18日の日韓首脳会談では、元従軍慰安婦の問題で両首脳が激しく応酬した。野田佳彦首相が「解決済み」と主張したのに対し、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は「国民感情の問題だ」と譲らなかった。来年の大統領選挙を控えて国内事情を優先する韓国の強硬姿勢は日本側の予想を超えた。首脳が往来する「シャトル外交」は2年2カ月ぶりに復活したものの、未来志向の関係は道半ばだ。
「大局観に立った未来志向の意見交換ができた」。首相は会談後、記者団に成果を強調した。首相周辺も「シャトル外交の再開には意義がある」と語った。ただ首相を含め、日本側の徒労感は隠せない。
首相は10月、国際会議出席を除いた初の訪問先に韓国を選んだ。協定に基づき朝鮮半島由来の図書の一部も持参した。シャトル外交の順番でいえば韓国大統領が来日する順番だ。しかし中国の台頭も踏まえ、同じ米国との同盟国である隣国の韓国を重視した。
2004年12月 |
盧大統領→小泉首相(鹿児島・指宿) |
05年6月 |
小泉首相→盧大統領(ソウル) |
08年4月 |
李大統領→福田首相(東京) |
09年1月 |
麻生首相→李大統領(ソウル) |
6月 |
李大統領→麻生首相(東京) |
10月 |
鳩山首相→李大統領(ソウル) |
11年12月 |
李大統領→野田首相(京都市) |
首相は首脳会談で日韓双方が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)の問題に直接触れない配慮をみせた。17日、玄葉光一郎外相が大統領府の千英宇(チョン・ヨンウ)外交安保首席秘書官に会い、韓国議員の訪問や施設建設構想に抗議したからだ。首相は記者団に「役割分担」と説明した。
だが大統領は慰安婦問題を穏便に収める選択をしなかった。17日に来日すると、在日本大韓民国民団(民団)の会合で慰安婦問題に言及。日本側は非公式会談などに限った発言を期待したが、一夜明けても態度は変わらなかった。
「来年前半」にも交渉を再開する合意をめざした日韓経済連携協定(EPA)は、首相の呼びかけに大統領が応えなかった。両首脳は安全保障分野の協力を深めるため軍事情報の交換の必要性などをめぐり意見交換したが、短時間で終わった。日本政府関係者は「大統領の立場は分かるが、あそこまでやるとは……」とこぼした。
来年に重要選挙を控える国は韓国に限らない。ロシアは3月、米国は11月に大統領選がある。各国が内向きの対応を優先しがちな選挙イヤーを迎え、日本外交のかじ取りは難しさを増す。
李明博、野田佳彦、韓国、玄葉光一郎
日経平均(円) | 8,401.72 | +24.35 | 16日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 11,866.39 | -2.42 | 16日 16:30 |
英FTSE100 | 5,387.34 | -13.51 | 16日 16:35 |
ドル/円 | 77.80 - .82 | -0.08円高 | 17日 5:43 |
ユーロ/円 | 101.39 - .44 | ±0.00 | 17日 5:48 |
長期金利(%) | 0.980 | +0.005 | 16日 15:52 |
NY原油(ドル) | 93.53 | -0.34 | 16日 終値 |