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~ユキの魔法講義~
SIDEユキ

「ようこそ、私の別荘へ。」

面談から数日後、とある休日。

私の別荘へやって来たのはアスナ、千雨、裕奈の三人です。

千雨ちゃんには魔法を教えるため、裕奈ちゃんとアスナには修行をするために来てもらいました。

別荘って魔法球のことですよ?あの神様にもらった特製魔法球。今では1時間が5年という化物魔法球になってます。

当然不老の私以外が使うと色々と不味いことになるので…

「とりあえずこの指輪を着けて下さい。」

「これは?」

千雨ちゃんが聞いてきました。

「時間を騙す指輪です。ここでは1時間が5年になります。成長してもらうと困るので。」

もっとも、筋肉やら気力やら魔力やらはつくんですけどね。








「さて…魔法を教える前に、1つ話しておきましょう。」

アスナ以外の二人はどこか疑問のあるような顔。

「魔法とは簡単に人を殺めることの出来るもの。魔法の世界では人の命を奪わなければ、自分の命がなくなる、そんなことは多々あります。

私は魔法使いからは『英雄』と呼ばれる存在です。ただしそれは戦争で活躍したという意味での英雄です。これがどういうことか分かりますか?」

無言。当然理解出来ているのでしょう。

「そう、私は多くの人の命を奪いました。つまりはただの大量殺人者。

ただ、その本質を理解せずに憧れる魔法使いは沢山います。そいつらの中には『正義』として、悪を殺すことを正当化するやつすらいます。『立派な魔法使い』を目指す、とかほざきながら。

二人は決してそんな馬鹿にはならないで下さい。」

理解したと言う風に、頷く二人。いい兆候ですね。









「まあ暗い話はこの辺りにして…まず二人にはスタイルを決めてもらいましょうか。」

「「スタイル?」」

「ええ。戦闘においては大きく分けて2つスタイルがあります。魔法剣士と魔法使いです。」

「その2つの違いは?」

「まず魔法剣士。これは戦闘で魔法だけではなく、自分の肉体や近距離武器等も使うタイプです。簡単に言えば魔法を使いながら殴り合いに持ち込むタイプです。

一方の魔法使い。こちらはひたすら魔法を放っタイプです。極端なことを言えばただの砲台です。」

「せんせーはどっちなの?」

「私はどちらかと言えば魔法使いタイプです。まあ近接戦も出来るようにはしてますが。雪織は魔法剣士ですね。大鎌を得物として近距離戦闘をするタイプです。」

「雪織?」

あれ?ああ。千雨ちゃんは会って無いですね。

「私は二重人格でして、もう一人の人格の事です。零崎雪織、通称『漆黒の死神』。私は『属性を統べる者』と言われてますが。」

「『漆黒の死神』って…」

「雪織は大鎌を得物にして黒いローブを着ています。ついでに魔法で髪と目の色を黒くしてますから。いつの間にかそんな風に呼ばれるようになってましたね…」

「へぇ…」

んー…話がそれました。

「まあ私の見立てでは二人とも魔法使いタイプでしょうね。魔法剣士になりたいのなら別ですが…」








しばらく考えさせた結果、二人とも魔法使いタイプになることになりました。

「では次のステップ…と行きたいところですが裕奈ちゃんはもう魔法は使えますか?」

「うん。一応はね。」

「とするとしばらく裕奈ちゃんは後回しになりそうですね…適性属性は分かる?」

「えーっと…火、土、光だったかな?」

「全体的に火力が高い属性ですね…とりあえず今使える魔法で一番強いやつを撃ってみて。」

「いいの?」

「どのくらいの威力があったかでアスナにメニュー決めさせるんで。」

「え!?私が!?」

「魔法は無理でも体術は教えれるでしょ。ついでに属性が絡まない魔法。」

「まあそうだけど…分かったわ。」

「と言うわけで、撃ってみて。」

「はーい。」

私は障壁を展開、裕奈ちゃんは距離をとり、呪文の詠唱をスタート。

「ウァレオー・オプティマー・エスト"ものみな焼き尽くす浄化の炎、破壊の王に再生の微よ、我が手に宿りて敵を喰らえ"!」

お?結構強力なやつですね。

「『紅き炎』!!」

爆煙が押し寄せる。障壁で防ぎつつ、威力の確認…なかなかのレベルですね。

「明石って結構凄かったんだな…」

「母親は現場の第一線で活躍してましたからね。才能が遺伝したんでしょう。」

と、晴れてきましたね。

「どうだった?」

「なかなか良いですよ。私は千雨ちゃんに初歩から教えるので、アスナと二人で頑張ってください。」

アスナは歩いていき、一言二言話してから歩いて行きました。







では、始めますか。

「さて、と。先ずは魔力を感じてみないと分からない訳ですが。」

「って言っても先生。私は魔力なんて感じたことないぜ?」

「だからこうします。」

そう言って手を頭にのせ、魔力を流す。

「んっ…」

「分かります?」

「ああ…なんか頭から来てるのが分かる。これか?」

「そのなんか、がわかればOKです。はい。」

初心者用の杖を渡す。

「今から私と同じようにやってみて。プラクテ・ビギ・ナル『火よ灯れ』」

「えーっと…プラクテ・ビギ・ナル『火よ灯れ』」

ぽっ、と杖の先に火が灯りました。これはこれは…

「結構才能あるみたいですね。」

「本当か!嬉しいなコレ…」

ついでにさっき頭に触れたときに境界を弄って魔力を伸びやすくしておきました。後で裕奈ちゃんにもやっときましょう。

何の境界か、ですって?「魔力の限界」と言う名の境界ですよ。取っ払ってやりました。強いて言うなら「有限」と「無限」の境界でしょうか?魔力の「伸び」には本来限界がありますからね。

「ま、とりあえず火が灯せたのでコレを。」

取り出したのは水晶玉のようなもの。魔力を流すことで適性属性を計れるようにしてあります。

「どうするんだ?」

「魔力を流してみて下さい。さっき火を点けたようにすれば良いです。」

言われて魔力を流す千雨。すぐに内部で変化が起こります。

「これは…?」

ジグザグに走る黄色い線、流れるような薄緑の線、所々に浮かぶ黒い球。刻一刻と変化するそれは幻想的でもあります。

「それは千雨ちゃんの適性属性を示してます。黄色は雷、薄緑は風、黒は闇です。」

「ふぅん…それぞれの特長とかあんのか?」

「共通するのはどれも補助的な要素を持っていることです。雷は相手を麻痺させ、風は捕縛魔法が多いです。闇は…まあ色々です。色々。」

闇って出来ること多いんですよ。同時にリスクも大きいものが多いですけど…『闇の魔法』なんてそれの最上級ですね。まあアレは近接専用に近いですし、千雨には要らないでしょうね。

さて、これからが楽しみですね…
裕奈の始動キー
ウァレオー・オプティマー・エスト
ラテン語で「元気なことは最も善いこと」という意味。

適性属性は何となくで決めました。


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