ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

ふぁみこん「雑誌」昔話 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2011-06-10

【業界話】業界を去ったきっかけ

さて、ゲーム雑誌に入ったきっかけを書きましたんで、ここで「抜けた」きっかけも書こうかと思います。
しばらく更新が怠っておりまして、すみません。

もともと、TIM徳間書店インターメディア)の仕事に危機感を感じていたのは、スーパーファミコンの後期でありました。
誤解しないでいただきたいのは、これは「会社に不満」ではなく、単純に、ゲーム雑誌の将来に不安を感じたからであります。

スーパーファミコンに時代が移行し、編集長としていろいろな企画などを立ちあげていたファミマガでありましたが、自分の中で危機感がありました。ひとつは週刊に移行した「ファミ通」の台頭。そして「独占」という言葉の乱発。その気持ちを裏付けていたのが、いわゆるゲーム広報資料でした。

ゲーム広報資料には、宣伝スケジュールなどが記載されるんですが、そこに雑誌について「ファミマガファミ通などで記事・広告を展開」というのが「ファミ通ファミマガなどで記事・広告を展開」というふうに変わってきたんですね。自分では、そこが業界意識の変化と思っていました。
人の意識は簡単なもので、例えば、「有名なRPG!」って名を挙げていただくと「ドラクエ」「FF」とほとんどの人が言うと思うんですよね。その順番で実は1番、2番が決まってる。そして3番目以降は、バラバラになるんです。

ファミマガを作っていた時代「各ジャンルのヒットゲームの席は2つしかない」というのは私の持論でした。
数の原始的理論で「ひとつ、ふたつ、たくさん」なんですよ。3つめの席はない。指定席は2つだけであります。

で、まぁ、ファミマガが2つめの席に後退すると同時に「独占」という風が吹き荒れました。

決定打は「電撃PlayStation」の存在であります。

PlayStation Magazine」は、全員素人のアルバイトという状態で始めた雑誌でしたが、それでもなんとか頑張っていけました。
けれど、PS情報は「ファミ通」「電撃PS」という流れになります。ここで指定席を失った雑誌は凋落傾向になります。

でも、そこにあったのは「独占」という交渉の嵐。攻略本まで含めてです。
枠に入らない良作ゲームは、どんどんと取りこぼされていきます。

それでも、他の3誌は企画など立てて、頑張っておりました。私もいろいろと企画を立てて、差別化を図っていました。
ポポロアークザラッドときメモなど、初期のPSの意欲作には力を割いたつもりです。

で、まぁ、特集企画や攻略本の企画をSCEに出すのですが、それがだんだんと通らなくなる。
けれど「ファミ通」「電撃」さらには「Vジャンプ」などには同じ企画がどんどん掲載される。
企画に対しての返信も疎かになったころ、SCEから会食の話が来ました。

会食のお相手は、現場の担当でしたKさんとHさん。上層部はバタバタしていてという話でしたので、そこは気にせず。

で、SCEの前からみんなで車で移動…というときに、横の車にいらっしゃったのは「おこちゃま」コメントで名の知れた方と、某雑誌編集長でありました。

この瞬間に、まぁ「終わったな」と思ったのであります。
自分がでなく、ゲーム広報って、ここまでビジネスだけになるのだな…と。

以前いました「ぱふ」であったり、例えば映画雑誌であったり、他の趣味雑誌であったり。個人エンターテインメント世界は、あくまで数千との戦いです。今でもほとんどのゲームはそこで戦っているのではないでしょうか。

けれどゲームが絶対として目指したのは、独占だし、100万の世界だったのか…と、ガックリ来たわけですね。

私はその分野は得意ではないので、正直、ここは自分が身を置く世界ではないと思いました。

その後、フリーになって、いろいろな出版社ゲームとのコーディネイトを目指すんですが、そこは「儲かる」+「はず」という仮定の意識を持った方々とうまくいかず、終了してしまいました。

かくして私は、いわゆる「ゲーム雑誌」を去り、「情報」について考える日々が続いているのであります。

woody-awarewoody-aware 2011/06/10 23:42  「ひとつ、ふたつ、たくさん…」の理論、分かる様な気が致します。

 原始的な人々の間での数概念・数詞とは、「ひとつ、ふたつ、たくさん」というのが文化人類学的に有ったと思うのですが、其れと全く同じですね。

 「数認知」という上では、人間は斯うで、そして「第三」の項目には人それぞれの個性が入り、情報がばらばらに成る、という事でしょうか?

