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~図書館島の深部にて~
SIDEユキ

「お邪魔しますよー」

扉を開けつつそんなことを言います。

広がるのは地下とは思えないほど広い空間、少し向こうにはテーブルと椅子、二人腰かけています。

後ろの三人は言葉を失ってます。アスナは予想外の人物がいることに、千雨ちゃんと裕奈ちゃんはこの空間そのものに、でしょう。

「いきなり来ないで下さいよ…雪。それで、後ろのお嬢さん達は?」

「まったくもって同感じゃな。心臓に悪いぞい…」

「あ、ああ。長谷川千雨だ。」

「明石裕奈…です。」

「ワシはフィリウス・ゼクトじゃ。」

「ご丁寧に。私、クウネ「アルビレオ・イマ」ル…」

強引に切られて言葉につまるアル。

「たしかにその通りですが、今はクウネル・サンダースと名乗っています。ここの図書館の司書をしている者です。どうぞよろしく…」

「えーっと…クウネルさんで良いのか?」

「はい。ああ…アスナちゃんは今まで通り『アル』で結構ですので。」

「分かったわ。でもなんでこんなとこにアルとゼクトがいるのよ?」

「10年ほど前に色々ありまして…療養中の身です。」

「ワシは純粋にやることが無いでの。落ち着いて過ごすにはここが一番じゃ。」

「ん~…あ!思い出した!麻帆良祭の時に現れる謎の白いフードの青年と謎の老人口調の少年!」

「アルにゼクト…そんな風になっているとは知りませんでしたよ?」

「分身体を送っているんですよ…私が外に出れるのはその時くらいなものなので…」

「ワシはあまり外に出る理由が無いからのう…」

身分的にも動きにくいでしょうからね。

「まあ…と、それは良いんです。二人に用があって来たんですよ。」

「何ですか?」

「ええ。はっきり言うと二人に稽古を付けてもらいたいのです。特にこの二人に。」

「そちらの二人はどのくらいですか?」

どのくらいのレベルか、ということでしょう。

「得意属性を伸ばして、それぞれの広域殲滅魔法は使えるまで伸ばしました。二人とも魔法使いタイプですのである程度の体術も身に付けてます。」

「ふむ…実践経験が足りんということじゃな?」

「そういうことです。場所は1倍魔法球で確保できるので…どうですか?」

2つほど取り出します。どこからですって?もちろんスキマからですよ。

「良いですよ。ゼクトはどうですか?」

「ワシも構わんよ。久しぶりの実践じゃ。断る理由も無いじゃろう。」

「ありがとうございます。では!」

千雨ちゃんとアル、ゼクトと裕奈をそれぞれの魔法球に送ります。

「戦えなくなるまで二人とも、頑張ってください。」

念話を利用した魔法で指示を出しておきました。

「私たちはどうするの?」

「まあゆっくり待ちましょう。紅茶でもいれてきますよ。」









しばらく…およそ一時間経ったところで千雨ちゃんとアルが魔法球から出てきました。

「どうでしたか?」

「あー…もう全然喰らわせれねえ…ふらふら避けられて重力魔法で反撃されるし…」

「彼女は魔法の才能が素晴らしいですね。ただいかんせん実践経験が少ないからか戦法がワンパターンになってしまってます。」

「ふうむ…やはりですか…」

「ただセンスは良いですし…どうでしょう?重力魔法を覚えてみますか?」

「おや?その素質があったんですか?」

「ええ…どうです?あなたはどうしたいですか?」

「教えてくれるんなら教えてくれ。手札が多いに越したことはねえ。」

「分かりました…とはいえ今は疲れてるでしょうからまた後で。」

まさかアルが教えると言い出すとは…








千雨ちゃんとアルが出てきてから15分ほど経って、裕奈ちゃんとゼクトが魔法球から出てきました。

「にゃはは…ダメダメ。」

「ゼクトの意見は?」

「うーむ…なかなか良いんじゃが、やはり実践経験が足りてないの。魔法の連繋を良くすれば化けるじゃろうな。後は…」

「まだあるんですか?」

「うむ。どうやらこやつは火、土、光が適性が特に高いのであって、他の属性の適性が悪いようでは無いみたいじゃ。他の属性魔法ある程度は使えるようにするのが良いじゃろうて。」

