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ねえ・・・あの時のこと、覚えてる? アタシとあなたが初めて出会ったとき・・・ あの日からアタシの人生は大きく変わったんだよ。 アタシはあなたが好き・・・世界で一番。 あなたもアタシを愛してる?そうだよね。そんなの分かりきってるよね。 辛いこともあったし・・・だけどそれ以上に楽しいことのほうが多かったよ。 あなたと一緒に居られればアタシは幸せ・・・ でもね・・・今のアタシはすっごく不安・・・ 時々胸が締め付けられる・・・不安で苦しくなる・・・ 何が?って言われても上手く言えないけど。 いつかあなたが遠くに行ってしまう気がして・・・ アタシとあなたの愛は変わらない。 でもあなたは変わってしまうかもしれない。 あの時の「約束」・・・もう忘れちゃったかな。 幾度となくその予感はしていた・・・ 麻衣ちゃん・・・樹莉さん・・・ あなたはズルイ。すぐに受け入れてしまう。 あなたの気持ちは愛?それとも同情?ただの優しさ? アタシは気づいてる・・・ あなたのことなら何だって分かるんだから。 あなたが麻衣ちゃんを愛してることを・・・ そして・・・樹莉さんもまた・・・ いくらアタシへの気持ちが変わらなくても・・・ あなたは1人しか居ないのよ・・・ 出来ることなら・・・あなたと2人きりで・・・ どんどん時間が減っていく・・・ どんどん気持ちが膨らんで、抑えきれなくなる・・・ どんどん悪い感情が浮かぶ・・・ 深い嫉妬・・・ ねえ。どうすればこの嫉妬は収まるのかな? あなたが麻衣ちゃんや樹莉さんと愛し合うなんて・・・すごく辛い。 ねえ。ずっと一緒に居てよ。 辛いとき、悲しいとき・・・側に居て慰めてよ。 嬉しいとき・・・側に居て笑ってよ。 あなたのやりたいことがそれなら、アタシは付いていく。 でも・・・アタシのやりたいことはそれじゃない。 それは分かってるよね? 人間は欲深いんだよ。 1を手に入れたら2が欲しい・・・2が手に入ったら3が欲しい・・・ これって贅沢な悩みなのかな? 2028年3月中旬・・・ デオペット結成から1週間が経った・・・ 高級マンションに住んでいる龍正だが、隣の部屋1502号室も買い、会議室をそっちに移動した。自宅と仕事場に分けた感じだ。 というのも、樹莉の部屋がいつまでも会議室ではかわいそうだと思ったからだ。 この部屋のお金は、樹莉の稼いだお金と、琉璃たちを売ったお金、そして龍正の貯金から出された。 この部屋にはトレーニング機器も多くある。 龍正はここで汗を流していた。体力の強化を狙っている。 そばでは麻衣も一緒に汗を流している。同じ目的で。だが内容は軽めだ。 どっちかというと、龍正と一緒に居たいというほうが目的なのだろう。 樹莉も同じく軽く汗を流す。同じ目的で。 受付の仕事をやめた。これからはこちらに専念するらしい。 このごろ、龍正と話す時間がグンと増えた。龍正の事を色々知りたいらしい。 龍正も樹莉と話をすることが多くなった。 姉のような存在なのかもしれない。 さて、本彼女の優嘉はというと・・・・ トレーニングなどしたことも無く、誰も居ない自宅の方で座っていた。 しかし、ただ座っているだけではない。 誰にも内緒でこっそりと・・・ 「ふんふん。なるほど、自己催眠を催眠に応用する方法もあるって事ね。龍正がやってくれたのは驚愕法か・・・あのバカ飛騨は揺さぶり法を使ってたわね」 読んでいるのは催眠術の本。 「私だけ能力が無いってのはダメね。だったら覚醒するんじゃなくて修得してやるわよ!」 ということで独自に勉強を続けている。 「大学時代の心理学なんか役に立つと思ってたんだけどなあ・・・奥が深いのね」 飛騨に催眠で操られた事で、怯えるどころか逆に催眠に興味を持った優嘉。 「そろそろ誰かで試したいわね・・・りゅ〜せ〜に言ったら怒られそうだし・・・キレたら数日間酷い目に遭うし・・・」 しばらく真剣に考え込む。 「・・・そうだ。麻衣ちゃんなんか気軽にできるんじゃない?