「はっ!世界一のメシマズ国家の人間に言われたくはないけどな」
その男は限界だった。彼はイギリス人であり国を心から愛する愛国者である。
別にイギリスだけとは限らない。どんな国にもこういった部類の人間は存在する。
彼もそういった「愛国者達」の一員だったってわけだ。
だからこそ彼には先程のセシリアの発言を含めた全てが気に入らなかった。なんというか……エレガントじゃないのだ
もうちょっと気の利いたジョークは言えないのかと……風刺の効いた批判は無かったのかと
彼の怒りは頂点に達していた
「いい加減にしたらどうだ!セシリア、一夏!五月蝿い口を封じて欲しいのか!」
いきなり大声で怒鳴ったものだから皆びっくりしている。
「一夏君、先程の君は我が祖国が飯の不味い低俗でセンスのない下らない民族だと言ったな」
「いえ、そこまでは言ってません。ゼロ先生」とヒキ気味の一夏
「確かにイギリス料理はシンプルで美味とは言いがたい……俗っぽい言い方だが不味いと認めよう…不服だが」
(マズイって認めるんだ・・・・・・・)
クラスが一つになった瞬間である
「だが、それがイギリス伝統料理じゃないか!腐ったマメなどより100倍マシだ!パラメディックは一体何を考えているんだ!
あんな腐った豆を送ってくるなんて……脳まで腐ったのか!?映画オタクの日本贔屓のやぶ医者め!」
(パラメディックって誰だよ!)クラスが再び一つになった瞬間である
「な、なあ千冬姉!早くゼロ先生を止めてくれよ」
一夏がこっそり千冬に耳打ちするも……
「無理だ……」
「どうしてなんだよ千冬姉!」
深刻な面持ちで千冬は語り始める
「あれは、先日の事だった……その日は仕事が一段落していてゆっくりコーヒーを飲んでいたんだ
そんな時あの男はやって来た……そして…」
「そして…どうなったんだ?」
「この学校には紅茶はないのか?と聞いてきたので コーヒーで我慢してくれ と返事をしたんだ。
そしたら、5時間も紅茶の何たるかについて説教されたよ……あれはキツかった。もう二度と御免だ」
苦しそうに千冬は語った。気のせいだろうかその瞳には揺らぎ、頬には涙が伝っている
泣いているのだ……あの織斑千冬が涙を流しているのだ
「苦労してるんだな千冬姉」
IS学園の春はまだまだ寒かった
次回予告
転校生のラウラ・ボーデヴィッヒ彼女の些細な一言がまた新たな闘争を呼ぶ
「OO7?諜報員が目立ってどうする。現実感に欠けるな」
また会おう!