へぇ…まんまゼクトみたいになれると。結構良さげですね。

「ところで雪。あなたは仮契約はしてるんですか?」

「ええ。アスナとはしてますよ。」

「「仮契約?」」

「コレね。」

そう言ってアスナは仮契約カードを取り出します。

「あれ?二人には説明してなかったですか?」

うんうん、と頷く二人。

「仮契約とはその名前通り『仮』の『契約』です。魔法使いの従者を作るための儀式で、主からの魔力供給、念話、従者召喚などが出来ます。」

「それらもありますが、重要なのはアーティファクトですね。」

アルが補足を入れる。

「「アーティファクト?」」

「アーティファクトとは仮契約で手に入る魔法具じゃ。主の魔力量によってはそもそも手に入らない場合があるがの…」

「まあ雪の魔力量は異常とも言えるレベルですし、間違いなくアーティファクトは出るでしょう。それも強力なのが。アスナちゃんのそれは?」

「『ハマノツルギ』よ。効魔法や気による攻撃の無効化、及び無効化や反射の出来る結界を張る機能、後は召喚された物の一撃で送り還す効果もあるわ。」

私とアスナ以外の顔がひきつってますね。まあ仕方ないですけど…

「仮契約って何人でも出来るのか?」

「ええ…『仮』ですし。」

本契約も器しだいで何人かと出来るんですがね。

「なら先生…私と仮契約してくれないか?」

「あ、私も!」

「え?別に良いですけど…」

少し離れて、足下に魔方陣を発現させる。

「一人ずつやりますから…まず千雨ちゃんから。この上に立って足元の陣に魔力を流して。」

「分かった。」

足元の陣が輝きを増す。

「"我、泉野雪を主とし、長谷川千雨、かの者を我の従者と為さん"」

するとカードが手元に降りてきます。千雨ちゃんの手元に1m位の杖…クリスタルロッドが握られてます。名前は『透明の魔法杖』ですか。

「はい。確認は後でするから待って下さいね。」

千雨ちゃんと同じように、裕奈ちゃんも。こちらは両手に形の違う拳銃…名前は『七色の銃』…原作と同じですが魔改造されてる可能性大ですね。

「使うときは『来れ』です。」

「「『来れ』」」

当然のごとく手元に現れます。さて、と。効果はどんなものでしょうかね…





調査結果です。
千雨ちゃんの『透明の魔法杖』は

1つの魔法をノータイムで発動できるようです。これは杖を持っている限り、なんの前触れも無しに魔法を発動出来るということです。恐ろしいことに無詠唱以上に早く発動します。
もっとも、一度使うと次の使用には10秒ほど時間が必要のようです。まあ『千の雷』二重展開とか出来るので十分な気がしますが…

こんな感じです。

裕奈ちゃんの『七色の銃』は

特殊な効果を持った魔法弾(魔力封印)などを打てるようです。まあこちらはそれなり、ですね。

問題なのは『雷の暴風』レベルの魔法を銃を介して連発出来ることです。魔力は消費しますが。
さらにその威力を圧縮した魔法弾も打てます。当然のようにアシストがついていて、狙った位置に確実に着弾させる事が出来ます。

実際『紅き炎』の威力を圧縮した魔法弾を5秒で30発近く一ヶ所に打ち込まれて障壁を壊されました。『千の雷』クラスも余裕で防げる障壁が、です。

こんな感じです。

いやはや、二人とも強化しすぎレベルになってしまいました。これからどうなりますかね…?
アーティファクト

千雨…『透明の魔法杖』
裕奈…『七色の銃』

それぞれチートクラスのアーティファクトです。説明は本文で。


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