だって前アタシにオシッコ飲ませたし・・・あの性格なら絶対負い目感じてるはずよね・・・」 優嘉は麻衣相手にシミュレーションする。 「これで仕返しできそうね・・・フフフ」 14:00・・・自宅 −ガチャッ− 「ん、帰ってきたわ!」 麻衣は既にシャワーを浴びてきたようだ。 「今日はアタシの料理当番・・・りゅ〜せ〜のためにも、樹莉さんに負けない為にも、手を抜くわけには行かない・・・17:00には取り掛からないと」 優嘉は麻衣の部屋に向かった。 −コンコン− 「麻〜衣ちゃん!」 「優嘉さん?珍しいですね。何か御用ですか?」 「ちょっと樹莉さんの事でお話しない?」 樹莉の事・・・それなら麻衣も話したいことはある。 「あ、どうぞ〜」 「おじゃましま〜す」 麻衣の部屋は綺麗だ。あまり物が無い。性格が現れている。 対して優嘉の部屋は、女の子っぽいアクセサリーいっぱいの部屋だ。 「・・・・でね、今まで操られてきたわけじゃない・・・・」 「・・・・というわけで、私は樹莉さんを応援したいんです・・・・」 しばらく話していると、麻衣が疲れているように肩をまわした。 「麻衣ちゃん?疲れてるの?」 「あ、ハイ。ちょっと張り切っちゃいました」 「だめだよ辛そうにしてると。気にして無いようでりゅ〜せ〜は凄く心配してるんだから」 優嘉は麻衣の後ろに回り、肩を揉む。 「すこしコリをほぐしてあげる。勘違いしないでよ?りゅ〜せ〜のためなんだから」 (ホントは私のためだけど) (優嘉さん・・・いいとこあるのね) 疲れがどっと来たのか、優嘉の肩揉みが気持ちいいのか、麻衣の瞬きが増えた。 (え〜っと、ここで身体をわずかに揺らして) 「どう?アタシ上手にできてるかな?りゅ〜せ〜には喜ばれるんだけど」 (嘘だ。りゅ〜せ〜はこういうのは嫌がるのよ) 「はい・・・何かいい気分ですよぉ・・・」 「よ〜し!張り切っちゃお!・・・あ、腕に力入ってない?力抜いたほうが気持ちいいよ」 「え?そうなんですか?・・・」 麻衣は言われるがままに、全身から力を抜いていく。 麻衣の身体を大きく回す。麻衣の美しい髪がなびく。 「どう?身体がふわふわする感じでしょ?教わったんだ」 (教わったというより、飛騨にされたんだ) 「ふあぁ・・・気持ちいいですぅ・・・」 「麻衣ちゃん。嫌な事は忘れちゃおう。頭の中がだんだん真っ白になってくるよ〜。と〜っても気持ちいいよ〜」 「うん・・・」 「麻衣ちゃんの身体を止めるよ〜。回転が止まるとぉ、嫌な事とか不安な気持ちとか、いろんな雑念が遠心力で飛んでっちゃうよ〜。気持ちよさだけが残るよ〜。ほら止まる・・・」 優嘉は麻衣の身体を止める。ガクンと頭が垂れ下がり、髪の毛が乱れる。 「ほら、さっきより気持ちいいよね?他の事は飛んでったから、何も考えられないね。アタシの声だけが心地よく心に響いてるよ」 「・・・・・」 (気持ち・・いい・・・この声・・・ゆうかさんの?・・・わからない・・・) 一通り深化させ、優嘉は麻衣の顔を持ち上げ、後ろに逸らした。 すごく緩んだ表情だ。今なら・・・ 「これから手をパンと叩くよ。そしたら普段の麻衣ちゃんに戻って、目を開ける事ができます。さっき飛ばした雑念がまとわりついて、身体を動かす事ができません。でも、目の前にいる人、優嘉さんの瞳に吸い寄せられて、今よりもっと深いところに行けます」 −パンッ− 麻衣は白い首を晒したまま、目を開ける。 (あ・・・私?・・・なんだか身体が重い・・・) その虚ろな瞳に、優嘉が映る。 (優、嘉・・・さん?・・・綺麗な瞳・・・・) 「ほら、意識がアタシの目に吸い込まれる〜」 そして再び目を閉じた。 (アタシの経験も無駄じゃなかったわね) 「麻衣ちゃん。りゅ〜せ〜のことをどう思ってる?」 優嘉は麻衣の思いを聞きだすことにした。 「・・・龍正さんは・・・すごく温かい人・・・人生で唯一信頼できる人・・・」 「どうしてそう思うの?」 「・・・私は・・・他人が・・・信用できない・・・」 麻衣の顔がかすかに歪む。 「大丈夫。落ち着いて〜。麻衣ちゃんが他人を信用できないのは何で?