2011年12月21日 (水)

リハビリ体験記19.回復期リハビリ病院に転院してからの成果

 

28.娘の日記より

2003/3/13(木)お父さんが歩いた

 

リハビリ病院に転院して一週間になる。

 

久しぶりにお休みできたので、昼過ぎにお見舞いに行った。

 

杖無しで少し歩けるようになったと、歩くところをアヤに見せてくれた。

 すごい!!

 

めきめき良くなっていくお父さんにビックリした。

きっと、リハビリ必死にがんばってるんやろなー!

 

 

お母さんがずいぶん元気を取り戻した感じ。

 でもお母さんは、「お父さん辛いと思う。体が思うように動かないってホンと辛いよ」と悲しそうに言った。

 

「でもお父さん、だいぶ良くなったでしょう!」

 

「あの意識のない時、命が助かるか分からない時のこと思い出してみてよ!」

  「その時より元気になってきたんやから!!」

  て励ましたけれど、やっぱり「うん..そうだね...」と元気なくお母さんはそう言った。

 

 

2003/3/17(月)倒れてから2ヶ月目

握手する力が強くなる。

腕を少し上げる事が出来る様になった。

日に日に力がついて、指も腕も動くようになって来るようだ。

お父さんに会いに行く度に一つ何か出来るようになっているからとても嬉しい。

 

お父さんの努力の成果なんだろうなーって、ものすごく感心した。

もしかしたら元の体に近い状態まで戻るかもしれへん..。

 

 

2003/4/02(水)お父さんは凄い

 

指が大分曲がるようになった。

 

お父さんと一緒に病院の廊下を歩いた。

すごい...。

まだ安定感は無いけど大成長だ。

この調子でもっと良くなるといいなー。

 

6日は看護婦さんと面談なのでアヤも一緒に話を聞くことにした。

 

今日は天気が良かったので、お父さんを車椅子に乗せて、お母さんと3人で病院の公園のベンチで花見をしながらパンを一緒に食べた。

 

桜が九分咲きできれいやった。6日は満開だろう。

 

無地のクッションに絵を描いて渡すと喜んでくれた。

嬉しかった。

 

もうすぐ退院出来るかもしれない..。

そんな期待もある。

  けど、病院でもっとリハビリしてもっと、もっと良くなってほしい..。

そんな思いも頭にあった。

 

 

 

続く

リハビリ体験記 20.病院サイドが把握したリハビリの成果

 

2011年12月20日 (火)

リハビリ体験記 18.手の訓練はどうなるのか

 

26.理学療法士に聞く

13時前に一階の訓練室に行き、リハビリについて担当のPTさんに、いろいろ質問しました。その結果は次のようだっただと思います。

 

・患者さんの中には、訓練さえすれば、麻痺は必ず治ると考えている方がいる。

 

・もちろん、希望を持って訓練を受けられることは大切なこと。

 

・しかし、訓練のみが回復の具体を決定するすべての要素ではない。

 

・人には自然回復力があり、これに適切な訓練を加えることによって麻痺はより改善する。

 

・麻痺が将来、良くなるのか、ならないのかを判断することは極めて難しい問題である。

 

・そのために、”麻痺に対する訓練"と”残された能力を開発する訓練”を同時に行う。

 

・このように2本立ての訓練をするのは、麻痺がよくならなかった場合の対応策を準備しておくという意義が一つ。

 

 

・さらに、麻痺がよくなるまでの生活を少しでも快適に過ごすために、自立を促し、援助する目的が二つ目。

 

「午前中にOTさんの言ったことは、この事を含んでいるのです」

手だけでなく上肢全体を動かすことは続けてください。

 

「諦めたら絶対駄目です」

「あとで、今後の訓練について担当のOTさんと話しておきます」

 

「さあ、今日は模擬階段の練習をしましょう」

「上手くできれば、次は本物の階段に行きましょう。

 

 

27.翌日からのリハビリ

作業療法は、指を使う訓練に主力がおかれました。

 

また手をお腹の辺りで組んで前にのばしたり、そのまま上に挙げる練習などを無理しない程度に自主訓練するように指導されました。

 

健手のみでの日常生活動作については、教えていただきましたが、参考にする程度で、あくまで麻痺手の訓練をお願いしました。そうでないと、麻痺手が動くようにならないと思ったからです。

 

