セーラー服美少女戦士セーラームーン
このマンガは1992年〜1997年まで,週刊誌なかよしに連載されていたマンガで,一大ブームを巻き起こすほど大ヒットしました。
アニメ化,映画化,TVゲーム化,キャラクターグッズ化等になり,これらは海外にまで輸出され,アニメも日本では高視聴率を記録し長期放映され,日本以外にも多くの国で放映されました。
関連イベントも多く開催され,連鎖的にヒットし,全盛期はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
少女マンガとしては初めてのミュージカル化にまでなり,少女マンガでは歴代例を見ないほどの空前の大ヒットをして,「少女マンガ界にセーラームーンあり」とまで言われるほど大ヒットし,少女マンガの地位を高めたマンガと言いたいのですが,はっきり言って断言はできません。
なぜなら少女マンガなら,当然女の子のファンが大勢いるはずですが,意外に女の子のファンは少なく,普通はあまり男性ファンがつくれないはずの少女マンガなのに,「男性ファンがとても多い」というよりは,男性が中心的に人気を支えていたマンガで,それどころか本来なら少女マンガを最も読む層の,小学生高学年から中学生,または高校生の女性ファンが極端に少なく,むしろ彼女らには,ひややかな目で見られているマンガといっても,過言ではないのです。
本来ならファンが少ないはずの男性にファンが多く,多くのファンがいるはずの女性にファンが少ない少女マンガなのです,「一体どういうマンガだ?」と疑問を感じる人も多いと思います,内容を説明するのはかなり難しいのですが,覚悟を決めて解説していこうと思います。
TVの戦隊もののシリーズで,5人一組の正義のチームが,悪と戦い活躍する特撮番組がありますよね,簡単に言えばその5人が全員女の子になったアニメなのです,「別に過去の作品にも女の子が戦う戦隊ものがあったし,5人の中にも女性が一人や二人含まれているじゃないか」と思う人もいると思います,それではもっと掘り下げて説明していきましょう,その5人は,後半はもっと仲間の数が増えますが,基本のその5人は,普段は普通の中学生をやっていて,ある日突然セーラー戦士となって悪と闘う事を,運命づけられたのでした。
戦士になるには,授けられたアイテムを使って変身すると,悪と戦う戦士に変身できます,そしてジャンプのヒーローアクションマンガと同じく,多くの仲間を創っていき,強大な敵と戦うというマンガです,「別に今までのジャンプの黄金のパターンじゃん,それがなんで今更キャラを女に変えただけでヒットするんだよ」と,まだ不思議に思う方もいるでしょう。
実際多くの男達が感激したのは,そんな深い意味ではなく,いたって表面上の事なのです,事実ジャンプの黄金時代作品ほどの,ハラハラする奥深い展開や迫力のある戦闘シーンは出てきません,それでは,ますますなぜヒットしたのか分からなくなりましたね。
では単純にヒットした要因を挙げていきましょう,ヒットした要因は色々ありますが,大きく分けて3つあります,この3大要素のどれかひとつでも欠けていれば,あれほどのヒットはしなかったでしょう。
まず第一の要素は,この要素がなければこのマンガは絶対にヒットしませんでした,3大要素の中でも最も重要な要素です。
それは彼女達が悪と闘う為に戦闘服に着替えますが,そのコスチュームがすごいのです,TVでよくある戦隊ものの変身後のコスチュームは,色分けされた宇宙服のような格好で,素顔が全く見えず肌が出ている部分も無く,全然美しくないですよね?
