
- 『ひみつのアッコちゃん』(マンガ:1962年、アニメ:1969年) *後天型の原型、「魔法少女の変身」の元祖
- (実写)『コメットさん』(1967年) ← 海外『メリー・ポピンズ』(1964年)の影響
- (海外実写)『かわいい魔女ジニー』(日本放映1966年-1970年)
1970年代
少女向けアニメの黄金期ではあるが、魔法少女ものの作数はさほど多くなかった。
- (実写)『魔女はホットなお年頃』(1970年)
- 『魔法のマコちゃん』(1970年)
- 『さるとびエッちゃん』(マンガ:1964年、アニメ:1971年) *主人公の少女に人語を話せる小動物のお供が付く嚆矢
- 『魔法使いチャッピー』(1972年)
- 『ミラクル少女リミットちゃん』(1973年) *厳密にはサイボーグによる超能力であり魔法ではない
- 『魔女っ子メグちゃん』(1974年) *従来作品の優等生的キャラクターからお転婆・お色気キャラクターへの大胆な転換を図る
- 『魔女っ子チックル』(1978年)
- (実写)『コメットさん』(第2作、1978年)
- 『花の子ルンルン』(1979年)
1980年代
第二次魔法少女ブームが到来。
一方で1970年末のアニメブームからオタクが台頭し、家庭用VTRの普及とともにOVAが出現するや、すぐにアダルトアニメ(アニメーションによるポルノ)作品に魔法少女が採用されている。
1980年代後半はブームが収束し、オリジナルの女児向け新作魔法少女アニメがしばらく途絶えた。
- 『魔法少女ララベル』(1980年)
- 『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(1982年) *第二次魔法少女ブームの象徴的作品。女性の社会進出が進む世相を反映し、主人公がさまざまな職業の大人に変身。10代後半ー20代男性へのファン層拡大( ← アイドルブーム・ロリコンブームの影響・家庭用VTRの普及・生まれた時からテレビアニメがあった世代の台頭)
- 『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年) *「ぴえろ魔法少女シリーズ」の始まり。魔法少女とアイドル歌手を組み合わせ、担当声優も実際の新人アイドル歌手を起用した (← アニメとアイドルのタイアップは前年開始のSFアニメ『超時空要塞マクロス』が先駆者)
- 『魔法の妖精ペルシャ』(1984年)
- 『魔法のスターマジカルエミ』(1985年)
- 『魔法のルージュ りっぷ☆すてぃっく』(OVA:1985年) *魔法少女の様式を使ったアダルトアニメの最初期の作品
- 『ミンキーモモのパニックボール』(ゲーム:1985年) *アニメのゲーム化の最初期の例
- 『魔法のアイドルパステルユーミ』(1986年)
- 『魔女っ子クラブ4人組 A空間からのエイリアンX』(OVA:1987年)
- 『くりいむレモン 二人のハートブレイクライブ』(OVA:1987年) *アダルトアニメ
- 『ひみつのアッコちゃん』(第2作、1988年)
- 『ハーバーライト物語』(OVA:1988年)
- 『魔法使いサリー』(第2作、1989年)
- (実写)『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』(1989年)
- (実写)『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989年)
1990年代
『セーラームーン』が大成功した影響を受け、戦闘美少女系魔法少女や、主人公の恋愛をストーリーに組み込んだ作品が増加した。
1990年代末に単独人助け型は女児向けとしては商業的に振るわなくなる。
家庭用ゲーム機やパーソナル・コンピュータが性能向上に伴ってマルチメディアに対応し始めたことから、TVアニメの様式を踏まえた演出がコンピュータ上で可能になり、オリジナルの魔法少女がゲーム作品として生まれた。
- 『魔法のエンジェルスイートミント』(1990年)
- (実写)『美少女仮面ポワトリン』(1990年)
- (実写)『不思議少女ナイルなトトメス』(1991年)
- 『魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて』(1991年)
- 『魔法の少女シルキーリップ』(ゲーム:1992年) *魔法少女アニメのフォーマットを導入したオリジナルのアドベンチャーゲーム ← 家庭用ゲーム機のマルチメディア化により実現
