東京電力福島第一原子力発電所の事故直後に、アメリカ政府から派遣された専門家チームの代表が、NHKのインタビューに応じ、今後の廃炉に向けた作業期間について、「原子炉内の様子が正確に分からない以上、予測はできない」と述べました。
アメリカ政府は、事故直後から、アメリカの原子力規制委員会の専門家チームを派遣し、東京電力や日本政府に助言しながら事故への対応を支援してきましたが、日本政府が、原子炉が「冷温停止状態」になり、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」の完了を宣言したことを受けて、チームのカストー代表が、21日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。この中で、カストー氏は、日本政府に対し、使用済み核燃料を冷却するために海水も含めて注水を続けることなどを助言してきたことを明らかにしたうえで、日米両政府の情報の共有について、「当初、一部の技術者からしか聞き取りができず、われわれは強い不満を表明した」と述べ、当初、日本政府からの情報の提供が不十分だったと指摘しました。一方、カストー氏は、今後の廃炉に向けた作業期間について、「原子炉内の様子が正確に分からない以上、廃炉に至る時間を予測はできない」と述べ、廃炉の時期を見通すことは難しいとの認識を示しました。カストー氏はまた、事故の教訓として、冷却水の注入を巡る判断を念頭に「戦略を立てて、その方針に従った措置を取り続けるべきだ」と述べました。