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2011年12月17日8時39分

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西日本新聞、九電への配慮否定 原発批判の本出版中止で

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 西日本新聞社(福岡市)が執筆を頼んだ本について九州電力玄海原子力発電所でのプルサーマル発電を批判した記述の削除を求めた末、出版を中止した問題で、西日本新聞社は16日、朝日新聞の取材に応じ、「論理の飛躍や説明不足があり、出版をやめた。九電など特定の企業への配慮で出版をやめたことはない」と説明した。原稿の内容が原因とする主張に、著者は「最終段階で中止したことへの説明になっていない」と反発している。

 西日本新聞社広報部は、同社側が原発に批判的な記述を含む部分の削除を求め、著者の環境活動家、田中優氏(54)が応じたにもかかわらず、出版を中止した一連の経過を認めた上で、「そもそも講演録を出版するという企画自体に無理があった。確認が必要な数字、データもあり、作業は膨大。著者、編集者双方にとって負担が大きかった」と説明。「どういうレベルでどういう判断があったか分かっていない部分はあるが、会社としての判断でやめた」と述べた。

 一方、田中氏によると、昨年12月に出版中止を言い渡されるまで田中氏は約10カ月にわたり、西日本新聞社の編集者と出版に向けた作業を続け、出版委員会、経営企画委員会といった社内手続きを通ったと報告を受けており、川崎隆生社長の決裁を残すのみだった。田中氏は「加筆修正や確認が必要な内容が膨大にあるのであれば、社長決裁より前の段階で指摘があるはずで、論理的におかしい説明だ」と話す。

 この問題は、西日本新聞社が田中氏に執筆を頼んだ地域づくりに関する本について、印刷に回す直前になって約160ページにわたる原稿のうち、原発に批判的な記述のある「再処理工場は必要なのか?」「おカネのゆくえ」など12ページの削除を「上層部の意向」として求めたうえ、田中氏が応じたにもかかわらず、昨年12月に出版を中止した。その際、編集者は著者に「会社の結論」として「新聞社としては少し荷が重すぎる」と理由を伝えており、田中氏は同社が九電に配慮して「自主規制したのではないか」と批判している。

 西日本新聞社の大株主である九電の広報担当者は16日、出版中止への関与を否定し、出版計画について「事前に把握していないし、できるものでもない」と述べた。

    ◇

 西日本新聞労働組合(手島基委員長)は16日、会社側に対し、全従業員に事実関係を説明するよう申し入れた。

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