【国際】北朝鮮「正恩氏が後継」 金正日総書記 死去2011年12月20日 00時47分 【ソウル=篠ケ瀬祐司】金正日(キムジョンイル)朝鮮労働党総書記(国防委員長)の死去で、北朝鮮は三男で党中央軍事委員会副委員長の正恩(ジョンウン)氏(28)を中心とした体制への移行を図る。19日に死去を伝えた朝鮮中央テレビは「今日、わが革命の陣頭には、わが党と軍隊と人民の卓越した領導者(指導者)である金正恩同志が立っている」と強調。初めて「領導者」と呼び、後継者として国内外に正式宣言した。 朝鮮中央通信も同日夜に配信した記事で「われわれには金正日同志そのままの、尊敬する金正恩同志がいる」と金総書記と正恩氏の一体性を強調。正恩氏の地位固めを急いでいることがうかがわれる。金総書記の葬儀委員会名簿は正恩氏が筆頭。28日に平壌で行われる葬儀では正恩氏が葬儀委員長を務め、後継者としての正統性をアピールするとみられる。 正恩氏が父親の築いた先軍(軍事優先)政治を継続させるのは確実だが、20代と若いことから国内を掌握できるかは不透明だ。後継体制の整備も完了しておらず、当面は軍や党の後見人とともに国家運営に当たるとの見方が多い。 外交、軍事など北朝鮮のあらゆる面を統括していた金総書記の死去で、懸案の核問題や拉致問題解決の見通しが立たない日朝関係も当面、大きな変化は期待できない。 韓国の李明博(イミョンバク)大統領は19日、オバマ米大統領、野田佳彦首相らと電話で協議。金星煥(キムソンファン)外交通商相もクリントン米国務長官と電話協議し、それぞれ朝鮮半島の危機回避に向け、緊密に連携することを確認した。 韓国政府は不測の事態に備え国家安全保障会議を緊急招集。韓国軍は全国で非常警戒態勢に入った。韓国統一省報道官は、開城工業団地を除く北朝鮮地域に関して、韓国人の訪問や韓国からの物資搬出を暫定的に中断する計画だと述べた。 中国も難民の大量流入などの事態を懸念しており、韓国では国境が一時封鎖されたとの報道もあるが、北朝鮮国内や国境地帯に大きな混乱は伝わっていない。 朝鮮中央通信は金総書記が心臓や脳血管の病気で治療を受けていたことを認め「(現地指導を続けていた)強行軍による精神・肉体の過労によって心筋梗塞が起き、心原性ショックによって列車内で急死した」と伝えた。 金総書記は、2回にわたる核実験や弾道ミサイル発射などで国際的な孤立を招いた。 2008年8月に脳卒中で倒れた後、09年に入り、正恩氏への後継準備に着手。正恩氏は10年9月に開かれた党代表者会で、党中央委員と中央軍事委員会の副委員長に選出され、後継者となることが正式に決定した。 <金正日氏> 北朝鮮の発表によると、1942年2月16日、故金日成主席の長男として誕生。ロシア・ハバロフスク近郊で生まれたという説が有力だが北朝鮮は神格化する意図から、中国との国境地帯にある白頭山(中国名・長白山)で生まれた、としている。 64年、金日成総合大学卒業と同時に朝鮮労働党入党。70年代前半に党政治局委員などに就任、80年党大会で公式に後継者となった。主席の死後、3年間の服喪を経て97年党総書記に就任、98年に国防委員長に再任され権力継承を終えた。 (中日新聞) PR情報
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