彼女達の変身後のコスチュームは,色分けされている事は同じなのですが,素顔がはっきり見えます,「それって変身の意味があるのか?」というつっこみは,この際しないで下さい,そしてこのマンガが大ヒットした最大の理由がここにあるのです,それは彼女達のコスチュームに共通する点があります,それは超が百回つくほどの,超ミニスカートをはいているのです,当然足はむき出しです。
戦闘服としては信じられないコスチュームですよね,このミニスカートが色分けされているのです,そしてこれが日本全国の男達の脳を,大きく揺さぶるほど大打撃を与えました,まさに今までの戦闘時コスチュームの常識を,完全に打ち破る斬新なアイデアでした。
そしてアニメでは変身する時に,オールヌードにまでなってくれるというサービスぶり,
オールヌードになって,バレエのような踊りをおどりながら,華麗に変身するのです。
まさに男の目は釘付けです。
そうです,もう分かりましたね,要はお色気を最大の武器にしたマンガです,ですから本来少ないはずの男性ファンが多く,大勢いるはずの女性ファンが少なくなってしまったのです。
しかしこの要因がなければ,このマンガがヒットする事は絶対にありませんでした,これだけは断言できます。
現にこのマンガは男性も多く買っていて,アニメを見ていた層も男性が圧倒的に多いのです,男達はみんな見ているくせに,お互い見てないと言い張り,逆に「おまえセーラームーン見てるだろう」と言って,ひやかし会う現象が日本中の学校で起きました。
そんなやりとりを女性は,多少軽蔑しながら観察していたのでした,女は男が見ている事を知っていたのでした,そして女は影でセーラームーンをばかにしたり,批判したりしていたのでした,よく恋愛マンガを男性が影でばかにする事がありますが,それが全く逆の構図になってしまったのでした,こんな珍現象を日本中におこしたのですから,ある意味ではとてつもないほどの影響力です,視聴率が高かったのもうなずけます。
男性ファンは当然アニメだけでは満足できず,それに応えたのがキャラクターグッズやミュージカルです,当然キャラグッズを買ったり,ミュージカルを見に行ったのも男が中心です,作者は「男の子ばかり来ていて,女の子が少なかった」と言っていますが,何となくわざとらしい発言ですよね,アニメだけならまだしも,女性がこのマンガのミュージカルまで,見にいくわけがありませんよね。
つまり3大要素の一番重要な要素はお色気でした。
作者やアニメ会社は,「女性に勇気と希望と愛を与える作品だ」と言っていますが,女性から見れば「何が勇気だ,女の武器が,お色気しかないみたいじゃないか」と叫びたくなるような作品ですね。
本来なら女性ファンを中心的に獲得する少女マンガが,ヒットするために少女マンガの法律と信用を裏切り,男性が注目必至の過去例を見ないほどの,大胆なお色気作戦に出たのでした。
確かにこのお色気作戦は大成功し,多くのオタク男性ファンを獲得し,セーラームーン関連の連鎖的ヒットにつながりました。
しかしこの戦法を取った事で,女性から人気ばかりでなく,信頼も失ってしまった事はまぎれもない事実です。
それではこのマンガの大ヒットした3大要素の2点目に入ります。
それはアニメ化にした事でした,ジャンプの黄金時代マンガも,ジャンプでの連載だけでなく,アニメ化にする事で,爆発的なヒットにいたった事は周知の事実です。
少女マンガでは,アニメ化はとても例が少ないのですが,アニメ会社の様々な計算によりアニメ化になりました。
そしてアニメはマンガにはできない,有利で効果的な面がたくさんあります。
色がカラーでキャラが実際に動く事はもちろんの事,見せ場やクライマックスでは,かっこいい音楽や効果音をバックに流す事もできますし,最近のアニメではコンピュ−ター処理の技術を使い,カラフルで華やかな映像を創り出す事もできます,この技術でセーラー戦士の華やかな変身シーンを作り出したのは,いうまでもありません,そして何よりもアニメ化にする事により,少女マンガを読まない全国の男達に,「こんな作品があるよ」とアピールする事ができます。
このアニメ化によって,セーラームーンという作品の魅力は,何倍にも増幅して発揮されました,当然宣伝効果も抜群でした,まさにアニメ化されてヒットする為に,この世に生まれたマンガといってもいいでしょう。
そしてこのアニメは,ジャンプの黄金時代作品のアニメをも超えるほどの,高視聴率を記録し,長期放映にいたったのは,まさにアニメ会社の思惑が見事に敵中した結果でした。
ジャンプのヒーローアクションマンガで育った世代も,お色気作戦には骨抜きでした,しかし無理もありません,ジャンプの黄金時代のヒーローアクションマンガには,女縁など全く無く,仮に出てきたとしても性格のきつい女(北条司ワールドに出てくるような女)ばかりだったのです。