立ってバランスをとる訓練や、しゃがんだり立ち上がる練習もしました。

 

しゃがむ動作や・立ち上がる動作は意外と難しいのですが、これが出来ると便利なことが多いのです。和室などでは便利ですし、和式トイレも使用できます。

 

テニスボールで玉突きをしたり、キャッチボールをしました。サッカーボール蹴りも練習しました。

 

そのほかに洗面や入浴・トイレなどの日常生活動作も指導していただきました。

 

調理の実習も受けようと思ったのですが、聞いてみると『片手での調理訓練』だったので止めました。調理するなら両手でしたいからです。

 

訓練室にパソコンがあったので、手を動かすために触ることを頼み、許されました。

 

 

理学療法は、廊下の杖無し歩行、健常者と同じような1段1足での階段の上下訓練から、一段飛ばしの階段の上下に進み、戸外の歩行に進みました。走る練習もしましたが、出来ませんでした。

 

訓練室では平行棒の向こうに全身が映る鏡をおいて、歩く姿勢を正すような歩行も繰り返しました。

 

 

続く

 リハビリ体験記 19.回復期リハビリ病院に転院してからの成果

 

 

2011年12月18日 (日)

リハビリ体験記 17.肩に激痛が・・・

24.真夜中に大変なことが起きた

 

上肢の訓練を開始して一週間は、通常の訓練を続けました。

 

ところが一週間目の夜中、肩の激痛で目が覚めたのです。

 

タイミング良く、夜勤のナースが見回りに来ました。

「マサおじさん、大丈夫?」

 

「肩が痛い、助けてください」

 

「夜勤の先生に痛み止めを頼みましょう」

「少し辛抱してください」

 

暫くして痛み止めを飲ませてくれて、肩に湿布を張ってくれました。

 

「上を向いて寝てください」

「左の肩と腕のところに長いクッションを入れますから」

 

しばらくすると、痛みが薄れ、熟睡しました。

 

翌日は、定刻6時に目が覚めました。

 

痛みは完全に無くなっています。

 

夜勤のナースが起こしに来ました。

「皆さん6時ですよ」

 

「マサおじさん痛みはどうですか?」

 

「昨夜はお世話になりました。もう大丈夫です」

 

「あれから爆睡されたので、大丈夫かなって思いましたが・・・」

「良かったですね」

 

 

25.作業療法士さんの言葉

 

10時前に、OTさんが病室に来て言いました

「昨夜は大変でしたね、どうですか?」

 

「もう痛みはありません」

 

「そうですか、良かったです」

「激痛の原因は、左肩の亜脱臼です」

「左腕の訓練は、やはりリスクが多すぎますね・・・」

「肩の亜脱臼は、肩の訓練以外に治すことが出来ないのです」

「だから回復はむずかしいかも・・・」

 

「何とか補助的に使えるような訓練に切り替えます」

「今日は、作業療法は休みましょう」

13時からの理学療法は、あると思います」

と言い残して出て行きました。

 

『そんなアホな』

『手が動くようにならん?』

『補助的に?』

『意味が分からん』

 

『指は少し動くやんか』

『肩が無理なんか?』

『昼から理学療法の先生に聞いてみよ』

 

続く

 リハビリ体験記 18.手の訓練はどうなるのか

 

 

2011年12月17日 (土)

リハビリ体験記 16.誕生日のサプライズ

 回復期リハビリ病院に来て3日経ちました。今日は私の59回目の誕生日です。59歳になりますが、倒れてリハビリ中の病院です。お祝いどころではないと思っていました。

 

 

23.昼食は、お祝いの幕の内弁当

 

朝食が終わって休憩していると、担当の看護婦さんが来て、車椅子をベッド脇に持ってきて言いました。

「リハビリの方から連絡がありました」

「単独で車椅子を運転する許可が出ましたよ」

「今回はこの4階のみの移動ですが」

「それにしても、すごく早い許可です」

 

「ありがとう御座います」

「誕生日のプレゼントになりました」

 

「何歳ですか?」

59歳です」

 

「お若いですね」

「回復は速いかもしれません」

「頑張ってください」

 

お昼前に車椅子で4階をあちらこちらと回って病室に戻ると、ベッド脇のテーブルに誕生祝の幕の内弁当と誕生カードがありました。カードには担当ナースのメッセージがありました。

 

感動で涙が出そうになりました。

『がんばって、一日も早く退院しなくては』と決意を新たにしたのでした。

 

 

24.夜の面会時間がすぎて娘が来院

   娘の日記より転記します。

 

きょうは、お父さんの誕生日。

 

仕事帰りに病院に行くことにした。

 

お父さんに誕生日ケーキを買っていってあげようと思って阪急の”宝塚ホテルケーキ”で小さいケーキを買った。お誕生日おめでとうの装飾を付けてもらって・・・。

 

大阪駅で電車に乗ろうとしたらJRが止まっていて40分遅れだそう・・・。

 

ああ"・・・! 急いでるのに・・・!!

