李明博(イ・ミョンバク)大統領が18日に行われた韓日首脳会談で、野田佳彦首相に対し「旧日本軍の慰安婦問題を解決するために、本当の勇気を持ってほしい」と求めた。今回の会談で、野田首相は主に韓日間の自由貿易協定(FTA)の交渉推進について持ち掛けたが、李大統領は、そうした未来志向的な協力が成し遂げられるためには、まず慰安婦問題を優先的に解決しなければならないと応じた。これに対し野田首相は「人道主義的な見地から知恵を絞っていこう」と漠然と述べた上で、韓国の市民団体が14日に在韓日本大使館前に設置した、慰安婦を象徴する少女像「平和の碑」の撤去を要請したという。
日本は「両国間の請求権問題が完全かつ最終的に解決したことを確認する」とした1965年の韓日基本条約締結時の協定を理由に、慰安婦の賠償問題を回避してきた。だが、慰安婦問題は韓日基本条約締結から26年後の91年、元従軍慰安婦の故・金学順(キム・ハクスン)さんら被害者たちが声を上げたのを機に、本格的な懸案事項として浮上した。日本も93年、当時の河野洋平官房長官が談話を発表し、従軍慰安婦の存在と、旧日本軍の関与を認めた上で「今後提起される訴訟や、国際社会の動きにも関心を払っていきたい」と述べた。その後日本は一時期、民間基金をつくって慰安婦問題の解決を試みた。この問題が韓日基本条約の締結によって完結したと見なすのは難しいと判断したからだろう。
野田首相は「平和の碑」の撤去といったとんでもない話を持ち出したが、これは日本が慰安婦問題をいかに安易に考えているかを示している。李明博政権が国内政治向けにこの問題を取り上げたと考えるのは大きな間違いだ。韓日基本条約には、条約の解釈や施行をめぐって紛争が起これば、まずは外交ルートを通じて解決し、それで解決しない場合には仲裁委員会を設置し、問題を回付するとの条項も定められている。韓国の憲法裁判所は今年8月、この条項に基づき、韓国政府が慰安婦の賠償問題について積極的に解決に乗り出さないのは違憲だとの決定を下した。韓国政府は、日本が最後まで外交的な協議に応じない場合、この問題が国際社会で広く認識されるよう世界に訴え掛ける案を推進していく必要がある。
1993年にウィーンで行われた世界人権会議の決議文には慰安婦問題が盛り込まれ、2007年には米国下院と欧州議会で、日本に責任があるとして謝罪を求める決議案が採択された。経済大国の日本は、年間100億ドル(約7775億円)もの援助基金を拠出している。だが、日本がどんなにカネをばらまいたとしても、自分たちが犯した反人類的な犯罪をもみ消すのでは誰からも尊敬されない。そのことをわれわれは十分に悟らせなければならない。