虐められてたから?」 「・・・それもあるけど・・・ちがう・・・」 (違う?・・・他に原因があるって言うの?) 「じゃあそのときのことが鮮明に思い出されるよ〜。今あなたはどこにいますか〜?」 「う・・・闇の中・・・」 「闇?・・・何か見えない?」 「何も・・・何も見えない・・・何も分からない・・・」 麻衣の身体が小刻みに震えだす。 (・・・拒絶反応?・・・それとも・・・記憶自体を封じ込めてるの?) 優嘉は汗だくの麻衣をじっと見つめる。 (・・・まあいいか。これ以上手をかける時間は無いし・・・) 結局、あっさりと諦めて続きをすることにした。 「麻衣ちゃん・・・貴女の心の奥に、何よりも大事な真実を言うよ。アタシが『麻衣』と呼び捨てで言った事は、何故かは分からないけど、絶対だと信じます。言われたとおりに動き、言われたとおりに考え、言われたとおりになります。でも、『麻衣』と呼び捨てにされた事については何にも疑問に思いません。りゅ〜せ〜さんの彼女が言うんだから当然ね。それに、オシッコを飲ませるなんて酷い事をしたんだから、これくらいは当然よね。では、今から少しずつ、本来の麻衣ちゃんがまとわりついてきます。とっても辛いね。だから次からは『催眠にかかって』と聞くと一瞬で今より気持ちよくなるわ」 「・・・・・・・・・・・・・」 「返事をしないと二度と気持ちよくなれないよ?ずっと苦しいままだよ?」 「ぅ・・・・は・・い・・・・」 「じゃあ今から20数えるといつもの麻衣ちゃんだよ。今催眠にかかっていたことは思い出せないからね」 「・・はい・・・」 「一緒に数えよう。はい、1・・2・・」 「「・・・20・・・」」 −ビクッ− 麻衣の身体が一瞬震える。 「麻衣ちゃん大丈夫?いきなり倒れちゃって・・・」 「あ・・・私・・・・でも何でこんな格好で椅子に・・・」 のけぞらしていた頭を起こすと、今の状況に疑問を持ったようだ。 「『麻衣』。貴女が自分でよろめきながら腰掛けたのよ」 「え?・・・・そう、だったわ」 「『麻衣』。アタシは今から夕食の準備するから、今からアタシの裸を思い浮かべてオナニーでもしてて」 「?・・・んもう!何を言ってるんですか〜」 (ウフフフ・・・夕食が楽しみ・・・) 17:10・・・自宅 優嘉がゴキゲンで料理の支度をしている。 その頃、麻衣の部屋・・・ 麻衣は椅子に座ってモジモジしていた。 「どうして?・・・どうして優嘉さんの事を思い浮かべてるの?」 麻衣の頭から、いつか見た優嘉の裸が離れない。 「ああ・・・すごくほっそりとした身体・・・小さいけどプルンとしたバスト・・・プリっとしたお尻・・・自分のほうがよっぽどスタイルいいのに・・・」 麻衣は戸惑いながらも、乳首は隆起し、大事な部分はしっとり湿っていた・・・ 優嘉は麻衣の声が漏れないので、こっそり覗きにきた。 「はあ・・・はあ・・・どうしてぇ?・・・私って変態なの?・・・ああ・・・」 (へぇ〜。暗示に対抗してるんだ・・・面白い) 「『麻衣』。今から言う声は頭では聴こえないよ。心で聴くんだよ」 「はあ・・・?なんか優嘉さんの声が聴こえたような・・・気のせいかな・・・」 「りゅ〜せ〜とアタシのエッチシーンを思い浮かべると、両方への想いが掛け合わさって、もう我慢できないよ」 突然、麻衣の脳裏に龍正と優嘉の痴態が浮かんだ。 「ああっ!龍正さんの筋肉質なカラダ!ふっといち○ぽ!優嘉さんのほっそりとしたカラダ!欲しい!両方欲しいよお!り、龍正さんっ!!優嘉さん!!」 麻衣は服を脱ぎ捨て、自慰を始めた。 (これでアタシに逆らえないね・・・りゅ〜せ〜とアタシに妄想で犯され続けなさい) 優嘉の恥部がジュンと滲んだ・・・ 18:00・・・自宅 「ん〜おいし。これなら上出来ね。そうだ・・・新たな暗示考えちゃった」 麻衣は自慰を済ませ、何故あんな事をしたのか疑問に思っていた。 「もしかして私・・・優嘉さんに何かされたんじゃ・・・」 その声を聴いた優嘉は、その場で聴こえるように言った。 「麻衣ちゃん。