- 『パステル Lime』(ゲーム:1992年)
- 『花の魔法使いマリーベル』 (1992年)
- 『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(1992年-1997年) *「戦闘美少女(バトルヒロイン)系魔法少女」の定着、「魔法少女+戦隊もの+恋愛」の組み合わせの出現、海外でも成功
- 『姫ちゃんのリボン』(マンガ:1990年、アニメ:1992年)
- 『ヤダモン』(1992年)
- (実写)『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993年)
- 『赤ずきんチャチャ』(1994年)
- 『魔法騎士レイアース』(1994年)
- 『愛天使伝説ウェディングピーチ』(1995年)
- 『ナースエンジェルりりかSOS』(1995年)
- 『魔法少女プリティサミー』(OVA:1995年、TV:1996年) *既存アニメ作品から魔法少女ものとしてスピンオフした初の作品であり、女児向けではない魔法少女もののTVアニメとしても初
- 「魔法の賭博師 トトカル☆チョミ」(ゲーム:1995年) *アダルトゲーム『VIPER -V12-』所収、魔法少女のフォーマットを利用 ← PC のマルチメディア化
- 『魔法使いTai!』(OVA:1996年、TV:1999年)
- 『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』(1998年)
- 『カードキャプターさくら』(1998年) *夕方からゴールデンタイムの時間帯にTV放送された最後の作品
- 『魔法のステージファンシーララ』(1998年)
- 『ひみつのアッコちゃん』(第3作、1998年)
- 『おジャ魔女どれみ』シリーズ(1999年-2003年) *人助け型・戦闘型両方の流れを組みつつ、日常の人間ドラマの要素が強く押し出されている
2000年代
女児向け作品では、同じ放送枠の『おジャ魔女どれみ』シリーズと『プリキュア』シリーズの長期シリーズ化が目立つ。
数の上ではアニメマニア向け作品が上回る。
2000年代後半には TV から女児向けの古典的魔法少女は姿を消し、戦闘型だけになってしまった。
女児向け作品の放送時間帯も夕方から朝へ追いやられた。
一方で、高年齢層向けの作品(特にマンガやライトノベル)においては、ナンセンスギャグや下品で卑猥なユーモアの主体として魔法少女を起用したり、魔法少女の仕事を嫌がる少女や、男性や既婚の女性など少女とはいえない人物を魔法少女に設定したりという風に、魔法少女ジャンルを解体するポストモダン的なものが多く見られるようになった。
- 『おジャ魔女どれみ』シリーズ(1999年-2003年)
- 『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』(2001年)
- 『大魔法峠』(マンガ:2001年、OVA:2006年) *魔法少女を邪悪で迷惑な来訪者と位置づけたり、魔法ではなく関節技で戦ったりとジャンルの要素を転倒させたコメディの嚆矢
- 『ぷにぷに☆ぽえみぃ』(OVA:2001年) *アニメマニアをターゲットとし、かつ魔法少女のフォーマットを利用したスラップスティック・コメディの出現
- 『プラネットガーディアン』(マンガ:2001年)
- 『魔法少女アイ』シリーズ(ゲーム:2001年-2008年、OVA:2003年-2009年) *アダルト作品
- 『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』(OVA:2002年)
- 『魔法遣いに大切なこと』(マンガ:2002年、アニメ:2003年)
- (実写)『美少女戦士セーラームーン』(2003年)
- 『ウルトラマニアック』(マンガ:2002年、アニメ:2003年)
- 『ブロッケンブラッド』(マンガ:2003年) *少年が女装コスプレで魔法少女になるギャグマンガ
- 『新本格魔法少女りすか』(小説:2003年) *ミステリとの融合
- 『プリキュア』シリーズ(2004年-) *派手な肉弾戦闘中心の魔法少女の出現。想定視聴者は主として女児であるがアニメマニアも想定している。キュアブラックはメインヒロインであるにも関わらず初めて黒を衣装の基調色として採用した
