東京都の三浦氏による「NVIDIA信者が目指したゲーミングPC」。冷却ファンが爆音を発する超高性能パソコン。当日のスペックは、これよりさらにパワーアップしていた。

ステージで前谷氏と江口編集長の質問に答える三浦氏。

投票番号3の「NVIDIA信者が目指したゲーミングPC」は、東京都の三浦雄輝氏が組み上げた作品。「究極のFPSゲーマー仕様」をコンセプトに、徹底して高性能化を図ったパソコンだ。ディスクは、ロード時間を短縮するためSSDをRAID0構成にして使用。描画と入力の遅延を改善するため、CPUはCore i7-980X、ビデオはGeForce GTX 580を3-wayのSLI（Scalable Link Interface) 構成にして使用している。ビデオカードは、予選時のGTX 480からさらにグレードアップしたという。

熱対策と静音性を考慮して水冷を採用し、ラジエーターを3台搭載。ビデオやチップセットも併せて冷却しており、夏場は放熱フィンの上に氷を載せて緊急冷却するといったこともできる構造にしている。メインのラジエーターには7つのファンが搭載されていて、三浦氏いわく「ものすごく、うるさい」。塗装も非常に凝っており、「ゲームといえばNVIDIA」ということでケースはもちろん水冷ホースもクーラントも緑色で統一。さらに、Green LEDも大量投入するなど徹底的に緑色にこだわった。電源スイッチは誤って触れて電源が落ちてしまわないように、本体裏側に小さなスイッチを別途取り付けている。

実は三浦氏は就活中の大学3年生だが、アルバイト代の多くをPCに注ぎ込んでおり、「これまでいくらかけたか分からない」という。実際、今回の最終審査のためにマシンを宅急便でユニットコムに送ろうとしたところ、保障の限度額である30万円を超えてしまっていて引き受けられないと言われたため、自家用車で搬入したとのことだ。

P-1グランプリの優勝が決まった三浦氏。

聴衆にも抽選でマウスやビデオカードが提供された。

ファイナルステージでは以上3台の作者が、ユニットコムの前谷氏と日経WinPCの江口編集長の問いに答える形で自作機の特徴や自作に対する思い入れ、苦労話について説明。その後、投票と集計が行われた。結果は、投票番号1、2、3の順に、事前投票が57票、36票、107票、ステージ投票が13票、28票、50票。後者は1票が2倍となり、前谷氏が2番に1票、江口氏が3番に1票、それぞれ10ポイントずつ投票したため、最終的に83ポイント、103ポイント、217ポイントとなって、投票番号3の「NVIDIA信者が目指したゲーミングPC」が2位以下を大きく引き離して優勝と決まった（無効票があったため、当初想定した合計の420ポイントにはならなかった）。

審査結果は、今回のP-1グランプリのコンセプトが「私の欲しいパソコン」ということもあって、やはり究極の高性能パソコンが優勝となったが、他の作品も含めて丁寧に塗装したり最後までパーツを入れ替えたり、応募者一人ひとりのマシンに対する深い愛情が感じられる結果となった。審査に当たった前谷氏も、「もちろん高いスペックのパソコンもいいが、個人的には少ない小遣いをやりくりして一生懸命工夫して作るというお父さんの気持ちがよく分かる。そんな自作魂も大切にしたい」との感想を持ったとのこと。さらに、数カ月にもわたる長期間の審査で苦労した江口編集長も、「工作魂が爆発した手作り感あふれる作品に拍手を送りたい」と話していた。予選では実際、作り手の個性がにじみ出たユニークな作品が数多く応募され、自作パソコンの世界が確実に広がっていることが実感できた。

優勝した三浦氏には、賞金100万円の小切手が手渡された。受賞後に、賞金はどのように使うかと問われた三浦氏は「自作パソコンにも使いたいが、自分のブログの読者に抽選で還元することも考えたい」とのことだった。2位と3位には賞品が贈られ、三浦氏には、Intel SSD120GB、Core i7-870、「日経WinPC」1年間無料購読権が、鈴田氏には、ELSA Geforce GTX 460、CAPCOMロストプラネット2、そして「日経WinPC」の1年間無料購読権が、それぞれ手渡された。さらに、ステージの聴衆には投票控え番号の抽選でMicrosoftマウスが10人に、ビデオカードのGeForce GTX 460が1人にプレゼントされた。

なお、三浦氏のブログは、こちら。そして投票番号1の鈴田氏のブログは、こちら。