 

病院に着くと、9時を過ぎたので面会者用の入り口が閉まっていた。

 

・・・そんなー・・(-_-;) どうしよう・・・と困ったが、建物の周りを回ると、守衛さんの入り口を見つけた。

 

「JRが止まってしまって遅くなったんです」

「お父さんのためにお誕生日のケーキ持ってきたんですが、入れてもらえませんか(-_-;)!」と頼むと快く開けてくれた。

 

4階のナースステーションで同じように断りをして部屋に入ってた。

 

「お父さん・・・」と言うとビックリした。

「誕生日おめでとう。ケーキ持って来たから食べて」と言うと喜んでくれた。

 

二人で半分にして食べた。

 

お父さんは、見て見て!と言って、ニギニギをして見せてくれた。

 

ホントに少し動いてる。

 

そして、ゆるくしたマホービンのフタを手で回せるようになったところを見せてくれて嬉しかった。

 

こんなに短時間で良くなるなんて・・・。

 

「きっと、もっと動くようになるよ!」とお父さんの手に「よくなれ、よくなれ」っておまじないをして家に帰った。

 

 

続く

 リハビリ体験記 17.肩に激痛が・・・

2011年12月15日 (木)

リハビリ体験記 15.担当の理学療法士さんも素晴らしい

 

22.二日目の理学療法

 

 きょうは新人のナースが一階の訓練室入り口まで押してきてくれました。

 そう言う季節になったのです。

 

 「終わったら迎えに来ます」

  頭を下げて立ち去りました。

 

 訓練室の入り口で待っていると、担当のセラピストさんが寄ってきました。

 「昨日の廊下まで運転して、待っててください」

 

 『出来ることは自分でする』

 これが、リハビリの神髄のような気がする。

 

 「お待たせしました」

 「昨日のように手すりを持って立ち上がってください」

 

 「手すりを持ちながら少し横に移動してみましょうか」

 「歩くのですか?」

 

 「少しなら歩けますよ」

 

 「OKですね」

 

 

 「マサおじさんは杖歩行が出来るのでしたね」

 「歩くところをを見せてください、介助しますから」

 

 『上手に歩けますように、...』

 

 考えたより上手くうまく歩けた。

 

 「今度は、杖をやめて右手で手すりを掴みながら、前を向いて向こうの突き当たりまで歩いてください」

 

 『そんなんできるかなー、...』

 

 『おっ、やれば出来る、つたい歩きが出来た』

 

 「それでは、手すりから手を離して歩いてみましょう」

 

 「「後ろで介助するから大丈夫です」

 

 『とんでもない事を言う先生や』

 『そういうなら歩いてみよう、...』

 

 『?何とか歩ける』

 『これは、夢と違うよな』

 

 と思いながら顔を上げると、向こうに妻の姿が見えた。

 面会ではなく、病院に用事があって来たらしい。

 

 手を振りながら立ち去りました。

  

 「こんどは、廊下の中央を歩いてみましょう」

 

 「手すり無しで歩くのですか?」

 「介助するから大丈夫です」

 

 「突き当たりを左に曲がりましょう」

 

 「左前方の長椅子まで歩いて、休憩しましょう」

 

 「座りましょう」

 

  「介助無しで、一人でここまで歩けましたね」

 

 『?介助は無かったのか』

 

 『だまされたな、でも何んか感激するなー』

  椅子に座っていると涙が出てきました。

 

 「どうかしましたか」

 セラピストさんは驚いたようです。

 

 「杖もなしに歩けたことに感動したのです」

  「ありがとう御座います」

 

 

 「今日は、このくらいにしておきましょう」

  「明日からは杖無し歩行の練習になります」

 

 『杖が不要品になるかもしれない』

 

