この保守コストは、システムの機能追加といったアップデートの遅れを生み、将来にわたり事業の足を引っ張り続ける恐れがある。
■妥協の産物か。カード版とダウンロード版の併売
各ゲームにカードスロットを使った「カード版」とネット流通を利用した「ダウンロード版」を出した点も妥協の産物といえるだろう。当初計画ではカードスロットを搭載しないバージョンも検討されたようだ。その分だけハードの値段を下げられるからだ。
しかし、SCEは07年に発売した「PSPgo」でダウンロード販売だけに特化し、大失敗した経験がある。同機種は発売前から小売店の反発を受け、結局、SCE自身が本気でヒットさせようという努力をしなかった。
当面のPSヴィータの目玉タイトルである「アンチャーテッド-地図なき冒険の始まり-」は、カード版が5980円なのに対して、ダウンロード版は4900円。ダウンロード版は、自分で別に購入したメモリーカードを使わなければならないが、価格では1000円以上も安い。任天堂のように、ゲームカード向けの専用パッケージ版と、ネット流通専用のダウンロードゲームという形ではっきり区分けする。
ネット流通の大きな優位性は、柔軟に価格を設定できるところにある。
アップルはAppStoreを通じて、アプリ販売会社が価格を自由に設定できる市場を作ったが、結果的に「超競争状態」が生まれ、わずか1ドルのアプリが並ぶという価格破壊が起きた。
パソコン向けゲームのネット流通で先行する米Valveは、製品寿命が終わり古くなってきたゲームを値下げしたり、クリスマスシーズンなどに合わせて特売をしたり、パッケージゲームと同じ構成のゲームでも、価格を思い切って値下げしてユーザーの関心を集めるといった手法を駆使している。
Valveは販売するゲームソフトに応じて価格を巧みにコントロールすることで、AppStoreのような値崩れを防いでいる。
アップル、Valveの両社がネット流通の特性を活用して新たなビジネスモデルを作ったのは間違いない。
現在のSCEのネット流通の仕組みである「PSStore」では、これまでそうした価格弾力性を利用した戦略を採ってきていない。小売店と深い関係にあるSCEは、今後もそこまで踏み込んだ戦略を展開しにくいだろう。過去の“しがらみ”は大胆なビジネスへと転換する上で障害となっている。
ソニー・コンピュータエンタテインメント、ヴィータ
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