 私は個人的には、人間は「3つ」迄は認識出来るものだと思って居ました。だから「一つ、二つ、三つ」迄だという考えを持って居たのですが、さあにんさんのお言葉は此れよりも厳しいです。

 「ひとつ、とふたつ」のみが有って、其れが「業界の容量」なんだという認識は、とても貴重に思えます。

 此れは私の数詞(数概念)に関する概念を、根底的に「反省」させられました。

sarninsarnin 2011/06/11 16:08 2つの指定席はジャンルごと…と思ってますんで、新しいジャンルで芽が出ることもあると思います。
ただ、いろんなメディアを見ていると、やっぱり語られるのはトップ2までで、残りは「その他」、もしくは「個性的」とかの呼び名なんですよねぇ。

TV局だったら、フジ、日テレ。漫画雑誌だったらジャンプ、マガジン。そんな感じですか。3つめからは人によってばらけるのではと思います。

児斗玉文章児斗玉文章 2011/06/12 17:25 はじめまして。
大ヒットを狙うとなると、どうしてもユーザーではなく資金を出してくれる相手の方ばかり見てしまうし、企画の通りやすい、予想のつきやすい商品ばかりになるというのは、ゲームに限ったことではないとは言え、寂しいことですよね。

sarninsarnin 2011/06/13 13:22 売れることを否定はしません。むしろ肯定してるんですが、それは1万本のソフトでも十分紹介されるし、利益も出る…という前提があってだと思うんですよ。
それがゲームでは、顕著すぎるってことですかねぇ。

WNWN 2011/06/15 01:30 いわゆる大作主義が業界全体を流れるようになるのは、この頃からでしょうか。
結果として、有名作品の続編しか売れなくなったなんて弊害も、この頃から特に
顕著になってきた気がします。

あくまでコンテンツの中身が先にあって、その良し悪しを各々が評価するというのが
順序だと思うのですが、現在は企画段階からマーケティングを行うものの、売れるものを
作るのではなく、いかに売れるように雑誌の露出を含め広告宣伝等を行うか、が主流に
なりつつある気がします。

 2011/06/15 16:36 >「おこちゃま」コメントで名の知れた方と、某雑誌の編集長でありました
ヒゲこえー

sarninsarnin 2011/06/18 17:13 いちおうフォローさせていただくと、ヒゲの方ではありません。

sarninsarnin 2011/06/18 17:14 >WN
露出工程を考えるようになってから、さらに企画が通らなくなりましたかね。
なので、雑誌に意外性のある企画が無くなってしまったかと思います。

ぬこぬこ 2011/06/19 17:41 ファミマガなつかしいね
ゲーム雑誌を買わなくなったのは90年代の業界暴露が流行った時から
特集記事はお金が動いてるとか商売なんだから今なら解かるし当たり前なんですけどねショックでした
でも、次々とゲーム雑誌が廃刊になりましたね
ネットがまだアングラって感じでゲーム改造コードと本体改造(MODチップってやつ)の別冊本がほとんど主流で
ゲームソフト買わなくなったのもこの時期、普通にプレイしても改造しても結果は全部同なんだもん虚しくなってゲーム止めた
GTA4で帰ってきて洋ゲーばっかりしてます。和製ゲームは変化ないね体験版で十分だ
で、質問です! 90年代はゲーム雑誌業界で何が起こってたんですか?

sarninsarnin 2011/06/22 14:52 >ぬこ
何が起こったというわけではないんですが、2000年近くですかね。
ようは儲かりすぎたのかも知れません。

私はミニコミ誌から入ったので、情報は広く共有というカタチで、好きなモノを人に伝えていくというスタンスだったんですが「独占」「スクープ」っていうのは、その流れと逆行しちゃうんですよね。

儲かるものでより儲ける。。。ではなく、どんなものでも赤字にならないようにする。
そんな感じの努力がなくなっちゃったかなぁ…という気はしてます。
ゲーム雑誌に限らないですが「儲からない物」=「悪」みたいな風潮は遠慮したいなぁ…と。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/sarnin+famimaga/20110610/1307714554