アメリカでは、キム・ジョンイル総書記の死亡が伝えられたことについて、メディアが一斉に報じていますが、アメリカ政府はこれまでのところ、公式な発表はしていません。
ワシントンは、現在、日曜日の午後10時をまわったところで、国務省や国防総省でも今のところ大きな動きはありません。ただ、アメリカ政府としてはキム・ジョンイル総書記が死亡した場合は、北朝鮮が大きく動揺することを想定し準備を進めていました。権限の掌握を巡る軍部のクーデターや北朝鮮から韓国や中国への難民の流入といった混乱の広がりも予想されるため、今後、同盟国の日本や韓国などと不測の事態にも備え、警戒を強化することになります。アメリカ政府は、おととし中断した北朝鮮への食糧支援の再開を巡って北朝鮮の人権問題を担当するキング特使が中国の北京で、先週、北朝鮮外務省のリ・グンアメリカ局長と協議を行ったばかりでした。アメリカ政府は、3年間開かれていない北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の再開に向けて、日本と韓国とともにIAEA=国際原子力機関の査察官の受け入れやウラン濃縮活動の停止を求めてきただけにキム総書記の死去を受けて、こうした協議の行方にも影響が及ぶことになるのかどうか慎重に見極めることになります。キム総書記の死亡を受けて、後継者と伝えられる三男のキム・ジョンウン氏への権力の継承がスムーズに行われるかどうかも注意深く見守ることになります。