それがこのアニメに出てくるセーラー戦士達は,まるで男の欲望に応える事が生きがいのごとく,完璧なお色気サービスをしてくれるのです,まさにお色気とアニメ化の両方の効果が合わさった事によって,このマンガの人気と知名度が何乗にも跳ね上がりました。
まさにセーラームーンはアニメにする事によって,魅力を何倍にも引き出し大ヒットにつながったのでした。
そしてこのマンガのヒットした3大要素の最後の一つを紹介します。
それはこのマンガが,この世に生まれたタイミングが,まさに絶好だった事です。
例えば百m走中学生チャンピオンは,確かに普通の人と比べたら足は速いです。
しかしこの選手が五輪に出たら,間違い無く予選落ちしてしまい,例え走っている所を人に見てもらっても,誰もこの人がとてもかっこよくて,足が速いとは思わないでしょう。
当然です,なぜなら五輪では周りの選手がみんな彼よりも速く,かっこいいからです。
彼も決して遅いわけではないのですが,周りの選手のレベルがあまりにも高い為,彼の速さが目立たないのです。
しかし彼が普通の中学生のリレー大会に出たらどうでしょうか,それはもうぶっちぎりの速さで,注目度100%は間違い無いでしょう,もちろんヒーローの座も確実です,つまりある実力を持った者が,自分よりレベルの高い者達が集まっている環境に行けば,当然目立たないし自分の実力を高く評価してもらえません,しかし自分の実力より低いレベルが集まった環境に行けば,自分はトップなのですから,当然注目され高い評価をもらえるわけです。
まさにセーラームーンはこれでした,セーラームーンの場合は,運が良かったのは環境ではなく時代でした,もしセーラームーンが日本のマンガの歴史にその名を刻む,超群雄割拠の80年代のジャンプの黄金時代の時に,世の中に出ていたらどうでしょうか,「ちょっと変わったマンガだな」程度の関心しか持たれず,あっという間に消え去るのは目に見えています,もちろんアニメ化にもならないでしょう。
つまり自分と同じ土俵に立つ,周りのマンガのレベルが,総体的に低い時代に世に出た事が,このマンガのヒットした理由で唯一内容的なものではなく,外部的なものだったのでした,しかしこの要素が無ければこのマンガがヒットしなかったのは,火を見るより明らかです。
そうですよね,あの当時は神格的存在だったジャンプのパワーに,セーラームーンが勝てるわけがありません,しかしどんな黄金時代にも終わりは来ます,90年代になってジャンプの勢力がだいぶ弱まって,読者の方も男のヒーローアクションマンガだけでなく,新しいタイプのマンガを欲しがりはじめた時に,このマンガが世に出たのでした。
読者が注目しないはずがありません。
ジャンプの黄金時代の作品に出て来るキャラは,自分から強敵が多く苦難が多い環境に飛びこんでいくのが鉄則ですが,このマンガはさすがに女のヒーローが主役だけあって,苦労する事は好きではないらしく,なるべく強敵が少なく,苦労もなさそうな,時代と環境を選んで世に出てきました,少ない努力で,大きな名声と注目を集めようという意図が見え見えですね,まあその方が賢いかもしれませんね。
何か栄光や勝利を得るためには,多くの障害や苦難を乗り越えなければならないという,男のヒーローアクションマンガが立てた鉄の掟を,このマンガが「別にわざわざ自分から苦難の多い環境に飛びこんで行く必要なんてない,楽にすめばそれでいい」という女の思想を押し出しました。
時代はマンガの質や内容を変えただけでなく,価値観さえ変えてしまったのです。
以上がこのマンガが大ヒットした3大要素でした,それともう一つほど加えるとしたら,アニメでの放映に出てくる主要キャラはもちろんの事,出てくるアイテムすべてが華麗でかわいらしい事です。
セーラー戦士に変身するアイテムは,たいてい宝石がくっいたバトンのような形をしています,最後の敵にとどめを刺す技も,男のヒーローと違って,敵を叩きのめしたり,爆発させたり,切り殺したりするような残酷なやり方ではなく,鮮やかな虹や星の屑やクリスタルが出たりして,敵の心を浄化するという方法が取られています,例え敵を倒す時でも,女には殺しをやらせていません。
それどころか,殴るけるの肉弾戦の闘いもほとんど出てきません。
ですから闘いが迫力が無く,ジャンプのヒーローアクションマンガで育った,バトルマンガを見なれた世代は,「内容的なものになど注目せず,表面上のものだけ見ていた」と書いたのです。
とにかくこれらの要素がすべて合わさって,大ヒットしたのは事実です。
それではキャラの紹介に入ります。
水野亜美
セーラーマーキュリーに変身する,水星を守護星にする戦士です。