 『でも、捨てずに病室に置いておこう』

 

 「お疲れさま、作業療法は二階のリハビリ室で、14時からです」

 

 車椅子を押してもらい病室に戻りました。

 「車椅子は、ベッド脇に常置しましょう、明日からは助手さんが送迎します」

  ベッドに横たわって天井を見つめました。

 

 やはり涙が出てきます。

 

 これまでの訓練を思いだし、感動と嬉しさで頭がいっぱいでした。

続く

 リハビリ体験記 16.誕生日のサプライズ

2011年12月11日 (日)

リハビリ体験記 14.手のリハビリ

21.作業療法

作業療法士が聞きました。

「手や肩の状態はどうですか」

 

「指・手首・肘・肩は、右手で介助すると動きますが、自力では動きません」

「ただ、指先は自力で微かに動く気がします」

「本当に動くのかどうか分かりませんが」

 

「そうですか」

「手は、指・手の平・手首・肘・肩そして体と繋がっています」

「大きな木と似ていますね」

 

「一般に、上肢が動き始めるのは体に近い方からだと学びました」

「だから、肩や肘が動かないのに、指だけが先に動くと言うのは知りませんでした」

「指を動かしてみてください」

  

『どうか動きますように』と心で祈りました。そして手を握るようにしました。

ところが、なんと、わずかに動いたのです。

 

「ホントに動きが見られますね・・・」

「何かしていたのですか?」

  「救急病院で、揃えた膝に両手を上向きに並べて、両手を見つめながら同時に握る練習をしていたのです」

 

「前の病院では動かそうとするとピクンとする感じがありました」

「これを毎日、何度も続けてきました」

「何かしないと暇ですから」

  

「誰に指導してもらったのですか?」

「自分で考えただけです」

「凄いですね」

 

「それでは、病室でこれをニギニギしてください」

「少しずつをなんどもすれば良いですから」

  と、厚さ2cmぐらいの五角形をした弾力のある樹脂製品を見せてくれました。

 

 

「さて今日は肩を動かす訓練から始めましょう」

 

様々な用具を使って、肩・肘・手首・指の訓練を時間まで行いました。

 

「とにかく、焦らずに、少しずつ頑張りましょう」

「明日から、助手さんが送迎しますから、よろしくお願いします」

 

4階の病室まで車椅子を押してきて、ニギニギ用の訓練具を貸してくれました。

「無理に練習しないでくださいね」

「指に力をつけるための訓練ではありませんから・・・」

「右手で介助して握らせるのも効果があります」

 

「この練習で指の動きを脳に伝えるのです」

「だから10回握って休憩、10回握って休憩を10回続ける程度にしてください」

 

「膝の上に麻痺手を上にして載せ、指を広げて右手を合わせる練習をしてください」

「膝の上に麻痺手をたてて載せ、指を広げて右手を合わせる練習をしてください」

  「両手を合わせたまま、ゆっくりと胸の方に持ち上げる練習も出来ればお願いします」。「指を組むのも良いです」

 

「とにかく、無理をしてはいけません」

 

 

続く

 リハビリ体験記 15.担当の理学療法士さんも素晴らしい

 

2011年12月 5日 (月)

リハビリ体験記 13.手の訓練は作業療法の一つ

20.初めての作業療法訓練室

 

昼食を終え、歯磨きをしてベッドで休憩していると、昨日の若い女性OTが病室に来ました。

「こんにちは、二階に行きましょう」

 

車椅子を押してもらい、作業療法室に行きました。

 

車椅子のまま、セラピストさんと向かい合いました。

 

「お風呂はどうでしたか」

 

「発病してから、初めて湯船に浸かったので気持ちよかったです」

「でも、脱がしてもたって、洗ってもらうのが、どうにも恥ずかしい」

「一人で洗えるようになりたいです」

 

「そう言う気持ちは大切です」

「簡単なことは自分で出来るように努力してください」

 

「ところで着替えは一人で出来ますか?

