市民団体も署名提出 【鳥取】鳥取市が市庁舎の移転新築計画を決める住民投票条例案から永住外国人を排除していたことがわかり、民団鳥取本部(薛幸夫団長)は見直しを求める「陳情書」を5日、中西照典市議会議長にあてて提出した。同時に、薛団長をはじめとした市民代表5人も1033人の署名簿を添えて外国人住民への投票権付与を要望した。 老朽化した市庁舎をめぐっては、市案が駅前の市立病院跡地への新築移転なのに対し、対案は現本庁舎の耐震改修および一部増築となっており、住民の意思を問うことになった。だが、検討会を経て市議会で検討中の住民投票条例案は、投票資格を「20歳以上の日本国籍を有する者」としている。 これは住民を国籍と関係なく市民と規定し、市と協働してのまちづくりへの参画を「市民の権利」「市民の義務」とうたった「鳥取市自治基本条例」に真っ向から反するものだ。 薛団長は、「我が家も4世代を超え80年以上、鳥取市内に居住している。納税は当然として町内活動に従事し、地域の祝祭にも積極的に参加している。それでも住民ではないのか」と訴えた。 県内では日吉津村、智頭町、江府町、北栄町、合併前の気高町で永住外国人に対して住民投票権を付与している(5月11日現在)。 全国的には、滋賀県米原町が02年に永住外国人に初めて住民投票権を認めて以来、226の自治体が、主に市町村合併の是非を決める住民投票で永住外国人の意思も確かめている。 「住民投票権は当然」 第5回地方参政権シンポ 永住外国人の市政参加問題は11月26日、鳥取市内のさざんか会館で開かれた第5回永住外国人地方参政権シンポジウム(同実行委員会主催)でも主要な論点となった。 パネリストのひとり、岡崎勝彦さん(愛知学院大学法科大学院教授)は、「町内会にも加わって、普通の市民として暮らしている在日外国人が、市役所の移転問題に関与するのは当然の権利だ」と口火を切った。 田中宏さん(一橋大学名誉教授)は、「在日外国人が住民投票に参加するのは特殊なことではなく、すでに一般的になっている。在日外国人の投票権が認められなければ、住民投票の差し止め請求を裁判所に提出してでも、鳥取市議会に説明責任を果たしてもらうべきだ」と主張した。 実行委員の1人、薛幸夫さん(民団鳥取本部団長)は、「永住外国人の市政参加をめざして市民と連携しながら地道に理解を深めてきたのに。いまは喪失感と虚脱感でいっぱい。おそらく、住民投票を認めれば、地方参政権付与へと切り崩しにあうのを恐れているのでしょう」と推測した。 シンポには市民約100人が参加。フランス文学者でプルーストの『失われた時を求めて』の個人全訳で名高い鈴木道彦さんが、「在日の問題と日本社会」と題して基調講演を行った。 (2011.12.7 民団新聞) |