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第二話  日常
「おーいミレディ、町いこーぜ!」
「ソフィア様、今行きまーす!」

俺は今、幼馴染の友達の家の前にいる。友達というよりはお姉さんか、俺より4つ上だし。


ミレディ・セルグラント。16歳。セルグラント侯爵家の一人娘。
肩までのふわふわした緑色の髪と大きな胸が目立つ、笑顔が良く似合う女性だ。


俺とミレディが出会ったのは俺が7歳のとき。
勉強ばかりな日々の退屈さに俺は城を抜け出し、町へ行こうとした時に、ちょうど父親のハレイさんと一緒に来ていたミレディに見つかったんだが、涙目で頼み込んだ結果、「私と一緒なら」ということでオッケーをもらった。

で、町で買い食いとかしまくった結果、むしろ俺よりはまってしまったらしい。
今では二つ返事で来てくれるようになったんだ。


「今日はどこに行きますか、ソフィア様?」

「おいおい、町では姉妹だろ、〝お姉ちゃん″?」

「そ、そうだったわねソフィー」

ミレディはうれしそうにはにかむ。うあーこの人かわいいよマジで。


俺たちは町に行く時、俺が魔法で髪の色を緑に変え、姉妹という設定にしている。
ちなみに髪の色の変え方は、俺の髪の毛を、ミレディの色に同調させる。
それで緑の長髪美少女が出来上がりっ!




そ、そんな目で俺を見るなぁっ!




……俺、最近自分を女性として扱うことになれてきてしまってるな。
でもしょうがないと思わないか、360度から女性として扱われるんだぜ? いや女の子か。
さすがに男として扱えなんていわないさ。俺も俺の容姿にほれたくらいだし。


はは、なんか目に汗が……


それでも男を好きになることなんて絶対ないけどね、頭がおかしくならない限り。







はい、ということで町にやってきました。

俺たちがよく行くのは商店街。数多くの食べ物屋があり、常に大勢の人でにぎわっている。

まずは行きつけの果物屋に向かう。商店街の端にある、ふくよかなおばちゃんがやっている店だ。

「おばちゃん、イチゴくれイチゴっ!」

「そろそろ来るころだと思ってたよ美人姉妹! ほら、とれたてだよっ!」

「さすがだおばちゃん、愛してるぜ-!」

「いつもありがとうございますおばさま」

「あんたたちのおかげで若い男たちが釣れるからね、おたがいさまさ」

この世界は前の世界と食物とかはあんまりかわらない。転生できたことに関係があるのかもしれないな。
まぁちゃんとこの世界独特の食べ物とかあるけどね。


次は服屋。ファンタジーな服は見てて楽しい。そしてミレディにいろいろ着せて萌えるんだ。

「これ着てお姉ちゃん!」

「私には幼すぎな気がするわ……」

「今度はこっちを!」

「んー、スカート短すぎない?」

「じゃあこれは!?」

「もはや下着よ!」

やっべめっちゃ楽しい。


そして最後は酒屋。実際にお酒とか飲むわけじゃないんだが、ここにはようするにギルドみたいなものがあって、いろんな仕事依頼の紙が貼ってある。

どんな仕事があるのか見てみたり、ギルドの仕事を生業としている人たちの世間話を盗み聞きしたりするんだ。

ここでこの王国の住人の生の声を聞くことで、少しでも世間を知ることができるのかも、と思った。


「探し物から魔物退治まで……。あいかわらずいろんな仕事あるんだな」

「それもここのマスターさんへの信頼が厚いからなんでしょうね」

「はは、そんな大層なものではないですよ。友人が多いだけです」

ギルド、宿屋を兼ねている酒屋、「明星亭」のマスター、ジルさんが笑う。

このジルさんがまたなんとも渋いおじさまなんだよ。執事やっててもなんら違和感なさそうなんだよね。

ちなみにジルさんには俺が王女だってことはばれてる。周りの人は全く気がつかなかったのに……。

なんでも「オーラがある」らしい。魔力のことかと思ったけど、またそれとは違うんだって、わけわからん。

「で、最近変わったこととかあった?」

「そうですね、変わったことというより、明後日にあなた様の誕生日がありますよね? そのときにかの有名な預言者、ロセスが来るらしいですね」

「口にだしたことはすべて現実になるという、あのロセスですか!? わ、私もぜひ将来の結婚相手を教えてほしいわ……」

「初めて聞いたよそんなやつ」

もともと占いの類は信じるほうじゃなかったからな。割とどうでもいいや。

「まったく、ほんとにソフィーはこういうことに疎いわね。彼のことを知らない女の子のほうが珍しいんだから」

「きっと彼はソフィー様のことを占うのでしょうね」

えーなんかいやだなー、しかも占いじゃなくて預言なんだろ?
嫌な予感しかしねーよ……。


「さてソフィー、そろそろ帰りましょうか」

「ああ、そうだなお姉ちゃん」

今はだいたい夕方の三時ごろ。城を抜け出したのが12時前後だから、そろそろアイメンあたりが騒ぎそうだからな。

「うじゃ、またなジルのおっさん」

「失礼します、ジルさん」

「ええ、またお待ちしていますよ、お二方」


帰りにイチゴ買っていこう。アイメンの機嫌取りに。


しかし、預言者ロセスか……
どんな人なんだろうな。
555見てて遅れちゃった!

……いやすいません、気まぐれで借りたんですが、はまってしまいまして。



見直して思ったんですが、なんか間話っぽい話だなーこれ……


次回やっと主人公追放されます、多分。


あ、あと魔物の説明も次回に。


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