第81回 アカデミー賞を振り返ってみる

「おくりびと」「つみきのいえ」が快挙!

 映画ファンにとっての一大イベント、アカデミー賞の授賞式が今年も終了。祭りの後のように、腑抜けになっている方もいらっしゃるのでは?

 今回のアカデミー賞で、日本人なら誰でも気になるのが、何といっても外国語映画賞の行方だろう。「たそがれ清兵衛」(04)以来5年ぶりに、日本から「おくりびと」がノミネートされたからだ。この部門には世界各国から代表作が出品され、ノミネートされるのはわずかに5作品。候補になるだけでも名誉なのに、同作はなんと受賞までしてしまった! スピーチのために会場の壇上へ上がる本木雅弘の動きが、少々ぎくしゃくして見えたのは気のせいだろうか。ちなみに滝田洋二郎監督は、「I will be back!」と、ターミネーターの決めゼリフで挨拶。

 また、短編アニメーション部門では、加藤久仁生監督の「つみきのいえ」も受賞。日本からノミネートされた2部門がともに受賞を果すという、嬉しい結果となった。余談だが、「たそがれ〜」も「おくりびと」も松竹映画。やるな、松竹。

ヒース・レジャーの受賞に、目を潤ませる映画人たち

 個人的に、外国語映画賞よりも気になったのが助演男優賞。これは下馬評通りと言ってもいいのだろう、「ダークナイト」の故ヒース・レジャーが見事受賞! これまで死後にアカデミー賞を受賞した俳優は、「ネットワーク」(76)のピーター・フィンチのみだった。ヒースの代わりにオスカー像を受取ったのは、両親と姉。「彼はとてもこの場所に立ちたがっていました」という姉のスピーチに、たくさんの映画関係者たちが目を潤ませていた。もっともっと、彼の演技をたくさん観てみたかった。ご冥福をお祈りします。

 最多13部門にノミネートされていた「ベンジャミン・バトン ―数奇な人生―」は、美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞の3部門受賞にとどまった。題材がアメリカ人好みに感じられたので、この結果は少々意外。監督賞は無理だとしても、作品賞獲得の可能性は高いのではないかと思っていた。

 その「ベンジャミン〜」をあっさりと打ち負かしてしまったのが、4月公開の「スラムドッグ$ミリオネア」だ。作品賞・監督賞の主要部門をはじめ、計8部門を受賞! 歌曲賞では3曲中2曲が「スラムドッグ〜」で、ノミネート総数は9部門+1で10。そのうち、なんと音響編集賞以外はすべて受賞したことになる。これは先日のダニー・ボイル監督来日記者会見のカツカレー効果なのか!? この作品はインドが舞台で、俳優も無名。主人公の少年にいたっては映画初出演。「この条件でよくノミネートされたなぁ」と思っていたので、結果には驚きだ。

 最後に、HiVi WEBでのリアルタイム速報をチェックしてくださった方々、どうもありがとうございました! 速報を実施している他の映画関連サイトが重くてなかなか表示できないところ、さくさくとつながる当サイトは穴場だったのでした。結果も発表の1分後にはアップしていたので、スピードもどこにも負けなかったはず。皆様、今後ともHiVi WEBをよろしくお願いいたします!



2009年2月23日
映画コラムニスト 鈴木晴子

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最終更新 11.12.20 15:44

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