五日ぶりの更新、やっぱりオリジナルになると難しいです。
第二十八話です、どうぞ。
第二十八話
「ウォホンッ・・・・・すまんな、見苦しいとこを見せてしまって」
「い、いえ、別に気にしてませんし・・・・・・」
あれから、数分後にはお祖父ちゃんは復活した。後頭部を強打したのになんで何ともなさそうなんだ、謎だ?
「さて、自己紹介もしてなかったの、ワシは蘭堂源三・・・・・・君の祖父だ」
先ほどまでの表情から一転し、財閥のトップの顔になる、威厳、自信に満ちた表情に。
ここは、僕もちゃんとしたほうがいいかな。
「篠ノ乃・・・・・優希です」
「・・・・・・すまんが、よく顔を見せてくれぬか」
「・・・・・・はい」
僕はお祖父ちゃんの前に移動する、すると僕の頬に手を触れ撫でる。
「本当にそっくりじゃの詩織に、・・・・・君を見ているとあの子が死んだとは思えない」
お祖父ちゃんが母さんのことを思い出しながら、僕の頬を撫で続ける。その目からは涙が零れていた。
「そうですね、お父様。髪の色以外は本当に姉様そっくり」
ん?髪の色?
「あの、髪の色って母さんの髪の色は黒だったんじゃ・・・・・・・?」
そうだ、旅館で貰った写真に写った母さんの髪の色は確か黒だったはずだ。
「ん?ああ、それはね染めてたのよ。姉様の髪の色は私と同じ金色なの」
「そ、そうなんですか」
「ええ、学校の校則で黒にしなければいけなかったのよ、地毛だったのに・・・・・・」
母さんの髪は金髪だったんだ・・・・・じゃあ、僕の髪は父さんの遺伝なのかな?
「蘭堂家に生まれた女は遺伝のせいなのか髪の色が金になるのじゃ、男は普通に黒なのだがの・・・・」
へぇ~、そうなんだ。てことは、もし僕が金髪だったら・・・・・・・・・完全に女と認識され・・・・うん、考えないようにしよう。
「ねえ、優希君」
「あ、はい。何でしょうか?叔母さ・・・・・」
「果歩さん」
「へ?叔母・・・」
「果歩さん♪」
「おb・・・・」
「果歩さん♪」
「・・・・・・・果歩さん」
「はい♪よくできました」
叔母さ・・・・果歩さん、顔は笑ってるんだけど、背後に仁王像が見えた・・・・・・こ、怖いよ。
「・・・・で、なんですか?お、・・・・・果歩さん」
「ええ、優希君のことをね教えてほしいの」
「え・・・・・?」
「何でもいいの、好きな物とか趣味でもいいし」
「別にいいですけど、何で・・・・?」
なんで、そんなことを聞くんだ、もっと違うことを聞くのかと思ってたのに・・・。
「んー・・・・・。ほんとはね、色々と聞きたいこととかあるんだけど、まずはね優希君自身のことが知りたいの。姉さまの息子である優希君の・・・・・・ねえ、お父様」
「うむ!」
「・・・・・・・・わかりました。それと僕も聞きたいことがあります」
「ん?なにかしら」
僕が母さんの家族のことを知ってからずっと聞きたかったこと、それは・・・・・・・。
「母さんがどんな人だったか、教えてください」
母さんのことだった、写真を見るまで顔も忘れていた母さんのことを知りたかった。篠ノ乃の父さんと母さんも会ったことが無く、僕は母さんがどんな人なのか知ることができない。でも、この母さんの家族であるこの二人なら知っている、だから教えて欲しかった。
・・・・僕は死んだ両親のことをずっと気にしてはなかった、いや、気にしないようにしてたのだと思う、僕が両親のことを思えば、篠ノ乃の家族に迷惑を掛ける・・・・心のどこかでそう思ってたのだと思う。
でも、今は違う僕は知りたい。母さんのことを、本当の母さんことを知りたい。
「・・・・・・ええ、わかったわ。私たちが知っている、姉さまを教えるわ」
「ありがとうございます・・・・・じゃあ、何から話しましょうか・・・・・・・」
僕は少しずつだけど話し始める、内容は少し滅茶苦茶かもしれないけど、聞いて欲しかった母さんの家族であるこの二人に・・・・・・。
◆
「・・・・・という訳だ」
あれから、この会社の応接室に通された俺たちは箒から優希が実は篠ノ乃の子供ではないということを聞かされた。
でも、信じられなかった、優希が養子だったなんてことが。
「あー・・・・・やっぱそうかー」
「でも、これで納得できましたわ・・・・」
「ふむ、まあ、予想はしていたが、まさか本当だっだとはな・・・・・・」
「あ、あはは・・・・・」
あれ?なんか俺以外、反応薄くないか・・・?
