「新しい歴史教科書をつくる会」市販本出版記念シンポジウム
星陵会館で行われた「『新しい歴史教科書』をつくる会」が編集した歴史・公民教科書市販本出版記念シンポジウム「日本の『国難』と歴史教育」に参加致しました。ゲストの工藤美代子先生、佐々淳行先生、「つくる会」の藤岡信勝先生、福地惇先生、杉原誠四郎先生、小山常実先生、加瀬英明先生、岡野俊昭先生(登壇順)のお話を伺いました。
I. 工藤美代子先生(作家)、「関東大震災と東日本大震災」
東日本大震災による国難を迎えた我が国において何が重要か。それは歴史・公民の教育ではないか。阪神大震災時の村山富市元総理同様、菅直人総理もまた、日本を引っ張ってゆく事は出来ない。関東大震災では内閣不在、大正天皇がご病床の中、昭和天皇(当時皇太子)が摂政に就かれ、また山本権兵衛、後藤新平に権力を集中させ、見事復興を成し遂げた。これと村山元首相、菅首相を比べれば、日本の政治は進歩するどころか悪くなったと言わざるを得ない。
また関東大震災時の朝鮮人虐殺事件の真相とは、朝鮮人工作員に対する自警行為に尾ひれが付いたデマである。その根拠として、
1. 損傷の激しい死体を、どうやって日本人と朝鮮人とに見分けたのか。
2. 東京に居た朝鮮人9000人のうち、その多くは学生で震災時には帰国していたことを踏まえると、定説通り6600人が虐殺されたとするならば、「大地震で日本人は大勢死んだが朝鮮人はほとんど死ななかった」ということになってしまう。
3. 文化人である井伏鱒二や内村鑑三らも警団に参加しているが、その手記に朝鮮人虐殺の記述はない。
また、ソ連船レーニン号が工作員によるテロ用の武器弾薬を持ち込もうとしたが発覚し、入港を拒否されるなど、日本を取り巻いていた当時の状況に鑑みれば、工作員の存在を否定することはできない。
我が国の国益を守るためにこのような事実を地道に見つけていかなければならない。
II. 佐々淳行先生(初代内閣安全保障室長、評論家)、「稲むらの火」
「稲むらの火」とは、安政元年(1854年)の大震災の時、和歌山県のとある村の庄屋・浜口儀兵衛が1年分の収穫である稲を狼煙として焼き払い、津波から村民たちを救ったということを元に、小泉八雲によって著された物語である。この話は戦前の修身の教科書には載っていたが、現在の教科書にはほとんど載っていない。首脳会談で、他国の指導者がこの話について言及した際、日本の指導者がこれを知らないということがあったが、誠に残念である。
またこの話を教育に取り入れた釜石市の小学校では99.8%の児童が生存した。
そして浜口儀兵衛は津波の後、100年後のために私財を投じて堤防を造り昭和の津波から村を救った。しかし蓮舫行刷担当大臣は100年先の災害に備える事は無駄であるかのように切り捨てた。これらの事実に鑑みれば、津波対策を教科書に取り入れることは絶対に必要である。
III. 藤岡信勝先生(本学客員教授、「つくる会」会長)、「日本を復興させる『新しい歴史教科書』」
自由社、育鵬社以外の主要な教科書は、支那、韓国の歴史上の人物や地名などを、支那語、韓国語の発音を主軸として記述している。
自由社、育鵬社は概ね歴史的事実を隠蔽せず記述しているが、その他の主要な教科書の記述は、支韓隷属史観に基づくものである。日本人として、自分国の歴史を語れるような教育をすべきである。教科書の採択では教員はよく見比べて、生徒の栄養となるような教科書か判断して欲しい。
IV. 福地惇先生(高知大学名誉教授、「つくる会」副会長)、「正しい歴史教育こそが国家安全保障の要」
今までの歴史教育は、共産主義の思想、階級闘争史観に基づくものである。これは国家を解体しようとするものに他ならない。戦後の「旧=悪、新=善」とする左翼的善悪二元論的な唯物史観、階級闘争史観は、我が国の悠久の歴史、国家、地域共同体、家族を分断させるものである。民主党が政権与党となったという日本民族の危機は、まさに歴史を教えなかった報いであり、『新しい歴史教科書』はこうした日本崩壊を食い止めるためのものである。
V. 杉原誠四郎先生(帝京平成大学教授、「つくる会」副会長)、「教育基本法を無視した公民教科書」