『催眠にかかって』」 麻衣は虚ろな目でどこか宙の一点を見ていた。 「麻衣ちゃ〜ん。心の整理をしましょうね・・・」 優嘉は、さっきの自慰の記憶と麻衣の疑問を消し去った後、 「食卓に座ってると、いろんな言葉が卑猥な言葉に聴こえるよ」 という暗示を入れた。 19:30・・・ 「ただいま。お嬢ちゃん達」 樹莉が龍正と一緒に帰ってきた。 優嘉は龍正の元に行き、龍正の匂いを嗅ぐ。 「なんだよお前は」 「ん〜この汗の匂い・・・今日は樹莉さんの匂いはしないわね」 「当たり前だろ。トレーニングやってたんだから」 「前例があるからね〜」 (「ヤってた」・・・セックス・・・って何考えてるのよ私!) 麻衣が顔をやや赤くして座っている。 「どうしたんだ麻衣?熱でもあるのか?」 (「した」・・・「熱」・・・なんでこんな・・・) 「なんでもないです・・・」 ますます顔が赤くなる。 食卓では4人が会話している。実際には麻衣はエッチな考えで頭が一杯なのだが。 「そういえば○○選手がメジャーに行ったんだってね。何か感じるものがあったのかな?一発大きいのを放って欲しいわね」 優嘉はわざとそういう言い方をしている。 (「イッた」・・・「感じる」・・・「一発」・・・「大きい」・・・「放って」・・・「欲しい」・・・) もう麻衣は脚をせわしなく動かしている。 「何だトイレか?」 (・・・ああ。変な考えが止まらない・・・おかしいよ・・・) 優嘉は樹莉に悟られないように普通にしている。 しかし確実に不自然な言葉を入れながら。 「マントヒヒとか・・・」 (ま、ま○こ・・・やだ!どうして・・・) 「どんぐりとリスとか・・・」 (!!ああっ!!絶対おかしい!ダメ!・・・怪しまれる・・・へ、変態だと思われちゃう・・・私・・・) 「ラーメン・・・はまる・・・軽い・・・インカム・・・スペル・・・祈祷・・・狩り・・・成功・・・静止画・・・シックスセンス・・・AV(オーディオの方よ。あしからず)・・・」 (な、何で・・・おかしい・・・私どうしちゃったの・・・そんなに欲求不満なの?) 樹莉は麻衣がエッチな想像ばかりしているのを読み取っていた。 (この子・・・そんなに欲求不満なのかしら・・・) 「龍正君。皆とはバランスよくセックスしたほうがいいわよ」 樹莉の、麻衣を想っての言葉。 「はあ?ほとんど1日交代で全員とシてますよ」 それに対する龍正の返事。 直接的な表現に、麻衣は限界が超えた。 (ああ、ダメッ・・・そんな言葉・・・イクッ) 「ん・・・・」 麻衣は聴こえないように軽くイった。 優嘉と、樹莉のリード能力がそれを逃さず聴いていた。 樹莉は、元会議室を改良した自分の部屋にいた。 「今日のマーちゃんは何か変だったわね・・・ユウちゃんじゃあるまいしそんな淫乱な子じゃなかったはず・・・ユウちゃんか・・・そういえば今日はあの子の心の声はあまり聞こえなかったわね」 マーちゃんとは麻衣。ユウちゃんとは優嘉の事だ。 なぜかお嬢ちゃんからその呼び方になった。 「ユウちゃんが何か鍵を握ってるかも・・・」 そのとき、樹莉の視界がグニャリと歪んだ。 「何・・・これは・・・食事に盛られたの?・・・今日の当番はユウちゃん・・・」 樹莉は身体がしびれて動かせなくなった。 一方、龍正も同じ状況下にあった。 「く・・・優嘉・・・俺に薬を盛るとは・・・いい度胸だ・・・」 龍正は床に伏していた。 優嘉は麻衣の部屋に居た。 (りゅ〜せ〜、樹莉さん、ごめんね。ジャマして欲しくないの) 麻衣の嫌って食べない物に薬が入っていた・・・スープに入ってた鳥のつくね。 料理上手な優嘉ならではの手の込んだ仕込みである。 ちなみに今、麻衣は深い催眠状態にある・・・・・・ 龍正の部屋・・・ 床に倒れている龍正・・・ 「くそ・・・力が入らねぇ・・・能力は・・・」 (「ライブラリー」発動!・・・発動!・・・・・発動・・・) 「能力まで使えねえ・・・当たり前か。今は体力が0のようなもんだ・・・」 (しかし優嘉の奴・・・こんなことして何が目的なんだ?) ・・・ず〜っとこのままほっとかれたりしないよな? 