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過激税 寡聞にして知らず

 先の参院選で民主党は、菅首相
が消費税アップを口にして大敗した。
しかし、国の財政は危機的状況に
あり、財源を確保しない事にはとギリ
シャのように破たんしてしまう事は目
に見えている。

 テレビ朝日系の朝の情報番組
「スーパーモーニング」
新たな財源として
「貯蓄税」なる新税が取り上げられ
いる。
 簡単に言うと、銀行に預けっぱな
しになっている預金が200兆円もあ
る。国の年間予算83兆円の2.4倍
の預金が銀行で「死に金」のように
眠っている。預金者から2%の税金
を取ると最大4兆円(消費税10兆
円)の税収が見込める。
 税金を払う位なら下ろして使おう、
とする心理が働き消費が拡大し、
デフレが止まり、景気も回復する。
一石二鳥なのだそうだ。

 12日、第3回目の放送で、野田
財務大臣がインタビューされた。大
臣はしたり顔で貯蓄税について
「寡聞(かぶん)にしてそのこと
は存じません」
とかわした。寡聞
とは見聞が浅く狭い事。自らの勉
強不足を謙遜して言う事が多い。

 筆者もテレビの前で「貯蓄税って
何だ?」とけげんに思っていたが、
見れば見るほど説得力があり、
目からウロコの状態にある。そも
そも貯蓄税は、あのケインズの理
論であり、経済学の基礎知識と
して金融関係者なら誰でも知って
いるそうだ。

 野田大臣が知らないはずがな
い。「寡聞にして知らない」などと、
一国の財務大臣として、わざわ
ざ小難し言い回しで即答を避け
たに過ぎない。知ってはいるが、
勉強の範囲には入っていないの
が本音だろう。

 ところで、もし貯蓄税が導入
されたら、銀行預金はタンス預
金に移るだけのような気もする。
そのタンス預金にもキッチリと課
税出来るように紙幣の刷り直
しを行うという驚きの過激税な
のである。
 財源確保を手軽な消費税
だけに頼るのではなく、多様な
手法を論議すべきである。

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