~麻帆良武道会~
こんにちは。転生した「私」です。
確かに大戦に関われるようにしてもらえますか?と言いましたよ。言いましたとも。
ですが
「ここが麻帆良か~すげえな!強いやつと戦えるぜ!」
横にいるコイツ、誰だと思います?
そうですよ。ナギ・スプリングフィールドですよ。
「戦いたいのは分かったから。エントリーしに行きますよ。」
「そうだったな!んでユキ、何処か分かるか?」
「ガイドブック読めばわかるでしょうに…向こうですね。それっぽい人もいますし。」
私の名前はユキ・スプリングフィールド。ナギの双子の姉として生まれました。
ちなみに転生したというのが分かったのは5歳の時、それから『境界を操る程度の能力』が使えるようになりました。
で、私は10歳で魔法学校を卒業、旅に出て行方をくらませようかとしたらナギが中退してついてきました。
あ、卒業後の課題はなかったですよ?あの仕組みは大方大戦後に出来たんでしょう。
行方をくらませようかとした理由は単純で、能力を手に入れたのをごまかそうかと思ったんです。
どうせしばらくしたらゲートポートに行って魔法世界に行くんでその時にでもやりますが。
ドンッ!
「あ、すみません…」
考え事をしていたのでぶつかってしまいました。見上げると若い青年です。大きな野太刀を背負っていますが。
「こちらこそすまなかった。考え事をしていたもので。」
「お!お前強そうだな!武道会に参加するのか?」
「ああ、そのつもりさ。君たちはどうするんだい?」
「私たちも参加するつもりです。貴方とは当たりたくないですね。中々の手練れのようなので。」
「はは。そう言ってもらえると嬉しいね。」
「俺は戦ってみたいぜ!お前、名前はなんだ?俺はナギ・スプリングフィールドだ!」
「私はユキ・スプリングフィールドです。」
「俺は青山詠春さ。それじゃ、健闘を祈るよ。」
そのまま軽く礼をして歩いて行きました。
詠春でしたか…まだ近衛では無かったんですね。
そのまま歩いて行き、エントリーしました。ちなみに私が参加すると言ったときの参加者名簿をつけている人の驚き方は凄かったですね。まあ、見た目はただの女の子ですからね。
さて…大会が始まりました。予選はバトロワ形式でした。一言で言わせてもらうと
「雑魚ばっかり」
でした。見た目で人を判断してはいけません、ということを思い知らせましたよ。
んで、本戦です…が、結論から言います。私とナギ、詠春意外は雑魚でした。
私は『戦いの歌』で身体強化、そのまま肉弾戦に持ち込んで勝ちましたよ。準決勝の相手も軽くいなして、次が決勝戦です。
さて、ナギ対詠春ですね…しっかり見ておきましょうか。
ナギはフットワークをいかして詠春の懐に潜ろうとします。が、詠春は野太刀を振るって追い払い、そのまま神鳴流を決めようとします。あれは…斬空閃でしたか?
あ、ナギが障壁で防ぎました。やっと防御を覚えましたか。
そんなやりとりがしばらく続きましたが、二人とも動きが止まりました。時間が押してるからお互いに威力の高い技で決めるつもりですかね…
台詞が無いですって?結構離れてるから声が聞こえないんですよ。解説はもはや機能してないですし。どういうことか?いや「すごい」だの「派手」だのしかいってないのですよ。
おや?ナギはあんちょこ見てますね。読唇術で…何々?「ヘカトンタキス・カイ・キーリアキス・アストラ・プサトー!」って…
なんの事か分からない?日本語にします。「百重千重と重なりて、走れよ稲妻!」ですよ。
ナギは「千の雷」、詠春は「雷光剣」、2つがぶつかって煙が上がります。
ゆっくりと煙が晴れていきます。立っているのは…ナギでしたか。審判が10カウントとって、ナギの決勝進出が決まりました。
ナギが控室に戻ってきました。
「どーだ…勝って…やったぜ…」
息も切れ切れに話してきました。
「お疲れ様です。まあ良いじゃないですか。派手に壊したおかげで決勝は1時間後ですよ。」
「1時間あればなんとかなるぜ…絶対に勝ってやるからな!」
「私も負けるつもりは無いですよ?」
今はゆっくりと過ごしましょう。
「さあいよいよ麻帆良武道会も決勝戦!いままでハイレベルな戦いを見てきましたが、ここで終わるのが惜しいくらいです!さあ、決勝戦の選手を紹介しましょう!先ずは一人目、ユキ・スプリングフィールド選手です!」
私がリングに上ると歓声が上がります。
「いまだ10歳の女の子ながら、敵を瞬殺する実力は本物です!まともな試合を見ていない気がしますが、この試合ではどうなるでしょうか!
では二人目です!ナギ・スプリングフィールド選手です!」
ナギがリングに上ると、同じように歓声が上がります。
「こちらも10歳の少年ですが、先程は素晴らしい試合を見せてくれました!それまでの相手はほぼ瞬殺、やはり実力は本物です!そして、この二人は双子なのです!双子同士の戦いのどちらに軍配が上がるのか!」
「本気でいきますよ?」
「当然だ!俺が倒して優勝するぜ!」
「威勢は良いですね。私も優勝を狙うので。」
「それでは、試合…開始!」
「「『戦いの歌』!」」
お互いに無詠唱での戦いの歌、一気に距離を詰めます。
拳を出して、受け流され、ナギが掌底。それは読んでますよ。
そのまま手首を掴み、放り投げます。
放り投げたところまで一気に瞬動、回し蹴りで叩き落とします。
「グッ!」
ナギは背中から叩きつけられましたが、身体強化もあってそこまでダメージは無さそうです。そのまま立ち上がりました。
「マンマンテロテロ…」
「!リラ・カ・マギカ・ラ・エレメンタ…」
呪文詠唱は予想外でした…すぐに始動キーを唱えます。
「来たれ雷精、風の精、雷を纏いて、吹きすさべ南洋の嵐!」
「来たれ氷精、闇の精、闇を従え、吹雪け常夜の氷雪!」
「『雷の暴風』!」
「『闇の吹雪』!」
ドオン!
「くっ…!『魔法の射手 連弾 光の10矢 水の10矢』!」
爆風で吹き飛ばされながらも、魔法の射手で反撃。雷の暴風は打ち消しきれなかったですからね…!
「うお!?お返しだ!『魔法の射手 連弾 雷の20矢』!」
ナギも黙ってやられるわけもなく、打ち返して来ました。最初の1、2発当たっただけ良しとしましょう。
チラッと残り時間を見ますが、もう2分もありません。ナギに目配せすると、すぐに理解してくれました。
「マンマンテロテロ…契約により、我に従え高殿の王、来たれ、巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆」
「リラ・カ・マギカ・ラ・エレメンタ…契約により、我に従え炎の覇王、来たれ、浄化の炎、燃え盛る大剣、ほとばしれよ、ソドムを焼きし火と硫黄」
「百重千重と重なりて、走れよ稲妻!」
「罪ありし者を死の塵に!」
「『千の雷』!」
「『燃える天空』!」
ドッゴオオオオオオオオオオオオン!
轟音と共に、凄まじい爆発が起こりました。
急いで障壁を張り、衝撃と爆風を防ぎます。
「タイムアーップ!」
煙が晴れていきます。ナギは…立っていました。
「な、なんと!両者とも無事です!今回の優勝者は二人!ユキ・スプリングフィールド選手とナギ・スプリングフィールド選手です!」
「ちぇー…引き分けかぁ…」
「全くです…ま、負けなかったですけどね?」
「納得はできないけど、仕方ねえな。」
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