と聞かれて気がつきました。

  

私はパジャマ姿ですが周りの患者さんは全員着替えているのです。

 

「着た切り雀で自分で着替えたことがありませんでした」

「でも出来ると思います」

  

「では試してみましょう」

  と大きめのスポーツシャツを渡されました。

 

「パジャマは脱がなくてもいいですから上に着てみてください」

 

『袖に手を通すだけやから、左手が動かんでも、右手だけで出来るやろ』

  必死で麻痺の手を袖に通し、苦労して右手も通しました。

  

「良くできました」

  と褒めながら右手だけで着替えるコツを教えてくれました。

 

「ありがとうございます。明日からは着替えてきます」

  

「頑張ってください。もし上手く出来ないならナースコールしてください。「誰かが来てくれます」

 

「さて、少し問題を出しますから答えてください」

  と簡単な計算問題を出されたり、短い文章を読んで聞かせて、覚えていることを話させたりしました。

 

左右対称のチューリップの絵を見せて書かせたりもされました。

 

『今考えると、脳卒中後の失語症の有無と左半側空間無視の回復をチェックしたようです。結果は良好でした』

 

 

続く

 リハビリ体験記 14.手のリハビリ

2011年12月 4日 (日)

リハビリ体験記 12.大きな浴場で入浴

このリハビリ病院には、10人ほどが同時に入ることが出来る浴場があります。

入浴することで身体を清潔にすることもありますが、家庭復帰してからの入浴の訓練の一環として設置されているのだと思います。

 

 

 

19.浴場で入浴訓練

 

「マサおじさん!お風呂ですよ」

  看護助手さんが迎えに来ました。

  

「着替えなどの袋は車椅子の後ろに掛けますね」

 

3階の浴場の入り口まで押してくれました。

「中から呼んでくれますからここで待ってください」

 

急いで立ち去りました。4階に戻ったのでしょう。

 

暫く待つと引き戸が開いてナースが出てきました。

「マサおじさん?」

「中に入りましょう」

と車椅子を押して脱衣場に入りました。

  

「お手伝いしますから服を脱ぎましょう」

  脱がしてもらうのですが、何となく恥ずかしい。

 

脱ぎ終わると浴場用の車椅子に乗り換えて浴室に入りました。

  洗い場には6人が入れます。

 

この日は専用の車椅子に座ったまま全身を洗ってもらいました。

 

『脱衣といい、身体を洗ってもらうこといい、なんだか恥ずかしい』

  『なんとか一人で入れるようになりたいな』

  と思うのでした。

 

 

シャワーで頭から足まで石けんを洗い流し、頭と顔を拭いてくれました。

「さあ湯船に入りましょう」

  「サポートすれば歩いて入れますか」

「出来ると思います」

  あわてて言いました。

 

  歩けないと全介助で浴槽に入らせるのです。

  

発病以来一ヶ月半。久しぶりに大きな湯船に入って温もりました。

  

  湯船は大きいですが深くなく、4人がゆったりと足を伸ばして入れる広さですから、気持ちよく浸かることができ、のんびりと温もることが出来ます。 

  

「十分温もりました」

と言うと、ナースが傍に入ってきて手を貸してくれました。

もちろんナースは全員水着を着ています。

  

「マサおじさんが出ます」

  脱衣場で、別のナースがバスタオルで拭いてくれ、服を着せてくれました。

  

そして迎えを携帯で呼びました。

  

暫くすると助手さんが迎えにきて4階に上がり、洗面のところで頭をドライヤーで乾かし、手足の爪を切ってくれました。

  

『頭を乾かすことや爪を切る練習もしないといけないな』

 

 

 

続く

 リハビリ体験記 13.手の訓練は作業療法の一つ

 

2011年12月 3日 (土)

リハビリ体験記 11.歩行訓練のための準備

 今度のセラピストさんは若い男性ですが、私の運動能力をよく理解し、回復の能力を上手く引き出してくれたように思います。

 

 

18.訓練室での理学療法の開始

9時前に、昨日のセラピストさんが病室に来ました。

 

「今日は、10時半から入浴です」

「とりあえず一階の訓練室に行きましょう」

 

急性期病院で、私の身長と手の長さに合わせて調整した愛用の杖を携え、PTさんに車椅子を押してもらい、一階のリハビリ室に着きました。

 

はじめに、50cm程度の高床マットに座らせて体の動きを調べ、つづいて上向きに寝かしてしてチェックしたあと、立たせて立位を確認しました。

 

「回復の状態は良好ですね」

「ところで、車椅子の運転はどうですか?」

 

「大丈夫です」

 

「それでは、車椅子で廊下に出ましょう」

 

  PTさんが高床マットに腰掛けた私の前に、車椅子を押してきました。

 

「一人で乗って廊下に出てください」

 