樹莉の部屋・・・ 「マズいわね・・・もしこれがユウちゃんの仕業なら・・・マーちゃんが何らかの方法で操られてるとしたら・・・狙いは・・・」 「狙いは勿論りゅ〜せ〜よ」 −ガチャッ− 「く・・・ねえユウちゃん・・・黙っておいてあげるからそんなことやめよう?・・・マーちゃんがかわいそうよ?寝取る側にはなっても、壊す側にはなってはダメだわ・・・」 「・・・・・そうね・・・」 優嘉の心に多少の罪悪感が生まれたのだろうか。 「じゃあ樹莉さんには何もしないわ。ただ麻衣ちゃんにはちょっとお仕置きをしたいの」 「!!だめよ!心を壊すって事がどういうことか分かってるの!?」 樹莉の顔に恐怖の色が浮かぶ。平気な顔していたけど飛騨の事はかなり恨んでいるようだ。 しびれ薬で自由を奪われながらも、凄い形相で声をひねり出す。 「だ、大丈夫よ。壊さないから。この前の仕返しをするだけ・・・」 「あなたはカッターでマーちゃんを刺したでしょ!操るってのはそういうことよ!!」 必死に想いを伝える樹莉だが、その言葉は思わぬ結果を招く・・・ 「わ、私が悪いって?あんたが操られなければ飛騨なんかとは会わなかった・・・」 優嘉の顔色が曇る・・・この子は止まらない・・・そう実感した樹莉。 「あんたがいなければ・・・りゅ〜せ〜があんたと交わることもなかった・・・」 優嘉の心を闇が染めていく・・・ 「キライな人を好きだと思わされるって事がどういうことか・・・好きな人がいるのに攻撃させられるってことがどういうことか・・・あんたにはわからないわよ!・・・あんたはあいつと敵対してなかったんだから・・・」 同じ弄ばれた者でも、これだけ違いがある・・・・ 初めから変えられた者、敵から変えられた者・・・ 「同じよ・・・今の私は、その分ショックが大きいのよ」 「・・・・ごめんなさい・・・樹莉さんの気持ちも分かるわけないよね・・・」 優嘉は寂しそうに部屋を出て行った・・・ 「ユウちゃん・・・龍正君にはやめてあげて・・・」 龍正の部屋・・・ 「りゅ〜せ〜!ちょっといいかな?」 −ガチャッ− 「ふん・・・いつまでほっとく気だ」 「じゃ〜ん!紹介しまーす!奴隷版麻衣でーす!」 優嘉は麻衣を手招きした。 虚ろな目でふらふらと立っている麻衣・・・いつもの素直さは微塵も感じられない・・・ 「な!優嘉!貴様麻衣を!」 「そんなに怒らないでよ〜。お遊びだよ?」 「麻衣を壊しやがったのかあぁっ!!!」 −ビクッ− 「な、何よ!麻衣麻衣って!このぐらい・・・」 優嘉は龍正の殺気に満ちた目を見てゾッとする。 「どうしてよ・・・アタシも樹莉さんも操られたのよ・・・」 「おい!たとえ俺の女だろうと俺の女に手を出す奴は・・・」 「うるさーい!『麻衣』!りゅ〜せ〜を犯しなさい!」 −ピクッ− 「あ、はぁ・・・龍正さん・・・私の龍正さん・・・」 「『麻衣』!貴女の物では無いわ!優嘉様のものよ!」 −ビクッ− 「!す、すみません・・・優嘉様の龍正さん・・・やらせてください・・・」 「麻衣!目を覚ませ!お前なら催眠を解ける!」 「う・・・り、龍正さん・・・・」(さい・・・みん?) 麻衣はその言葉に動揺しているようだ。 (やばい!解かれちゃう!) 「りゅ〜せ〜・・・アタシの物になってね・・・」 優嘉は龍正の頭に手を置き、ゆっくりまわし始める。 「お前・・・俺に・・・」 (これでいいのよ・・・これで・・・) 「りゅ〜せ〜はアタシの虜。他の女には性欲も湧かない。優嘉を抱く事で頭は一杯・・・」 言いながら優嘉は、これでいいのだと自分に言い聞かせていた。 数十分後・・・優嘉は龍正に気付け薬を使い、行為に及んでいた。 「優嘉!好きだ!優嘉!」 龍正のペニスが優嘉のま○こを激しく攻める。 「ああ、りゅ〜せ〜!アタシのものよおっ!」 「うっ!出る!」 「出して!中に出してぇっ!そしたらアタシたちは結ばれるのおっ!」 −ドピュッ!ドピュッ!− 「優嘉・・・愛してる・・・」 (何かいつもより気持ちよく無い・・・どうして?望みがかなったのに・・・) しばらく余韻に浸ると、龍正は優嘉とのセックスを再開しようとした。 