全国の模擬試験でトップを取るほど勉強ができ,物事を論理的かつ客観的に判断できる,セーラー戦士の中では知恵袋的存在です,ただ攻撃力はあまりないようです。
性格はとても温和で,思いやりがあります。
変身後のコスチュームは水色のスカートをはいています,そしてセーラー戦士の中では,ダントツに男の子に人気があります,なぜ人気があるかは性格がきつくなく,男にとって都合が良い性格をしている事がありますが,それ以外には何と言ってもかわいい事です。
アニメでは青い髪と目をしていて,ショートヘアのにあうかわいい子です。
この子は原作とアニメの性格がほどんど変わらない子です,アニメでは原作を忠実に再現しました。
様々なアニメ雑誌でも,まさに過去に例を見ないほど破竹の勢いで人気を獲得しました。
ただ恋愛には奥手で純情です。
火野レイ
セーラーマーズに変身する,火星を守護星に持つ戦士です。
家が神社をやっていて,自身も巫女さんをしているせいか,とても霊感が強く,敵の存在や動きを察知する能力に優れています,この神社には,よくセーラー戦士達が集まって雑談ともつかぬ作戦会議を開きます,主役達とは中学も高校も別のお嬢様学校に通っています。
性格がアニメと原作ではかなり違っていて,アニメでは勝気でかなりきつい性格になっています,原作もなかなかきつい性格には違いないのですが,アニメでは他のセーラー戦士と同様に,かなり男好きな性格です,原作では少女マンガのキャラとしては超異端の男嫌いで,男に頼るのをいやがります,現代っ子にしては珍しく,TVをあまり見ないという性格です,原作では何となくお嬢様的に描かれています。
しかしアニメでは主役と年中口喧嘩していて,とても気が強く,あまりお嬢様的な雰囲気が見うけられません,そして少女マンガには絶対に欠かせない,恋愛方面ですが,アニメでは原作のキャラのイメージを完全に打ち破り,男性には超積極的です,一時は主役の彼氏と付き合っていた事もあります。
外見はロングの黒髪で,肌は色白という日本的美人です,セーラー戦士の中では一番大人っぽい印象があります,外見と性格から判断して,モデルはおそらくキャッツアイの来杉瞳ではないかと思われます。
変身後のコスチュームは赤のスカートで,赤のハイヒールを履いています。
性格と外見がまさに赤の色が示すとおり,熱い情熱の戦士です。
愛野美奈子
セーラーヴィーナスに変身する,金星を守護星に持つ戦士です。
主役より先にセーラー戦士になっていたという,経験的にみれば一番先輩のセーラー戦士ですが,その割にはそれほどたのもしいという感じはしません。
ミーハーの手本のような性格をしていて,歌手やアイドルが大好きです,将来はアイドルになる事が夢だそうです。
性格は明るく脳天気で,ややお調子者です,アニメではこの性格にひとひねり加えて,普段はとても惚れっぽくお元気少女ですが,実は過去にとても大きな失恋の経験があるという設定にしてあります。
主役達とは高校からいっしょの学校になりました,外見金色のロングヘアーに赤いリボンを付けていて,色白の肌で青い目という少女マンガによくいる少女の格好です。
変身後は黄色のスカートとハイヒールをはいています,外見はけっこうお嬢様っぽいんですけどね。
海王みちる
セーラーネプチューンに変身する,海王星を守護星に持つ戦士です。
セーラームーンシリーズの中盤あたりから登場したキャラです,基本の5戦士より若干年上で,お姉様的雰囲気がある戦士です。
言葉使いが非常にお嬢様っぽく,気品が溢れています,芸術方面に天性の才能を持ち,バイオリンに関しては,全国でもトップクラスの腕前です。
とても上品ですが,アニメでは少々レズっ気があります,しかし本人はそんな事,全然気にしていないようです。
やや短めのソバージュの髪型で,アニメでは青い髪の色です,変身後は紺色のスカ−トとハイヒールを履いています。
ここまで紹介したキャラはごく一部で,この他にも個性豊かなキャラが多数登場します。
ただ,どのキャラも大体共通している性格は,超恋愛ボケだという事です,普段の行動は自分の性欲と恋愛関係のためにしか動きません,そんな時にたまたま敵に遭遇し,何とか倒せてしまうという話が非常に多く,計画性と真剣さがほとんどゼロで,まさに行き当たりばったりです。
こんな彼女達に地球の平和を守るという,重要使命が果たせるかどうか,非常に危なっかしくって不安で,一般市民の方がよほど頼りになりそうです,もっとも敵の方もバカばかりで,本当に地球侵略を目指しているのか,疑わしい奴らですけど。
男のヒーローアクションマンガのように,いつもまじめで私生活を犠牲にしても,平和のためにつくす時代は終わったのでしょうか,これからはこの女戦士達のように,軽いノリで闘う時代なのでしょうか。