教育基本法にある愛国心と公共精神を記述しているのは自由社、育鵬社だけであり、他社は無視している。国民の精神が国家をつくる主権在民の国において、教科書に愛国心や公共精神を記述しないのはおかしい。このような左傾化した教科書が過半数を占めた時、教育基本法は形骸化する。教科書の選定、採択にあたっては、絶対に東京書籍を落とさなければならない。学習指導要領の目標である「外国で自国の歴史を語れる」ようになるべく努力すべきだ。
VI. 小山常実先生(大月短期大学教授、「つくる会」理事)、「家族と国家を再建する『新しい公民教科書』」
現在、主要な教科書においては家族の単元が消されている。これは民主党という左翼政権が樹立されたことにより、主要な教科書が利益を得るために左傾化したからである。また、「家族会議」の項目では単身赴任をするか否かという点において、単身赴任をするという結論ありきの記述となっている。これは家族解体を推し進めようとするものである。家族とは共同体である。家族間の愛情を育む、両親が子供を保護し指導することで伝統、文化の縦のつながりが生まれる。
自由社の公民教科書は家族の役割、さらに防衛、社会資本の整備などの国家の役割も記述している。
また現在、左翼的教科書では在日朝鮮人の問題で日本解体を推し進める手法に代わり、アイヌ差別史観、アイヌ革命論によって日本解体を推し進めようとしている。
VII. 加瀬英明先生(自由社社長、「つくる会」理事)、「国難を乗り越えてきた日本人」
先の東日本大震災は、「国家が対応することができないことが起こりうる」、「国を大切にすることの大切さ」、「事なかれ主義からの脱却」といった教訓をもたらした。危機的事態に対して適切に備え、対処することが出来なかった。天災がさらなる災禍たる人災を招いたのだ。国民全体で乗り越えていくべき問題である。今回の災害派遣では、約23万人の自衛隊から約10万人が動員された。これでは国防はどうするのか。「トモダチ作戦」はアジアの軍事空白を埋めるために行われたものである。また、今回は予備自衛官も活躍したが、海自には少ない。さらにこれまで政府は、国防費を削ってまでして、必要性の疑われる財政出動を行ってきた。例えば、民主党の子ども手当にあてられる5.5兆円や、自民党時代の使途不明な4.6兆円がそうである。これらを見ても、我が国がいかに国防を蔑ろにしているかが分かる。また、今回今上陛下が「自衛隊」と発言なされたが、これによって戦後が終わったように思う。日本の伝統精神が「メルトダウン」しつつある今こそ、教科書を変えて日本の国難を乗り越えるべきである。
VIII. 岡野俊昭先生(元銚子市長、元中学校長、「つくる会」副会長)、「教科書を変えれば日本が変わる」
藤岡先生が「教育に尽きる」、佐々先生が「リーダーが判断力を失うと大変なことになる」、加瀬先生が「全ては戦後教育の失政だ」、と仰られた。まさにその通りである。何のために教科書を作るのか。それは、真っ当な日本人を育むため、日本は素晴らしい国であることを伝え、知恵や勇気、決断力、そして他国から学んで斟酌してきたことを教えるためである。教科書を作るのはまさに命がけなのである。昔から日本人は祖先を崇拝してきた。すべてのものを「カミ」として畏敬し、感謝してきた。あらゆるものに「カミ」が宿ると信じ、これは「八百万の神」という表現になっている。また仏教や武士道は、日本人の精神の基幹を形成してきた。だが、これらが戦後教育でズタズタになってしまった。正しい歴史、文化を教え、再教育せねばならない。今こそ教育に力を注がねばならないのである。「つくる会」が潰れたら社会主義になる。一杯飲むのをやめて、「つくる会」に賛助して欲しい。
今回のシンポジウムに参加して、戦後教育がいかに荒廃したものであり、また戦後政治がいかに酷いものであったか、大変良く分かりました。自由社の教科書が普及することは、教育によって戦後体制からの脱却へと至る第一歩だと感じました。市販本は大学生の自分たちにとっても読みごたえがあり、中学校の歴史、公民の再勉強をすることで今後の政治について論じる上で参考になるものだと思いました。
(報告・林優作)
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