「あ、そうだ。『麻衣』いらっしゃい。憧れの二人が相手よ」 「はい・・・ああ・・・・うれしい・・・」 麻衣がふらふらと二人の下に来る・・・ だが次の瞬間・・・予想外の出来事が起こった・・・ 「ジャマだ!」 −バキイッ− 「がはっ!・・・かはっ・・・」 麻衣が思いっきり蹴り飛ばされ、背中からドアにぶつかり、気を失ったのだ。 「ま、麻衣ちゃん!?大丈夫!?」 返事が無い・・・口からは吐血・・・ 駆け寄ろうとする優嘉の腕を龍正が掴む・・・ 「り、りゅ〜せ〜?・・・」 「さあ邪魔者は居なくなった。俺達は続きをやろう」 「で、でも・・・」 「何言ってるんだよ・・・お前がこれを望んだんだろ?俺はもうお前なしでは生きられない・・・ジャマな羽山と狩野は廃人に変えて、結婚しよう」 「え・・・・」 (確かに私が望んだ事だ・・・) だが、今も麻衣は時々ゴホッと血を吐いている・・・ 「あ、アタシが望んだのは・・・・」 大量の血を吐いている麻衣は、今でも「龍正さん・・・優嘉様・・・」とつぶやいている。 「アタシが望んだのは・・・・」 樹莉の顔が頭をよぎる。壊してはいけないと必死の形相で叫んでいた顔・・・ 本当にこれでいいのか・・・・ 「アタシが望んだのは!こんなりゅ〜せ〜じゃないの!!」 龍正が涙ぐむ優嘉を抱き寄せる。 「お願い・・・麻衣ちゃんを・・・助けて・・・」 「今頃何を言っている・・・」 龍正の言葉に絶望の顔を浮かべる優嘉。 (もう、だめなの?) 「・・・なんてな!全部芝居だ。なあ麻衣!」 麻衣が起き上がり、口から血のり袋を取り出した。 「全く・・・酷い目に遭いましたよ・・・」 「え?・・・どういうこと?」 −ガチャッ− 「種明かししましょうか?ユウちゃん」 樹莉が部屋に来る。 「お前の行動の異変にいち早く気付いたのは他でもない。俺だ」 龍正の言葉に驚く優嘉。 「お前が催眠の能力を身につけたいと思っているのは知っていた。まず麻衣を実験台にするだろうとも思った。例の復讐な」 続いて麻衣が言う。 「龍正さんからその話を聞かされたとき、私は一回だけわざと催眠にかかると言いました。例の事で復讐するなら、それは仕方のない話だと思ったんです」 「じゃあ・・・さっきはわざと催眠に?」 麻衣がこくりと首を縦に振った。 「あとあの薬な、お前が買ったのを知って、俺がこっそりと変えておいた。あれはただのビタミン剤だ」 「まあ、ユウちゃんの心はバンバン聞こえてたからね。ユウちゃんはあまり考えないようにしていたみたいだけど。リードを甘く見ちゃダメよ?」 「もちろん俺が催眠にかかったのも芝居だ。お前が気付くまで続けるつもりだった。最初からかけ方もかける時間も調べておけば回避するのも簡単だった」 「まあ何にせよ、さっきの私がユウちゃんに言った事は本心よ。ただ、できることならそこで思いとどまって欲しかったなぁ」 「う・・・」 「私への暗示も龍正さんが芝居しながら解除してたんです。だからあんまり濡れてなかったでしょ?」 (そんなの覗き込んでみないから分からないわよ!) 「なあんだ・・・そうだったの・・・」 優嘉は肩の力が抜けて座り込む。 「実はな、お前の心の中にそんな感情があったのを樹莉さんから聴いて、今のうちに発散すべきだと思ったんだ。俺がライブラリーで無理やりその感情を強めた。でも最終的に過ちに気付いてくれてよかったぜ」 「・・・酷い・・・」 「まあ俺も悪いからな・・・だけど優嘉だけ選ぶことは出来ない・・・優嘉も麻衣も樹莉さんも、みんな俺にとって大切な人だからな」 「・・・それはわかってるわよぉ・・・」 「まあまあ優嘉さん。いい催眠なら私がモルモットになるから」 「うう、麻衣ちゃ〜ん。あんたいい子ね・・・ごめんね・・・」 「だが!麻衣にしたことは良い事とは思えんなあ?」 龍正が声を強める。 「うっ・・・ゴメンナサイ」 「来い。お仕置きしてやる・・・アレでな」 「えっ・・・・あ、アレですか・・・」 麻衣と樹莉がとばっちりを食らわないように部屋へ帰っていった。 