「ん、なあ、なんでお前らは、そう反応が薄いんだ?」
「なんでって・・・・・ねぇ?」
「そうですわね・・・・」
「だってねぇ・・・・」
「ああ、あれはな・・・・・」
「「「「箒(さん)と顔の造りが違いすぎるし(ますし)・・・・・」」」」
・・・・・へ?顔?
「おかしいと思ったのよね」
「ええ、いくら姉弟といえども、似てなさすぎですし・・・・・」
「遺伝子が違いすぎる・・・・かな?」
「そうだな」
・・・・・・・そういわれれば・・・・・・。
「てかさ、一夏気づかなかったの?幼馴染でしょ」
「うぐ・・・・・・いや、だって、子供の頃から一緒だったんだぜ、そう思うだろ?」
「私は、てっきり知っていると思っていたのだが・・・・・・」
「いや、知らねよ!てか、そんな話一回もしたことないぞ!」
だってお前と束さん、優希と仲良いし普通はそんなこと思ねえよ。
「いや、分かるでしょ普通、てかそう思ってないの一夏だけだと思うわよ・・・・・」
「マジかっ!?」
なんだって・・・・・!?俺だけだと・・・・・おかしいな、俺って結構鋭いと思ってたんだけど、これが男と女の違いか?
「お前が鋭いなんてありえないだろう」
「一夏さんは鈍いですわ」
「ええ、犯罪級に」
だから、お前らは絶対読心術を身に付けてるだろ、はっきり言いなさい、先生怒りませんよ。
「しかし、優希が蘭堂の人間だとはね・・・・・」
「ええ、驚きましたわ」
「ああ、私も話されたときは驚いたものだ」
あれ?無視ですか・・・・・・一夏、寂しいな、グスン。
「一夏」
おお、シャルロット!お前だけが最後の良心・・・・・。
「それ、気持ち悪いからやめた方がいいよ」
では、なかったな、こん畜生っ!!
「しかし、蘭堂か・・・・・かなりの大物が出てきたな」
「うん、そうだね」
「なあ、さっきから聞いてたんだけどさ、蘭堂って何?」
「「「「「はあっ!?」」」」」
え、何、そんな驚くこと?
「一夏、お前本当に日本人か?」
「あんた、バカ?」
「さすがに、これは呆れますわよ」
「知ってないほうが、おかしいよ」
「お前は、本当に教官の弟なのか?」
あれ?みんな呆れてる?俺なんか変なこと言った?てか鈴、誰がバカだ、誰が。
「・・・・・一夏、蘭堂といえば日本で一番有名な企業だぞ」
「え?そうなのか?」
蘭堂・・・・・・駄目だ思い出せない。
「一夏、弾と一緒に行ったファミレス覚えてる?」
「ん?ああ、覚えてるぞ」
よく、遊びに行ったときの帰りに行ったな。
「あそこも、蘭堂の系列よ」
「え、そうなのか?」
「それにね一夏、蘭堂はIS学園の最大スポンサーでもあるんだよ」
「そ、そうなのか!」
ファミレスからIS学園って、どんだけすげえ会社なんだよ。
「さらにいえば、日本の経済は蘭堂が作ってるといっても過言ではない」
「はぁ!?」
なにそれ?日本の支配者って実は蘭堂なんじゃないの?
「てか、会社名くらいだったら子供でも知ってるわよ」
「それを知らないってお前はどんだけ・・・・・・」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
や、やめてくれ、その哀れなものを見るような目はやめてくれ!
「はあ・・・・・まあ、一夏はどうでもいいとして」
はいはい、どうせ俺はどうでもいい存在ですよーだ。
「優希はどうするのかしらね」
「・・・・・・・それはわからん」
ん?何の話だ、よく分からんな?
「ご両親は何て?」
「優希が決めることだ、そうだ」
「そうですか・・・・・」
「なあ・・・・・何の話をしてんだ?」
「・・・・・・優希が蘭堂家に戻るかどうかの話だ」
はぁ!?
「ちょっ、箒、何言ってるんだよ、お前!?」
「一夏、これは僕たちが口を挟むことじゃないよ」
「しゃ、シャルロット、でもな・・・!」
「これは、優希の問題だよ、僕達が口を挟むのは門違いだよ」
「くっ・・・・!小父さんと小母さんは何て言ってんだよ」
「優希が決めろ、とのことだ」
「そうか・・・・・・」
・・・・・・優希、お前はどうするんだ・・・・?
◆
「ふふ、優希君の友達は楽しい人達ばっかりなのね」
「は、はい」
果歩さんとお祖父ちゃんは僕の何の変哲もない話を熱心に聴いてくれた。そして二人も母さんの昔話をしてくれた。
二人の話を聴いて分かったことは、母さんはかなり優秀な人だったてことだ。眉目秀麗、成績優秀、運動神経抜群などなどと、果歩さんが言うには完璧超人だったらしい。・・・・・・・そんな人いたんだ。
「はははは・・・・・ところでの、優希君」
「は、はい?」
笑っていた先ほどまでと違い、真剣な顔をするお祖父ちゃん、どうしたんだろ?