 指示通り、独力で運転して廊下の右側に止めました。

 

「OKですね」

 

「手すりを持って立てますか?」

「出来ると思います」

  

『怖がったらアカンな、初めてやけど、やれば出来るもんや』

  

「いいですね」

 

「車椅子に座ってください」

 

「OKです」

 

 

「ナースステーションに連絡しておきますから、4階の廊下でこの練習をしてください」

 

「適当な時刻にナースが来てくれます」

 

「それまでは、練習は出来ませんよ」

 

「入浴の時間が来ますから、きょうはこれで病室に戻りましょう」

  

病室まで車椅子を押してくれました。

  

「明日からは、時間が来ればナースが迎えに来ますから、お願いします」

 

 「リハビリ開始時刻の予定表は、あとで届けます」

 

 

続く

 リハビリ体験記 12.大きな浴場で入浴

 

2011年12月 2日 (金)

リハビリ体験記 10.回復期リハビリ病院でのリハビリ

117日に脳内出血で救急病院に運ばれてから約50日目の36日。

午前9時に甲子園の急性期病院を退去し、妻の運転で10時過ぎに京都と大阪の中間付近にあるリハビリ病院に到着しました。 いよいよ本格的なリハビリが始まります。

 

 

16.リハビリ専門病院の診察室

入院手続きが終わって診察室に入ると、担当医が言いました。

 

「紹介状などを見ると、前の病院でのリハビリの成果は優秀です」

 

23ヶ月で社会復帰出来るように訓練プログラムを作成します」

 

「PT・OT・Ns・MSW・医療スタッフ全員が一丸となってマサおじさんをサポートします」

「一緒に頑張りましょう」。

 

 

私は、ここで重大な勘違いをしました。

 

それは、担当医が”社会復帰”と言ったのを”会社復帰”であると思ったことです。

 

だから、そんなに早く会社に戻れるようになるのか、とうれしくなり、ニコニコしながら答えました。

 「ありがとう御座います。ガンバリます。よろしくお願いします」と頭を下げたのでした。

 

 

17.病室へ

外来のナースが車椅子を押して、4階のナースステーションまで案内してくれました。

 

そして今度は、この階の看護師長が4階の案内をした後に私の4人部屋に案内してくれました。

 

いろいろと説明がありましたが、最後に、おどろきの言葉を言われました。

 

「そうそう明日は入浴の日です。あとで助手さんが来ますから、準備のほうをお願いします」

 

「入浴ですか」

 

3階に10人が同時に入られる浴場があります。毎週一回入浴します」

「介助しますから大丈夫ですよ」

 

と言うことで、妻は急いで近くのホームセンターに必要品を買いに行きました。

 

 

昼食が終わって休憩していると。担当のナースが来ました。

「私がマサおじさんを担当させていただきます。リハビリ病棟は初めてなのですがよろしくお願いします」

 

 「あとで、療法士さんが挨拶に来ると思います」

 私・主治医・PT・OT・MSWの名前を書いたカードを、ベッドの枕元に貼って出て行きました。

 

暫くすると、白い制服を着た男性が車椅子を押して病室に来ました。

「この車椅子はマサおじさん専用です。一人で移乗できますか」

 

「ベッドサイドにあれば大丈夫です」

 

「少し旧式ですが、どうですかね」

 

「前の病院と同じタイプですから、有り難いです」

 

「そうですか、使ってください」

 

「但し、ナースステーションの許可が出る迄、一人での動作は禁止です。かならずナースを呼んでください」

 

「今後、全ての行動は、Nsの許可が必要ですから、よろしくお願いします」

 

 

夕方近くになると、白い制服を着た女性が来ました。

 

 「デイルームに行きましょう」車いすに座らせてデイルームまで押してくれました。

 

椅子に座らせて、麻痺手をゆっくりとテーブルに乗せ、上肢の動きをチェックしました。

 

テーブルにたたんだタオルを置いて麻痺の左手を広げて乗せ、ゆっくりと動かしました。

 

「これも手のリハビリになります。自分で出来るようになれば一人で自主訓練してください」

  「明日からリハビリを始めます。午前中が一階で歩くリハビリです」

 

 「午後、2階で手の訓練をします。手の方は私が担当させていただきます。よろしくお願いします」

 

 

続く

 リハビリ体験記 11.歩行訓練のための準備

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