龍正の顔には笑みが・・・優嘉の顔には大量の冷や汗が・・・ −プツン− 「ハハハハハ!お望みどおり犯して犯して犯しまくってやるぜ!!」 「ひ、ひいいいっ!!」 「ひゃあぁぁぁん!」 「くううううっぅっ!!」 「あああああぁぁぁっっ!!」 「ぐうっ・・・・・・・」 意識が吹っ飛びながらも、優嘉は満足していた・・・ (今日はアタシだけのりゅ〜せ〜・・・) 数日間はまた地獄だ。 しかし、コトが済むと、樹莉と麻衣が入ってきた。 「あの・・・私にもその状態で一回だけ・・・」 「お姉さんにも・・・ちょうだい・・・一回だけ」 「ククククク・・・この状態でか!いいだろう!」 −ドックン− 「ふあぁぁぁぁぁっ!!」 −ドックン− 「イっくうううぅぅぅっ!!」 ともあれ、優嘉の小さな野望は幕を閉じた。 ・・・かに見えた。 翌日・・・ 「りゅ〜せ〜!!私と勝負して!!」 「し、勝負って何の?」 「勿論!!催眠よ!!」 「・・・どんな勝負だ?」 「なりきって相手を満足させるの!!」 「・・・とりあえず内容を聞いてからだ」 「いらっしゃいませ・・・どうぞこちらへ」 男の人が私たちを席まで案内してくれる。 私は狩野樹莉。ここはホストクラブという設定。 そして相手をしてくれるのは・・・龍正君。 何故こんなことになっているか? 何でも龍正君とユウちゃんの催眠勝負らしい。 ユウちゃんはアシスタントの役をしている。 龍正君はユウちゃんの催眠でホストになりきっているということ。 「ほら、麻衣ちゃんもお客さんなんだからね」 「え、で、でも・・・急に龍正さんをホストだと思えと言われても・・・」 マーちゃんはスーツ姿の龍正君に戸惑っているみたい。 私が言うのもなんだけど結構似合ってるわよ。 「じゃ、リュウを指名するわ」 「ご指名ありがとうございます」 龍正君がすましながら私の横に座る。 「あれ、その服はブランド物じゃないですか?」 龍正君が私を見る。 「ええ。ざっと100万くらいかな」 「彼氏からのプレゼントですか?」 彼氏というより・・・あなたの贈り物よ。龍正君。 「私今フリーなのよ」 「へぇ〜。そうなんですか。こんなに美しいのに意外ですね」 「ふふっ。きっと私の性格が悪いのよ」 「そんなことないですよ。相手が悪いだけです」 龍正君が私の手を握った。 「性格は目に表れます・・・樹莉さんの目は凄く綺麗な目だ・・・きっと純粋な心を持ってるんでしょ?」 龍正君が私の目を覗き込む・・・ 凄い自信に満ちた目・・・ 私の全てを見透かしたような目・・・ ・・・スキ・・・ はっ!!い、いけない!! 私はさりげなく目を逸らした。 私の心境を察してなのか、龍正君はマーちゃんのほうに目をやった。 「・・・そちらの方は?楽しくないですか?」 「・・・え?い、いえ・・・こういうところは初めてで・・・」 「そうですか。どうです?印象は。正直悪かったでしょ?」 「は、はい・・・あ、いえ、あ、あの、テレビとかではよく、のめり込んで人生を壊しちゃう人たちがいるから・・・で、でもここは思ったより素敵で・・・」 「・・・ははっ。そんなに気を使わなくてもいいですよ。楽にしてください。タメ口でいいんですよ?」 「あ、そ、そんな・・・」 「それより、もっとお話しましょうよ。些細なことでいいですから」 「そ、そうですね・・・じゃあ・・・」 お、マーちゃんがいきなり心を開いたみたい。 龍正君は聞き手に徹している。 「私・・・いま不倫してるんですよ・・・しかも私の他にも愛人が居て・・・どうすればいいと思います?」 あらら・・・悩み相談始めちゃった。 龍正君はカウンセラーじゃないのよ〜。 って・・・それって私達のことじゃない!! 「だめですね。不倫なんて最低ですよ」 龍正君は諭すようにそう言った。 え?何でそんなこと言うのよ。 「そ、そうですよねぇ・・・」 「違いますよ」 龍正君がマーちゃんの隣に密着して座って、手を握る。 「・・・えっ?」 「最低なのは愛を選べないその男のほう・・・あなたの愛に罪はありません・・・その奥さんはただ出会ったのが早かっただけ・・・あなたと奥さんの愛の深さを比べることなんて出来ないでしょう?」 