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最初三人称で始まります。
間幕   訓練風景
~ソフィアの教官、カールside~


「おうりゃあああああ!」
ソフィアはファイアーボールを無造作に投げつける。
「威力だけの攻撃に意味なんてありませんよ」
カールはバックステップでそれを難なくかわすと同時に、手に魔力をため、何本もの氷の矢をつくり前に構える。
ファイアーボールが地面にぶつかり、火柱が上がる。その火柱の中を、耐魔の魔法を体にまとい突進するソフィア。
「ワンパターンなんですよ!」
前にも同じことをしたのを憶えていたカールは火柱から出てきたソフィアに氷の矢を放つ。
「同じなわけねーだろ!」
ソフィアだと思われた影は氷の矢をくらい消滅。後ろに殺気を感じたカールは振りむき、圧縮した空気を盾にファイアーボールを防ぐ。
(いつの間に分身魔法と身体能力強化魔法を……。魔法を憶えるスピードが速すぎる。だが……)
ファイアーボールの熱によって温度が上がった空気の壁を、ソフィアに向け解放する。
「あ、あっつ!?おいばか、あついって、あついあついあつい!」
てんぱってへんな踊りをしているソフィアに、身体能力強化魔法を使い一瞬で接近し、腹を殴る。
「がはっ!」
もろにくらったソフィアは地面に倒れた。




「ずいぶんお強くなられましたな」
「うるせー嫌みかまったくダメージないくせに!てゆーか王女の腹殴るか、ふつう!?」
涙目で見上げるソフィア。
「私は最初に言いましたよ?手加減はしないと」
それでも12歳の女の子にすることじゃねーだろとの呟きを無視し、ソフィアに敗北の原因を答えさせる。
「あー、きっとあれだ、最後はファイアーボールよりもっとスピードのある魔法使えばよかったんだ。たとえばウインドカッターとか」
ウインドカッターとは真空波を飛ばす魔法である。ファイアーボールに比べて圧倒的に速いのだが、命中させるのが難しく、また術者の魔力に左右されやすい。
「そうですね、その通りです。ではなぜファイアーボールにしたのですか?」
「だ、だって、ウインドカッターとか危ないじゃん……」

(まったく、このお姫様は……)
苦笑するカール。以前ウインドカッターの練習をした時、銅剣がすっぱりと切れたのを忘れられないのだろう。
「ファイアーボールだって危ないじゃないですか」
「ファイアーボールは前に何回も防がれているから大丈夫かなーと……」
「まったく舐められたものですね。いいですか、あなたの攻撃では私を傷つけることはできません。次からは全力で来なさい」
「! あーそうですか、どうせ俺は弱いですよーだ、ふん!」



ぶつぶつとなにか呟きながら去っていくソフィアと入れ替わるように、ソフィアの教育担当であるアイメンがやってきた。
50後半にもなる彼は、ソフィアを孫のように思っていていつも心配をしている。
「どうですかな、ソフィア様のお調子は?」
「さすが、史上最高の魔力量を持ってらっしゃるだけある。かろうじて優位を保っているが、経験を積めば私など足元にも及ばないだろう」
アイメンは、信じられないような顔でカールを見た。
「世界でも屈指を実力を誇るあなたにそう言わせるとは……。恐ろしいものですな」
「ああ、あの方ひとりいれば戦争などすぐに終わるだろうな」
「ッ!なにをいうカール、ソフィア様を戦争になどとっ!」
普段めったに怒ることのないアイメンが、珍しくその表情に怒りを宿らせる。
それだけ、ソフィアを大事にしているのだろう。
「わかっている、冗談だ。あんなに優しいお方に戦をさせはしない」
苦笑するカール。
さきほどのソフィアとの会話はなんども繰り返している。ようするにソフィアは人を傷つけることができないのだ。


ならいいのですが、と去っていくソフィアの後ろ姿を見ながら言う。
「男勝りな口調で隠れてはいますが、ソフィア様は誰よりも優しく、そして誰よりももろい。もともと戦いには向かないのです」
(ただ臆病なだけなのかもしれないがな)
カールは心のなかで呟く。アイメンが聞いたら激昂するかもしれないからである。

「このまま訓練していってもあまり伸びるきはしないが……。まあ大丈夫だろう、すぐに調子に乗るからな」
「……けなしているようにしか聞こえませんが、事実なのでしょうがないですな」
はあ、とため息をつきながら、ソフィアの背中を見送った。




~ソフィアside~

「はっくしゅ!……なんだ、うわさでもされたか?」
魔法についての本を開きながら鼻をこする。

今俺は図書館に来ている。魔法の概念などを復習するためだ。
魔法を使う方法は、空気中にあるマナに自分を内にある魔力を作用させるってことなんだが、そもそも魔力とかマナってなんだよって思うよな。
魔力について調べてみると、思考によって操作することができる氣、なんだそうだ。
氣ってなに?って最初は思ってたけど、感覚でつかめるようになってきた。ああこれが氣か、みたいな。
うまく言葉にはできないけど、なんかこう、流れてる感じがするんだよね、体の中に。

そしてその魔力を使ってマナに作用させるわけなんだけど、マナってのはこの世界の氣ってことらしい。
その世界の氣ってやつに自分の氣を混ぜて魔法にするんだって。
そのさい、その自分の氣に使いたい魔法のイメージを乗せるんだそうだ。
ようは想像力が大事ってことだな。だから魔法には個性がある。
ただ、ファイアーボールみたいなイメージしやすいものができないと、魔法を使うことはできないらしい。いくら魔力量があっても、だ。
で、土地によって使いやすかったり使いづらかったりする魔法もあるらしいんだが……。
「あーもーめんどくさい、飽きた!」



……そんな目で俺を見ないでくれ。
ようするに主人公最強だけどチキンですねってことを書きたかったんです。あと魔法についてちょっと説明を。


三人称、書いたはいんですがあんまり・・・。やっぱり一人称でいくと思います。


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