「優希君、君さえよければ、蘭堂に戻ってこないかの?」
「・・・・・・・」
遂に来たかこの話、予想はしていた、どうすればいいかはかなり悩んだ、篠ノ乃の父さん、母さんにも相談したけど二人揃って『優希が決めろ』だもんね、唯一反対したのは束姉だけだったし。
悩んだ、眠れなかった日は何日もあった、でももう決めた。今までのことを振り返って、僕は決めた。それを僕は声に出して言う。
「・・・・・ありがとうございます、でも・・・・・」
これを言ったら、二人から完全に縁を切られるかもしれない、でも僕は言う。
「ごめんなさい!僕は蘭堂にはなれません」
「・・・・・・・なぜかしら、話してくれない?優希君」
「まったく面識もなかった、僕を蘭堂に迎えてるれるのはとても嬉しいです、けど・・・・・・」
「けど・・・・?」
「僕は、篠ノ乃です。篠ノ乃優希です。これからもずっと」
これが僕なんだ。父さんに母さん、束姉に箒姉、篠ノ乃家のみんながいてくれたから今の僕がいるんだ。血の繋がりはない、けど僕は篠ノ乃だ。
「そうか・・・・・・・・」
「本当にごめんなさい・・・・・・・・!」
僕は立ち上がり頭を下げる。心の中は申し訳ない気持ちで一杯だ。
「いいのよ、優希君」
「でも・・・・・・・」
「いいのよ、ねぇ、お父様?」
「・・・・・頭を上げなさい優希君」
僕は、恐る恐る顔を上げる。二人の顔は微笑んでおり、とても穏やかだった。そしてお祖父ちゃんが口を開いた。
「・・・・・・優希君、篠ノ乃の家の人は好きかの?」
「はい!僕の大事な家族です。血が繋がってなくても」
僕はその問いに断言する。
「・・・・・・そうか、いい人達に出会えて良かったの」
「・・・・・・・はい」
「わかった、この話は忘れてくれ」
・・・・・・これで、僕は蘭堂家の人間にはなれない、でも後悔はない。コレでいいと僕が決めたんだ。
「だが忘れんでほしい、君は蘭堂ではなくても、ワシの孫であることは代わりはない」
!?
「そうよ、あなたは姉さまの息子なんだから」
「・・・・あ、ありがとう、ございます」
二人の温かいその言葉がとても嬉しかった、僕の目から自然と涙が零れ落ちたのであった。
◆
あれから、また母さんの話を聞いたりと軽く話していたら、いつの間にかお昼の時間になっていた。
「あら、もうこんな時間。そういえば優希君、お友達を待たせてたんじゃなかったかしら?」
「あ、はい。すみません、勝手に着いてきてしまって・・・・」
そうだ、みんながいるの忘れてたよ。
「いいわよ別に、お昼はどうしましょうか?」
コンコンッ
と、果歩さんと話している途中、ドアをノックする音が聞こえた。何だろ?お祖父ちゃんが入れと言うとドアが開く、そこには僕をここまで案内してくれた女の人がいた。
「会長、会議のお時間です」
「おお、もうそんな時間だったのか、時が過ぎるのは早いの・・・・すまんが、今日はここまでのようじゃ」
「いえ、時間を取らせてしまって、すみません」
そうだよな、お祖父ちゃんってこの会社の会長だもんな。本当だったら忙しいはずなのに。
「いいんじゃよ、孫の顔も見れたしの、ホッホッホッ」
そう言ってくれるのは嬉しいな。・・・・・あれ、またあの人、僕の顔をじっと見てるよ、何だろう?
「では、会長」
「うむ、では優希君、またの」
「あ、はい、今日はありがとうございました」
ガチャッとドアが閉まった。部屋には僕と果歩さんだけが残された。
「さて、お昼はどうしましょうか?」
「えーと、果歩さんにお任せします」
「そうね、んーーー・・・・・?あっ、そうだ、ねえ、優希君まだお時間ある?」
「え?はい、大丈夫ですけど、でも、友達が・・・・・・」
一夏たちも随分と待たせてしまったし、そろそろ話しに行かないと。
「ああ、お友達も一緒でいいわよ、今、車の手配もさせるし」
車って、遠出ですか・・・・・大丈夫なのかな?
「それにね優希君に合わせたい子がいるのよ」
「合わせたい子?」
子、てことは僕と同年代ってことかな?
「えっと、合わせたい人って誰ですか?」
果歩さんは、少し笑うと言った。
「私の娘よ♪」
「え?」
いやー、オリジナルは難しいですね。
ちょっと一夏をバカにしすぎたかなーとちょっと後悔しています。まあいいけど。
まだオリジナルは続きますよー。ですから更新速度は下がると思いますのでご了承ください。では次の更新で。
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