「・・・り、リュウさん・・・」 あらあら、マーちゃんったら顔を真っ赤にして龍正君を見つめてる。 こりゃあ完璧に堕ちたわね。 「・・・そ、そうですか・・・あ、あの・・・わ、私・・・」 ちょっと。何を言う気なの? 「・・・ドンペリ・・・白・・・入れてください」 「・・・無理しなくていいですよ・・・お金じゃありません・・・気持ちです」 「・・・リュウさん・・・」 あちゃ〜。完全に目が恋してる・・・ 「はいっ『終了〜』!!」 ユウちゃんがそう言った。 「・・・やれやれ・・・何でこんなこと・・・」 龍正君が元に戻る・・・ 「・・・お、おい。終わったぞ」 「・・・あ、そ、そうです・・・か・・・」 マーちゃんはもっとやりたかったみたいね。 「あら、いらっしゃい。お2人様?」 え〜っと。 今度はユウちゃんがソープ嬢という設定らしい。 そして私と麻衣ちゃんはレズビアンの設定。 いろいろ突っ込みどころは満載だけど、それでも解けないのは龍正君の催眠が凄いからなのね。 「どちらからやります?そっちのお嬢さんからやりましょうか」 「わ、私が?・・・いえ。私は龍正さんがいいです」 「な!ず、ずるいわよ!!それなら私だって龍正君と!!」 「え?あ、あの?・・・りゅうせいって・・・りゅ〜せ〜!!」 あ、ユウちゃんの催眠が解けちゃったみたい。 「ちくしょう・・・」 龍正君が悔しそうにユウちゃんの側に歩み寄る。 「ふっふ〜ん。アタシの勝ちね〜」 「おい!今のは麻衣が俺の名前を出したからだろ!!」 「関係ないわよ。さ、罰ゲームを受けてもらいましょ」 「・・・そうだな。『かなり勘の鋭い僕の彼女』」 優嘉が数回瞬きをして驚く。 「っ!!!!え?・・・い、今のは・・・あ、あれ?麻衣ちゃんと樹莉さんは?」 「ははははは。最初っから俺はホストなんてしてねえよ。全てお前の妄想だ」 「うっそ〜!!し、信じられない・・・こんなに高度な暗示を・・・」 「だいたいな。あのセックスをしたら数日は地獄なんだろ?なのに普通にしてておかしいと思わなかったのか?」 「えっ?・・・・・・ぁん・・・そ、そういえば・・・身体が・・・」 「ま、俺に催眠をかけようとした勇気だけは汲んでやるぜ」 「くぅ〜っ!!絶対上手くなってやる〜!!あぅん・・・」 優嘉はふと気になったことを質問してみた。 「そうだ・・・ねえ。何で麻衣ちゃんが過去を拒絶してるのか知ってる?」 「さあ・・・俺にも話してくれないからな」 「ふうん・・・」 (やっぱりな・・・聞き出そうとしていたか・・・念のためにロックをかけておいてよかったぜ・・・) 龍正は麻衣の記憶の本の一部が埃をかぶっているのを見つけた。 そこには麻衣が自ら封印した過去について書かれていた。 思い出さないように閉じたままの過去・・・ 龍正はいつか何かの弾みで強制的に思い起こされる場合を想定し、紐をイメージして持ち込み、その本を紐で縛っておいた。 おかげで麻衣はその過去を思い出すことは無かった。 「まあ・・・俺たちにも言いたくないことなんじゃないのか?あんまり詮索すんなよ?」 「でもさあ・・・何か意図的に過去を思い出せないようにしてるみたいなのよね〜。『闇の中』って言ってたし・・・それにりゅ〜せ〜は絶対知ってるでしょ?」 「いや、まったく知らないな」 「そうかな〜?う〜ん・・・まあいいや。いつか自分から話してくれるでしょ」 (そうだな・・・いつか自分からあの紐をほどいて・・・そして自分の手で埃を掃う日までは・・・俺は側に居て心の支えになってやる・・・) その後の麻衣を使った練習のおかげで、優嘉は催眠の技術を身につけ、勝手に「ヒプノ」とか能力名をつけている。(技術であって能力ではない・・・) でもそのうちそんな能力者も現れるかもしれないが・・・ そして勝手にカウンセリングの依頼募集までサイトに掲げたのである。 < 第1章おまけEND >
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