- 『魔法少女リリカルなのは』シリーズ(2004年-) *アニメマニアをターゲットとし、SF的な魔法世界観や派手な魔法戦闘アクションを導入
- 『魔法少女隊アルス』(2004年)
- (海外)『Winx Club』 (2004年) *イタリア制作のアニメ
- (海外)『ウィッチ -W.I.T.C.H.-』(2004年) *日本の「戦闘美少女系魔法少女」を踏襲したアメリカ・フランス共同制作のアニメ(原作はイタリアのマンガ)
- 『解析魔法少女美咲ちゃん マジカル・オープン!』(技術書:2004年) *ソフトウェア技術書
- 『シュガシュガルーン』(マンガ:2003年、アニメ:2005年)
- 『ふしぎ星の☆ふたご姫』(2005年)
- 『魔女っ娘つくねちゃん』(マンガ:2003年、OVA:2005年)
- 『撲殺天使ドクロちゃん』(小説:2003年、OVA:2005年)
- 『奥さまは魔法少女』(2005年) *少女の年齢を過ぎても魔法少女の仕事を続ける主人公を設定
- 『魔法の海兵隊員ぴくせる☆まりたん』(マンガ:2005年)
- 『マヴカレ魔法少女! 』(小説:2005年) *少年が魔法少女に変身する官能小説
- 『おとぎ銃士 赤ずきん』(OVA:2005年、TVアニメ:2006年)
- 『魔法少女沙枝』(ゲーム:2005年-、OVA:2006年) *アダルト作品
- 『砂沙美☆魔法少女クラブ』(マンガ:2005年、OVA:2006年) *『魔法少女プリティサミー』のスピンオフ作品
- 『桜ish―推定魔法少女―』(小説:2006年) *少年が魔法少女に変身するライトノベル
- 『魔法少年マジョーリアン』(マンガ:2006年) *少年が魔法少女に変身する
- 『ストライクウィッチーズ』シリーズ(小説:2006年、アニメ:2007年)
- 『ぼくと魔女式アポカリプス』(小説:2006年)
- 『Saint October』(2007年)
- 『からっと!』(マンガ:2007年)
- 『オシャレ魔女ラブandベリー しあわせのまほう』(映画:2007年) *トレーディングカードゲームのアニメ映画化
- 『もえたん』(原作:2003年、アニメ:2007年) *原作は英単語学習教本
- 『おと×まほ』(小説:2007年) *少年が魔法少女に変身するライトノベル
- 『ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ』(マンガ:2007年) *少年が魔法少女に変身する
- 『レンタルマギカ』(小説:2004年、アニメ:2007年)
- 『School Days OVA スペシャル ~マジカルハート☆こころちゃん~』(OVA:2008年)
- 『メイのないしょ -make miracle-』(マンガ:2008年) *主人公は自分が女だと思い込んでいたが実際は男だった
- 『魔法遣いに大切なこと』(第2期、2008年)
- 『魔法の少女シルキーリップ 三人の女王候補』(ゲーム:2008年) *リメイク及びアダルトゲーム化
- 『けんぷファー』(小説:2006年、アニメ:2009年) *少年が魔法少女に変身する
- 『電想幻士ミルキューア』(マンガ:2009年) *少年が魔法少女に変身するエロマンガ
- 『魔法少女プリティ☆ベル』(マンガ:2009年) *おっさんが女装して魔法で戦う
- 『とぅ うぃっち せる!』(小説:2009年) *少年が死んで精神が魔法少女に宿り同居するライトノベル
2010年代
- 『プリキュア』シリーズ(2004年-)
- 『アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~』(小説:2010年) *『ウォッチメン』を魔法少女ジャンルへ翻案
- 『Panty & Stocking with Garterbelt』(2010年)
- 『これはゾンビですか?』(小説:2009年、アニメ:2011年) *死んだ少年が魔法でゾンビとして蘇り、女装して魔法少女になる
- 『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年) *視聴者の魔法少女ものへの先入観をストーリー・テリングのギミックに利用したダーク・ファンタジー
- 『放課後のプレアデス』(2011年) *富士重工業(スバル)の販売プロモーションのために制作され YouTube で配信された
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